四宮薬子先生インタビュー

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四宮薬子先生インタビュー 純粋一途年下×家庭教師♥身分差×オメガバース作品。小説『教育係オメガは教え子アルファからの一途な溺愛を拒めない』

2025/07/26 17:00

愛してはいけない。決して交わらないはずの二人だった。それでも――。

 


BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第4052回
四宮薬子/さきしたせんむ/ラヴィ/ラヴィノベルズ
小説『教育係オメガは教え子アルファからの一途な溺愛を拒めない』 8月 9日発売
サイン入りグッズプレゼントあり! 詳しくはインタビュー後に!

 

STORY
大貴族の一人息子でオメガのシェミは、オメガが不当に扱われることを憂いていた。しかし法改正がなされ、オメガでも家督が継げるようになり、シェミは次期当主に任命された。大学校卒業後、第六王子で十歳のラビエルの家庭教師に異例の抜擢をされる。ラビエルは母親の死から立ち直れず、また他の王子やその取り巻きたちからのいじめを受け、心を閉ざしていた。侮辱されても、何も言い返さない彼に「自分の価値を他人に委ねるな」と一喝。それからラビエルは、シェミの導きで礼節や努力を知り、少しずつ変わっていく――。互いに心を通わせながらも、身分差を前にシェミは自らの想いを秘め続けた。だが、成人を控えたラビエルはシェミへの想いを告白する。さらに思いもよらない宣言をし、王宮を揺るがす決意を示す。変わりゆく時代の中で――身分も血筋も越えて、ふたりは真実の愛を結んでいくオメガバースストーリー。

 

――作品紹介をお願いします
『教育係オメガは教え子アルファからの一途な溺愛を拒めない』は、法律的にはバース差別による待遇、賃金の是正などが施行されましたが、まだまだ人々の心には差別や慣習が根強く残っている架空の王国を舞台に、「性別」や「番」という概念や古い慣習に縛られない“愛”の形を描いた物語です。
物語は、教師と生徒という関係性と、制度や立場に縛られずに誰かを選ぶとはどういうことか、という問いを中心に展開していきます。
着想のきっかけは、「アルファとオメガを中心に展開する王道オメガバースで性や運命に抗う」物語とは、どういうお話になるだろう、という疑問でした。様々な答えや考えがある中、私の中にある答えの一つを物語に込めることができました。

――主人公たちはどんな攻×受ですか?
攻めのラビエルは、直系王族の第六王子でアルファ。幼少期は孤独で、人一倍繊細です。その繊細さが時には自分で自分を傷つけてしまうような脆い少年でしたが、教育係であるシェミと出会い、自分の世界を広げていきます。
彼は健気なくらい一途で、まっすぐで、長い時間をかけてシェミを理解しようとし、想い続けます。成長したのちには、自分の言葉と選択で、シェミに対して真摯な愛を告げる芯の強い青年へと変わっていきます。

受けのシェミは、名門の家にオメガとして生まれ、大学校を主席で卒業したエリートです。王族の教育係として、初めて古い慣習を破り、「オメガでありながら任命された」人物です。
冷静で理知的ですが、感情を持たないのではなく、それを慎重に扱っています。差別や偏見、制度の不条理に強く反発し、「人間の価値は生まれや性で決まらない」という信念を、静かな怒りと共に胸に抱いています。
そんな彼は古い慣習を破ることだけではなく、新しい常識の中で、自分の感情にどう向き合っていくか、という壁にぶち当たることになります。

――当て馬や重要な脇役は?
ラビエルの兄アスカリオスは物語の節目、節目でラビエルとシェミの関係を引っ掻き回すキャラクターです。彼もラビエルとは違うベクトルで「王族に生まれた」ことに悩むキャラですが、今回は悪役に徹してもらいました。
シェミの元家庭教師セレヴィスは、シェミの人格形成に強く関わる人物です。彼がいなければ、今作のシェミはいなかったと言っても良いぐらいのキャラクターです。
ふたりとも単品で長編が書けるぐらいキャラクターを作り込んでいますが、今作ではあくまで脇役としてラビエルとシェミの恋愛に関わってもらいました。
また料理人や使用人、施設に入所している母子など、ラビエルとシェミの日常や事件を彩る名もなきキャラクターたちにも愛着があります。彼らのセリフ一つ一つに、日々を生きる息遣いが宿るように意識しました。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
番を「運命の証」ではなく、「支配や従属にもなり得る制度」として描き、そのうえで、「それでも私はあなたを選ぶ」という能動的な愛をテーマにしました。
ラビエルの愛は選択です。そしてシェミもまた、自分の立場や、信念のはざま、その選択した場合における社会的な反響など葛藤しながら、彼の言葉を“真剣に受け取る”ことを決意します。
また、社会制度への批判を恐れずに描くシェミの姿勢は、今作における最大の挑戦であり、こだわりです。
「誰かに、何かに縛られず、一人を選ぶ」ことの意味を深く考えながら作品作りをしました。
感情や関係性の成熟を丁寧に描くことで、運命を越える関係を信じてもらえるように努めました。 

――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
苦労したのは、シェミという人物を「理知的で信念を持ち、社会に対して怒れる人間」として描きながら、その内にある優しさや脆さもどう伝えるかということでした。
彼は、ただの「冷静な大人」ではなく、時には傷つきながらも折れず、自分の信念を選び続ける強さを持った人物です。その反面、ラビエルの一途さに触れて、自分の「決して自分は選ばないと思っていた幸福」に気づいてしまいます。そうした感情の揺れや、葛藤をどう表現するかには何度も試行錯誤しました。
反対に楽しかったのは、ラビエルが全身全霊で「好き」とぶつかっていく場面です。最初は伝わらない想いが、少しずつシェミの硬い心に沁み込んでいく過程を書いていて、ようやくふたりが結ばれた時は本当に嬉しかったです。

――今作にまつわる裏話はありますか?
当初はもっと王宮の陰謀劇や政治的駆け引きをメインに据える案もあったのですが、それをすべて削って「ラビエルとシェミの関係性」に集中する構成にしました。
また、ラビエルが成人するまでを時間をかけて書きました。シェミが彼を「対等な相手」として受け止められるだけの成長を、読者にも感じていただきたいです。
“10年越しの恋”を成立させるには、それ相応の積み重ねが必要だと考えました。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
あとがきにも書いたのですが、私は食べることが好きです。あるとき、大きなハンバーガーを食べながら「この肉の重なり方、シェミとラビエルの感情構造に似てるな……」と意味のわからない思考になった日もありました。
執筆中はちょっとした日常の出来事も物語に置き換えて考えてしまうことがあります。
あとは気分転換に図書館で無作為に本を借りて読む時間も、構成のヒントになったりしましたし、読書会グループに入っているので、読書会のとき、他の参加者の課題本の感想を聞いたりすることも創作のヒントやモチベーションになったりしました。

――今、何かハマっていることは?
最近始めたわけではないですが、前述した通り読書会に参加することが好きです。最近ではカフカの「城」やブラム・ストーカーの「ドラキュラ」、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」、川端康成の「伊豆の踊子」、猪瀬浩平の「野生のしっそう」を課題本として読みました。様々な年代、職業の方たちが集まり、本の感想を言い合います。色々な角度から本の内容や、感想、時には参加者の人生に触れながら楽しい時間を過ごしています。
読書会自体が楽しいことはもちろんなのですが、読書会を通して、「他人の人生に触れる」という貴重な経験をさせてもらっていると感じます。

――BL作家になったきっかけを聞かせてください
ずっとBL作家になりたくて、出版社の開催する公募に原稿を送っていました。結果は良くて最終候補止まりか、一番下のデビューには繋がらない賞を受賞する程度でした。
なかなか選ばれず、デビューもできず、ましてや担当もつかず、小説を書くこと自体に悩んでいたのですが、そんな時たまたまラヴィノベルズ様の作家募集を見つけ、私からメールをしたのがきっかけです。今の担当様からお返事をいただき、デビューさせていただく運びとなりました。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。
担当様をはじめ、関係者の皆様に支えられてここまで来られました。
読者の皆様にシェミとラビエルの恋が届き、「オメガバース」や「番になる」というテーマに少しでも新しい手触りを持っていただけたら嬉しいです。

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「あなたを選びたいから選ぶ」、そんな“意志の恋”を描いたつもりです。
不器用でなかなか素直になれないところもあるふたりですが、最後には確かにお互いの手を取る関係になっていきます。
誰かに「自分を選んでもらえる」って、涙が出るくらい幸せなことだと思います。
よろしければ、お読みいただけたら嬉しいです。

◆ラヴィノベルズ編集部より
四宮先生は弊社よりデビューの作家様です。
真面目で勉強熱心で時には担当編集より研究されていたりします。そんな先生に負けないように必死に作品作りに取り組ませていただきました。

そんな先生が手掛ける作品は、インタビューを見ていただけたらわかると思いますが、繊細かつ丁寧にラビエルとシェミの関係を作りあげてくださっています。

一味違う身分差×オメガバースを読んでみたい方におすすめです!

また今回は漫画家のさきしたせんむ先生にとっても素敵な表紙を描いていただき、四宮先生のデビューがとても華やかになりました。
見つめ合うふたりが大変美しい書影に仕上がっています。

是非たくさんの方に読んでいただけたら幸いでございます。

またこちらの作品でショート動画も作成予定です。
よろしくお願いいたします。

 

小説『教育係オメガは教え子アルファからの一途な溺愛を拒めない

 

その他情報

 

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(C)四宮薬子・さきしたせんむ/ラヴィノベルズ

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