BL百名山

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第七回「薫りの継承」

2016/04/07 19:08

今日のレビュータイトルは
「薫りの継承」(中村明日美子/リブレ出版)

明日美子先生の真骨頂!耽美な官能が薫る

 義理の兄弟である忍と竹蔵。いつも冷たく竹蔵を見下す忍に、竹蔵はほのかな想いを抱いていた。ある晩、義姉の香水を纏って兄の寝室に忍び込んだ竹像は、声を殺し、怪我して目の見えない忍を激しく愛撫する。行為は次第にエスカレートし、弟は兄を犯すのだった……。

「久々に明日美子先生のお耽美官能モノキター―――.ヽ(≧▽≦)ノ」と狂喜乱舞した腐女子&貴腐人&腐男子が続出したことでしょう。ワタクシもその1人です! 『同級生』シリーズのようなほのぼの純愛系ももちろん素晴らしいんですが、やはり明日美子先生の真骨頂はコレでしょ! と言わざるを得ません。まるでフランス映画を見ているような小粋で繊細な美しいカット、静と動のバランス、多くを語らないセリフと、その反対に多くを訴えかけてくる視線、意味深な小道具の数々、そして誌面から濃密に匂い立ってくる、タイトルにもある“薫り”…etc もう、語りつくせないっ! キーワードだけを抽出すると「近親相姦」という、地雷要素の多いインモラルな題材ですが、この作品はそんなチープなことを飛び越えた先にあるんですよねぇ。
たくさんの方が各々の解釈や想いの丈を語っていらっしゃいますが、まだ読んでいない方にはまず、何にも捕らわれないでご自身が感じるままに読んでいただきたいっ! その後で、他の方の解釈を租借し、色々な味わい方をしていくことをおススメします。それだけ巧緻で深―――――い物語です。

貴方が少しでも良い作品に出会えますように。

ライター:葉月瑛斗

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