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第八回「恋愛ルビの正しいふりかた」

2016/04/08 19:11

今日のレビュータイトルは
「恋愛ルビの正しいふりかた」(おげれつたなか/新書館)

お得意の“泣き”と“エロ”で満腹中枢を刺激されまくりっ!

「この泣き顔が見たかったんだ」
高校時代、暗いメガネだった俺に、図々しく絡んできた、黒歴史・鷲沢夏生。数年後、俺は夏生に再会して告られた。これはチャンスだ。付き合って、惚れさせて、ズタボロに捨ててやる!

「どうせ、また殴って終わる」
夏生と高校時代つるんでた林田は、会社のチャラい後輩・秀那を、酔った勢いで誘惑し、セフレになった。後悔の数だけ開けたピアスで穴だらけの俺を、おまえはずっと抱けるのかー?

 2組のカップルのお話が収録されていますが、どちらも読みごたえアリ!!! 
まずは表題作の『恋愛ルビの正しいふりかた』から。こちらは高校時代“インキャラ”だった美容師の弘が、黒歴史の元凶・夏生に再会し、復讐のために夏生と付き合うところから始まります。“復讐”なんて、ちょっと重めのストーリーかと思いきや、全体的にめっちゃキュート! けなげに弘に尽くす夏生に、一緒の時間を過ごすうちに弘は次第に夏生に惹かれていくんですが、夏生に心が傾くたびに「これは復讐なんだ」なんて必死に自分に言い聞かせている弘の、なんたる可愛いことか。結局、根底は“いい人”なんですよね~。夏生にしても、無邪気というかストレートで、いい意味でおバカなところが可愛い! 二人ともうぶで、もうホント、温かい目でこの恋の行く末を見守りたくなっちゃいます♪
 一方、同時収録作『ほどける怪物』は、『錆びた夜でも恋は囁く』で主人公の一人・弓の彼氏として登場したDV男・かんちゃんのお話。表題作よりも、こちらの方が重いですが、その分、読み応えも十分! どうしてかんちゃんがDVをするに至ったかが判明するのですが、もうね、かんちゃんの苦悩が痛いです。でも、これって誰にでも起こり得ることですよね。かんちゃんって誰よりも不器用で、本当はとっても素直だからこそ、こういう風になっちゃったんじゃないかなぁ……。そんなかんちゃんのお相手・秀那は、年下ゆえの軽さというか、一見チャラいんだけど、実は芯が強くて懐が深い! 秀那の存在がかんちゃんの救いとなってくれて、本当に本当に本当に良かった!!と涙が止まりません!!!
 ちなみに両作品とも、キレイな絵とハンパないガッツリエロもしっかり堪能できちゃいます。それだけでもある程度の満足感を得られますが、そこにストーリーも伴っているし、おげれつ先生お得意の“泣き”シーンもたっぷりで、もう本当に満腹中枢を刺激されまくりです! 『錆びた~』を読んでいる方にとってはリバ要素があるので、リバが苦手な人はちょっとだけ注意で~す。

貴方が少しでも良い作品に出会えますように。


ライター:葉月瑛斗

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