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【今月のオススメ】“ラブ”だけじゃない男同士の関係性に萌える!BL5作品レビュー!

2020/01/10 21:00

こんにちは、電子書籍ストアのBookLive!です。
最近発売されたBL漫画のおすすめをご紹介♪
注目のデビューコミックスから、隠れた名作まで、BL担当書店員が熱く語ります。

16年越しの恋が美しく実る瞬間――『バイ・マイ・サイド』

  • バイ・マイ・サイド
    バイ・マイ・サイド
    ナツメカズキ
    743円 (676円+税)


    料理人の左京とフローリストの右山は、高校時代からの腐れ縁。出会ってから10年たった今も、同じアパートで隣り合わせに暮らし、ベランダからお互いの家を行き来する仲の良さです。しかしある日、左京が右山の部屋を覗くと、彼は左京の名を呼びながら自慰行為に耽っていて……。

    高校時代からの友人同士が “腐れ縁”と毒づきながらも、なんだかんだ大人になっても仲良しで、実はどちらか片方が相手に思いを寄せている。歴戦の腐女子なら「あるある〜」と思ってしまいそうな王道の設定・シチュエーションですが、猛者たちよ本作を侮るなかれ。ナツメカズキ先生の手によりエモエモのエモ案件に仕上がっています。
    桜の花咲き乱れる中で出会った高校時代、2人っきりの屋上や教室でじゃれ合い、ときには夢を語り合った――そんな美しい時間の中で生まれた恋心は、 26歳の夜、無残に砕け散ります。酔いつぶれた右山の熱い体にうかされた左京は「見ちゃったんだけど お前がオナってるとこ」と思わず告げてしまうのです。そしてその雰囲気と酔いに任せて左京に迫ってしまう右山。欲情、酩酊、困惑、自暴自棄、そして後悔といった無数の感情が、アルコール臭い吐息と2人が発する熱気とともに画面から伝わってきそうなほど、生々しく読み手に迫ります。

    ナツメカズキ先生といえば、裏社会を舞台にしたカタギのデリヘルドライバー✕美貌の男娼の救済物語『MODS』、死んだ兄と瓜二つのヤクザ✕兄の元恋人で現デリヘル店長の悲恋を描いた『NIGHTS BEFORE NIGHT』(ともに東京漫画社)が代表作。裏社会ゆえのハードさと、それを上回る温かな救い、そして切なく甘美な恋模様にうっとりと酔いしれてください。

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とても優しくて完全に狂っている俺の恋人『君は僕を管理する』

  • 君は僕を管理する
    君は僕を管理する
    山田すぽこん
    715円 (650円+税)


    手料理が苦手でコンビニ弁当や菓子パンばかり食べている大学生・須藤。毎日通うコンビニの店員・長谷川から突然手作りの弁当を渡されます。同時に、大学のロッカーや自宅アパートに変質者からの嫌がらせを受けます。変質者の正体はまさか――と疑う須藤ですが、夜道で襲われたとき助けにきたのは当の長谷川で……。
    会話もまともにしたことがないコンビニ店員と常連客。そんな距離感からいきなり須藤に手作り弁当を渡し、「僕に君の栄養管理をさせてください」と申し出る長谷川。普通に考えれば恐怖でしかないのですが、きらきらとした彼の笑顔に押されて、思わず須藤は長谷川を受け入れてしまいます。それから長谷川は甲斐甲斐しく須藤の世話を焼き、須藤も心を許していくという微笑ましい展開かと思いきや、長谷川は以前から須藤のことが気になっていて、変質者騒ぎも彼が仕組んだことだったのです。ただ、裏の顔を持っているというよりは、「どうしたら須藤くんに近づけるかな?」→「そうだ、変質者に襲われたところを助ければ信用してくれるはず!」という、ナチュラルに狂った思考回路が長谷川の魅力(?)。あくまで邪気はないのですが、目的を果たすための手段は選ばないというところに「マジもん」の狂気を感じ、裏表ある系サイコパスよりよっぽど怖くて震えます(だがそれがいい!)。そんな長谷川が須藤のために作る“特製スパイス”は必見です。

    同録の「優しい地獄」も病み度高めの作品。お人好しで優しい親友・健一を自分だけのものにするために、事故で負った傷をちらつかせる薫。健一に執着する薫と、その執着を平然と受け入れる健一の、2人っきりの閉じた世界が尊くて泣けるのです。この世界観にハマった方には、分冊版しか出ていませんが『レプリカント ―羊のドリーを愛するということ―』(フューチャーコミックス)もぜひ読んでいただきたい……!

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“ラブ”だけじゃない男同士の関係性に萌える!『指先の染み』

  • 指先の染み
    指先の染み
    たうみまゆ
    781円 (710円+税)


    腹違いの兄である人気若手議員・櫻田門明を政界の陰謀から守るため、汚れ仕事を一手に引き受ける明菜。門明のためなら、女と寝て利用することも厭いません。表舞台で門明と共に戦うのは大学時代からの付き合いの九重。そこに、門明の“特別な友人”カルも加わり、魑魅魍魎が跋扈する政界を生き抜く男たちの凄絶なドラマが始まります。

    この作品の見どころは、誰かと誰かが愛し合い結ばれて幸せになる姿ではなく、泥沼の中で絡み合い溺れていくような男同士の関係性です(断言)。幼い頃から兄を恋い慕っているのにその本性を知らない明菜、そんな関係を高みから嗤っているようで明菜に惹かれつつあるカル、腹に一物抱えていそうな門明の懐刀・九重。いろんな矢印が色んな方向に向いている、ドロドロで複雑な人間関係がおいしいです……。
    また、3人の中心にいる門明の怪物ぶりも、闇の腐女子にはたまりません。明菜を門明から解放するため、カルは「ボクと世界中を搔きまわす仕事に興味はない?」と誘いますが、門明は「僕には明菜しかいないから 明菜にも僕しかいないように」と明菜を自分のもとに縛り付けるのです。「魔手」という表現がしっくりとくるこのやり口、BL史にその名を残す至高のサイコパスが爆誕いたしました。現場からは以上です。

    ヤクザの才能に恵まれたエリートと才能がない血統書付きヤクザの、15年にわたる絆を描いた『傘を持て』(竹書房)もたうみまゆ先生の傑作です。これぞまさに「男の絆」と呼びたくなる深い深い愛情を、甘さ控えめに表現するその筆力に圧倒されます。

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「運命」や「本能」に支配されない本物の愛をつかむまで『僕たちは運命に嫌われている』

  • 僕たちは運命に嫌われている
    僕たちは運命に嫌われている
    KINACO
    759円 (690円+税)


    高校2年の夏、ベータからオメガに変異した八尾。突然起きたヒートから八尾を救ってくれたのは、陸上部のライバルでアルファの九條でした。そして、後天性オメガゆえの強い発情を抑えるため、2人は度々体を重ねるセフレの関係に。ライバル同士から徐々に甘い関係に変わっていく八尾と九條でしたが、九條の「運命の番」が現れて……。

    これまでのオメガバース作品では「運命の番と結ばれるまで」が描かれることが多かったのに対し、本作は「運命に背を向けて、心が愛した人と結ばれるまで」の物語です。しかも、アルファが「運命」に逆らうと、最悪死に至るという過酷な設定。運命に抗おうとする九條の切実な思いは美しいですが、それゆえに八尾は「自分のせいで九條が死ぬかもしれない」と苦しみ、九條を突き放すような行動に駆り立てられます。互いを思う気持ちが強いほどに傷つけ合ってしまう――過酷な試練に胸が痛みますが、試練が過酷であればあるほど、それを乗り越えたときの光が大きいもの。救いに溢れたクライマックスに、涙腺が死にそうになりますが、降り注ぐ幸せの光を全身で感じてください!

    人生山あり谷ありに萌える光の腐女子に全力で推したいKINACO先生。デビューコミックの『雨宮先生はまだ恋を知らない』(エンターブレイン)も幸せホルモンで脳をびしゃびしゃにしてくれる作品です。ちょっと強引だけど健気なわんこ系男子学生に、「サイボーグ」とあだ名される美人なツンデレ教師がほだされていく様子を菩薩の微笑みで見守りましょう。

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永遠の生を、2人きりで歩いていく『わだつみの嫁取り』

  • わだつみの嫁取り
    わだつみの嫁取り
    文善やよひ
    770円 (700円+税)


    「60年後庚午の元旦にまたこの海で落ち合おう」。そう言って別れた人魚と、人魚に娶られ不老不死の身となった人間・キヨが再会したのは、59年後の元旦。2人はキヨの営む薬屋で、約束よりも1年早い蜜月生活を始めます。一見仲睦まじい人魚とキヨですが、お互いに明かしていない胸の内があり……。

    怪我を負って死にかけていたところを人魚に助けられ、それから長い時を生きてきたキヨ。大事な人を看取ることに疲れた彼は、59年の間人魚を待ちながら、不老不死の呪いを解く方法を探していました。
    一方、キヨと出会う前は悠久の孤独の中に生きていた人魚。死んだ自分の仲間を弔ってくれたキヨのことが気になり、それからキヨのことを見守り、時たま陰から手を貸し、としているうちに「見るだけじゃ足らずもっと傍に行きたくなったんだ」という無垢な言葉が胸に刺さります。始まりはどこにでもある恋の形に似ていながら、その結果は“永遠の生を相手に強いる”という絶望的な落差が辛く悲しい……。人外BLでも、「不老不死の運命」をここまでシビアに描いた作品は初めてではないでしょうか?
    それだけに「わたしはおまえよりコンマ一秒でも長く生きて最後の人魚を見届ける」というキヨの言葉に涙を禁じ得ません。

    その羽根の色が美しければ美しいほど強い毒を持つ鳥人・鴆(ジェン)と人間の愛憎を描いた『鴆 -ジェン-』(プランタン出版)や、人ならざるものが訪れる旅館で働く人間と常世の王の切ない純愛物語『極夜』(プランタン出版)など、ファンタジーBLの傑作を多く世に送り出してきた文善やよひ先生。本作でもその魅力が余すことなく披露されています!

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