「俺はもう一度、必ず戻ってくる」──。

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表題作僕が一度死んだ日

亡くなった恋人の生まれ変わり? 福良有樹
予備校講師 鳴沢啓一郎・29歳

あらすじ

12年前に亡くした恋人・孝徳(たかのり)を忘れられずにいた塾講師の鳴沢(なるさわ)。けれどある夜、見知らぬ少年が現れて、自分は孝徳の生まれ変わりだと告白してきた!! 混乱する鳴沢だが、さらに職場では、孝徳と瓜二つの男が、同僚として現れて──!? 成長した孝徳そのものの大人の男と、幼い声で慣れたように鳴沢を呼び、想い出を語る少年。鳴沢は二人の間で翻弄されて!?
(出版社より)

作品情報

作品名
僕が一度死んだ日
著者
高岡ミズミ 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199005749
2.8

(15)

(0)

萌々

(1)

(11)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
39
評価数
15
平均
2.8 / 5
神率
0%

レビュー投稿数6

愛の執念はすごいです!!

”BLはファンタジー”と言いますが、まさにこれはファンタジーです。
でも高岡さんの淡々とした文体で綴られると、”ひょっとしてあるかも?”って思っちゃう。
いや、あるといいな~って思えるお話でした。
でも、、、、そんなに十数年も一途に一人の人を思い続けるって難しとは思うんですが。
だからそこもファンタジーなんですよね。

17歳の時、恋人を病で失くした啓一郎。
その亡くなった恋人・孝徳は「オレは約束する。必ず戻ってくると」と言い残し、この世を去っていったのです。
29歳になっても、まだ彼が忘れられずにその恋をずっと引きずっている啓一郎。
そこへ、孝徳の生まれ変わりだという少年・有樹が現れます。
啓一郎と、孝徳しか知りえない思い出を知っている有樹。
同じ時期に、勤める予備校に講師として孝徳によく似た正村という男性が赴任してきて、啓一郎は混乱するのです。

啓一郎の前に有樹が現れた時の有樹の年齢は11歳。
ひょっとしてショタ攻め・・・!?と危惧しましたが・・余計な心配でした(早とちりww)
多分、ずっと一人を思い続けている啓一郎を認められなければ、たった一つの言葉で啓一郎を縛り付けた孝徳を認められなければ、このお話に共感を持つのは難しいかもしれません。
しかし、前述した、”ファンタジー”というたった一言の魔法がかかることによって、物語としてはとても面白いものだったと思うのですよ。

啓一郎の後輩の木崎という男が、やけに啓一郎に絡むので、ひょっとして何か?と思わせましたが、単なる比較対象。
正村も、孝徳にそっくりという登場の仕方をしましたが、その気持ちを確かめるのに、一度寝てみるということをした啓一郎に、
あ、意外にこの人は普通の人だ、と安心感を感じたり。
ただ、有樹の出現(物体みたいだな~、、)
すごいです、奇跡です、願えばすぐ転生できるのか!?

ラスト、、初めての出会いから10年後ということで、啓一郎は38歳で有樹は20歳。
ふと、孝徳であった前世は啓一郎が見送る形になったけど、現生は有樹が啓一郎を見送るんだな、、、と思わず遠い将来をぼんやりと考えてしまいました。
久々の書き下ろし、結構よかったな、と思います。

6

タイトルもったいない気がします;

穂波ゆきねさんのイラストで
どぎゃーんともごぎゅーんともつかないような
なんとも言いようのない高揚感をいただけますありがとうございます!!

塾講師の鳴沢は、高校の頃の恋人を病気で亡くし
12年経った今でも夢に見る程孝徳を忘れられず苦しみます。
その孝徳が病床で言っていた言葉が
「必ず戻ってくるから」というもので
それに囚われたまま誰にも強く惹かれる事がありませんでした。
ある夜マンション前に見知らぬ少年が待っていて
二人にしかわからない思い出話をしますが……。

生まれ変わりというものを私も信じたいですし
やはりファンタジー要素が強いながらも
苦しみ続けた鳴沢が幸せになってくれたらいいなと望みました。
孝徳の生まれ変わりだと言う少年を
にわかに信じられないのも混乱するのも当然です。
しかも新しい塾講師として現れた正村という男が
孝徳とそっくりな外見と声で
ますます揺さぶられる鳴沢…ひー!!←

この正村がスマート且つちょっと強引で
こんなイイ男逃すのは勿体無いって!!!と
つい力が入ってしまいましたww
ですから、鳴沢が自分の気持ちを確かめるべく
正村と肌を重ねるシーンが好きでして…。
いくら孝徳と似ていても、どれだけ巧みな愛撫でも
一度の交わりで“孝徳じゃない事実”に気付かされてしまう。
正村に惹かれていきそうだった気持ちがすっと引いて
気が済んだというのはある意味リアルさを感じました。
当て馬スキーなので、正村にはもっと頑張って欲しい気がしましたがw

鳴沢に信じてもらえなくて
現状も決して幸せとは言えない11歳の孝徳の懸命さを思うと
可哀想になって胸が痛みますが
成人してしっかり再再会を果たすので無問題です!!!
孝徳が生まれ変わってからは
鳴沢と18歳差とかもかなり美味しいですし!(個人の感想です)

鳴沢が、ノンケの年下塾講師にまでも好意を向けられ
モテモテでしたが
穂波さんのイラストで納得させられてしまうのです!!!
こんな美人なら仕方ないだろなーって。

孝徳にそっくりな正村との、鳴沢の駆け引きめいたところが
実は一番好きなんですって言ったら
もしかしたら違う楽しみ方なのかもしれないですが
私はそうでしたという事で
妙な開き直りをさせていただきます!!(意味不明)

鳴沢視点でお話が進むので
タイトルも鳴沢の気持ちが反映した方が良かったのでは…と
余計なお世話で大変申し訳ございません;;

4

東雲月虹

クリボウさん!こんばんは!!

正村、本当に出来すぎた当て馬です!!
素敵なのでクリボウさんにも
「ひー!!」になっていただけるといいなww

コメント下さってあざました♡♡♡

クリボウ

東雲さん

こんばんは~!!

ひー!!←に惹かれて読もうと思いました(笑)
だって脇役スキーですもの。

2人の強い想い

この作品で一番印象に残ったのは、攻め様、受け様ともお互いに対する思いの強さ、というか執着の強さだと思います。
作家さんもあとがきで書かれてますが、二人とも愛の強さが半端ないです。
ファンタジー要素が含まれているので、それを受け入れられるか受け入れられないかが、ストーリーに素直に入っていけるかどうかということに影響を及ぼすかと思いますが、私はこういう設定は決して嫌いではないので、むしろロマンチックな要素としてお話を楽しむことが出来ました。
雰囲気としては終始シリアスな展開です。
受け様が少し悲観的な所があるので、少し暗めかなとは思いますが、脇に明るい性格のキャラがいるので、彼のお陰で少し緩和された印象でした。

2

イラストが好きで

BL脳に侵されている時は泣けるが、一般脳の時に読むと戦慄を覚える難しいラインの作品。

高校生の時に恋人として付き合い始めたカプの、死別&生まれ変わりもの。設定からして重い系なので察して欲しい笑

受けが初めて付き合った亡き恋人のことをずっと忘れられずにいたところ、必ず生まれ変わって受けに会いにいくと約束した攻めが本当に現れるというお話。ただし、11歳の子供の姿として。

攻めの生まれ変わりだと自称する有樹は、施設で生活している捨て子だった。この、必死で健気な有樹に対し、受けがかなり酷い扱いをしているのが気になったのだけれど、受けの気持ちを表現するにはそういう態度にせざるを得なかったというのも理解できる。

悲しみの只中にいるうちは周りなんか見えないし、いい歳した大人だって自分のことで精一杯なのだから…、と。

攻めの従兄弟や、受けが講師として勤務する塾の後輩株、受けを惑わす新任講師など、嫌味のない役回りが受けの心情を波立たせ、攻めへの思いにしっかりと受けを向き合わせてくれる。受けの執着もかなりのものだよなぁ。

ストーリーは非常に上手くできていて、エンディングも胸熱だけれど、やっぱりBL脳でなければ浸りきれない特殊な設定かもしれない。

初めて読んだ時は「神」で、今だと「萌×2」と「萌」で悩む。読む人を選ぶという意味では「中立」に落ち着くのかな。

キャラレーベルは昔から路線が変わらなくて安心する笑

1

有樹はなんなのか

本来のカップルは報われたかもしれない。でも、その裏で存在を奪われた人がいると思いました。

鳴沢は、亡くなった恋人にとにかく心を奪われているのだと思います。
12年ですよ。年賀状の絵柄が一周するほどの過去に亡くなった人を思ってる。それは亡き孝徳が生前に誓った 「必ず戻ってくる」 という言葉を信じているから。…信じているというよりも、縋っていると言ったほうがいいような気もするほど、縛られていました。
しかし13回忌の日、鳴沢の元に現れた11歳の少年が孝徳とだけ共有していた思い出を語ったことからお話は展開していきます。
孝徳はほんとうに生まれ変わっていた、ほんとうにもう一度会いにきてくれた…そうしたこと事態は、愛の力ってすごいんだぜというような流れでとても良かったと思います。

が。
私は読破してから、その少年…有樹というのですが、彼が可哀相でならなくなりました。そもそも “生まれ変わり” というものの概念自体、私の考えるそれとズレていたのかも知れません。
というのは、有樹があくまで孝徳とされていたからです。鳴沢の前に現れた有樹は、自分は孝徳の復活した姿だと主張しています。過去の記憶をまだらに覚えており、大好きな鳴沢に会いにきた、と。
鳴沢も始めは信じておらず、中盤では嘘つきと罵り、最後にはほんとうに孝徳なのだと解る。これってつまり、有樹は “有樹” ではなく “孝徳” なのでしょうか?肉体としては有樹でも、精神が “孝徳” になっていて、“有樹” の部分の描写は全くなかったと思う。
有樹という存在はあくまで器でしかなく、中身が “孝徳” であることだけに意味を要しているように思えて、有樹のアイデンティティをまるっきり無視しているような気がしました。有樹は “有樹” のはずなのに、“孝徳” にさし換わっている。それを鳴沢はおろか本人も自然に受止めてしまっているのが気になりました。

なので、生まれ変わりというよりも、私はこれは憑依だと思いました。生まれた瞬間、あるいは生を受けた瞬間から “有樹” は “孝徳” に奪われてしまったのだと思う。
そうでなければ、有樹がなんのために生まれてきたのかが解らないです。
「僕は君に会うために生まれてきたのかも知れない…」
などという言葉がありますが、実際にそんなことって、有り得ないじゃないですか。
それなのに、有樹はあたかも孝徳の器となるためだけに生まれてきたようで…それがとても可哀相だった。このあたりのフォローが欲しかったです。

7

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