てんてん
本品は『孤独の鷹王と癒しの小鳥』のコミコミ特典小冊子です。
本編後、鳥族のロニ視点での2人の後日談です。
鳥族は森の奥深くで暮らしています。ロニがポーリエの王城に様子を
見に行くというとフィリは顔をしかめました。
エナガとポーリエ王との仲は村で許した事であり、フィリはエナガは
幸せに暮らしているのだからロニが行っても辛くなるだけだと言いま
すが、ロニはコロコロ笑っていたエナガを見られないだけでずっと
冬が続いているような寂しさを感じ続けていたのです。
2人はオーロラの三姉妹の祝福を受けたのだから、誰も邪魔なんか
できないし、ポーリエ王がエナガを大事にするだろう事もわかって
いますが、気持ちはそう簡単に切り替えられません。ロニにすれば
"見るくらい、いいじやないか"という気分なのです。
夜明けの薄い雲をたなびかせた空をロニは飛び続け、頑丈な石の
城壁に囲まれた都の中にある王城を目指しました。そして城の
最上階にある王の部屋の窓辺に止まります。
鳥の姿で美しい透かし彫りの間から覗き込むと、広い部屋の奥にある
寝台から覚えのある声が漏れ聞こえてきて・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)12頁というボリュームで、
エナガに恋していたロニが2人の朝の様子を覗き見るお話です。
甘い蕩かすような吐息と合間に漏れる声は間違いなくエナガのもので
艶やかな声音と場所から、ロニにも2人が何をしているのかは予想が
つかないわけではありません。
ロニの脳内では白い頬を朱に染めたエナガが浮かび、全身が耳に
なったように音を拾ってしまいます。見るからに逞しそうなポーリエ
王を思い出し、エナガが壊れてしまうのでは!?とまで思いますが
実態は単にエナガの着替えをポーリエ王が邪魔していただけでした。
朝からいちゃいちゃな2人に当てられつつも、ポーリエ王のからかう
たびにエナガが見せる顔が可愛くて見入ってしまう
・・・というロニの悶々が楽しいSSでした (^-^)
エナガを忘れられないロニ視点で"いかにも"な場面を覗き見させる
という設定はなかなか美味しいところをついています♡ロニはまだ
まだエナガを忘れられそうにないので、また色々な妄想を膨らませ
つつ覗き見を続けそうですね。