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第九回「終わらない不幸についての話」

2016/04/09 19:13

今日のレビュータイトルは
「終わらない不幸についての話」(緒川千世/海王社)


好きな人の前ではポーカーフェイスを装えない……そのギャップに萌ぇ~!

 この恋は絶望的。だってアイツの好みは背が低くて髪の長いかわいらしい女の子。だから悔しくて、アイツの彼女を奪ってやった━━。
中学の頃、密かに好きだった清竹と8年ぶりに合コンで再会した烏童。相変わらず真っ直ぐな彼とクズのような自分は釣り合わない。だけど、酔って意識のない清竹を前に燻っていた気持ちが爆発し、思わず寝ている彼と強引に体を重ねてしまう。想いは遂げたはず。なのに恋の痛みは、なおも烏童を苛むのだった。

「誤算のハート」でちょっと危険なスパイス的に登場した烏童兄のお話です。いや~あのチャラくてイケメンなお兄ちゃんが、まさかこんな切ない恋をしているだなんて…。オシャレ感満載のインテリアとキレイ目ファッション、余裕な態度とポーカーフェイスで完全武装しているはずが、好きな人の前だと取り繕うことができずに崩れてしまう、そのギャップがたまらん! イケメンのいじらしい姿って萌ぇますね~。若干お兄ちゃんのペシミスト加減がウザく感じる方もいらっしゃるかもですが、Tha’sペシミストのワタクシとしては、ぜ~んぜん許容範囲。恋って人を強くも弱くもするものですわ…。
『誤算のハート』の弟カップルの短編も収録されているので、ぜひ、前作を引っ張り出して再読してください。

貴方が少しでも良い作品に出会えますように。

ライター:葉月瑛斗

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