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表題作式霊の杜

その他の収録作品

  • プロローグ
  • 第1章~第6章
  • あとがき

あらすじ

悠久の時の彼方、麗郷大陸の北の果てに生まれながらにして特殊な能力を持っている「式使」が暮らす集落、「式霊の杜」がある。彼らは「式」の力をもって、麗郷大陸を統べてきた覇王にその力を貸していた。
 幼馴染である西緒と張良は、式霊の杜の出身である。秦の始皇帝により、滅ぼされたかに思えた「式霊の杜」だったが、式使たちは身を潜めて、大陸の各地で生活していた。
 物語は、始皇帝の軍に式霊の杜を追われた時のショックで記憶をなくした張良と、各地を転々と旅する西緒が再会するところから始まる。
再会も束の間、張良は式霊の杜のことはもちろん、西緒のことまでも忘れていた。そんな時、式使であり、大陸の王になろうと目論んでいる楚の范増に、2人は見つかってしまう。
張良を追っ手から守るため、西緒は忌むべきものとされる「邪瞳」の力を使う。
全身にあふれ出す殺人への衝動と渇望。
愉悦の表情の中、西緒は敵を殺していく。
辛くも、逃げ切った2人は、范増の目論見を阻止すべく、楚とは敵対国にある周へと向かう。
周・楚・斉。
三つの国がひしめき合う戦国で、西緒と張良は戦いの中で絆を深めていく。

(出版社より)

●著者:いちだ かづき
島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞(2010年)を受賞

●イラスト:天領 セナ
ソフトバンククリエイティブ刊行「専門学校生のための必修SAIマスター」表紙イラスト
アキバ系美少女雑誌 「E☆2 ガールズ・ガールズ・ガールズ!」イラストや
携帯ゲームのイラストほかで活躍中。
まんが家としてもデビュー予定。

作品情報

作品名
式霊の杜
著者
いちだかづき 
イラスト
天領セナ 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
ISBN
9784062867221
4

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
4
評価数
1
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

歴史に名を残す人物たちの内助の功

中国の「楚漢戦争」をモチーフにした作品で、項羽と劉邦の戦いを背景に
劉邦の軍師でもある張良と妻である西緒の謎に秘めた力を持ちながら互いに絆を
深め合い、一心同体の運命を描いた時代ロマンの作品でした。

作品自体に歴史上の人物が登場していますが、あくまでも架空の世界感と更に
ファンタジー要素を組み合わせた作品になっていて、大河ドラマなんかでもある
妻側の視点で進められていくお話なんです。
BL作品ではないので、男女の話になってしまいますが、読み物としては面白い!

始皇帝亡き後の覇王を巡る戦いに、「式使」と言う特殊な能力を持った能力者が
わんさか出てるのも、日本で言うと陰陽師とか妖術使いなんて感じで興味が尽きない。
物語で1番覇王に現在近い項羽の妻になる始皇帝の娘で、人ではないような感じの
姫様の存在が更に興味を惹きたてます。
「式使」の能力も効かない特別な力を持った冷酷なこの世の者とは思えない姫様で
付に1度、必ず人間の生血の風呂に入らなければならないなんてどこかの貴族の夫人を
思い出してしまうような内容もありました。

そして主役でもある西緒は「式使」の中でも忌み嫌われる「邪眼」の使い手で
「邪眼」を使っている時は、殺戮に快感を覚えてしまうような、でも、それは己でも
呪われた力だと思っているんですが、夫である張良を守る為に使うんですよ。
かなり健気なんですが、そもそも夫婦と言っても名前だけの夫婦なんです。
「式使」を狙う項羽から逃れる為に、夫婦と偽って共に逃げていたのですが、
劉邦に助けられ、そのまま劉邦の国で暮らす事になった時にも、夫婦と言っていたので
否定しないままに、夫婦生活を続けているんです。

でも、二人は幼なじみで張良を昔から好きで片思いしている西緒は複雑なんです。
好きなのに素直になれないし、相手は名前ばかりの夫婦になっても関係も変わらない。
本当の夫婦のようになりたいと焦れている西緒なんです。
主役二人のその手の事に奥手な感じが、微笑ましくもじれったくもありますが
これからも続くであろう戦いに甘いばかりではいられないストーリーです。
三国志とか歴史ものが好きな人には難なく読みこなせる作品だと思うのですが
なじみの薄い私は聞きなれない漢字の人物や国に、これはぁ~なんて前半でかなり
グルグルしちゃいました(笑)
でも、次回作の登場を待ちわびたくなるストーリーで楽しめました。

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