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表題作ラ・エティカの手紙

新開健祐,28歳,製薬会社社員
岸和薫,28歳,グラフィックデザイナー

その他の収録作品

  • Distansia del final

あらすじ

その日、岸和薫は幼なじみと十年振りに再会した。
デザインの依頼を受けて訪れた製薬会社に彼、新開健祐はいたのだ。
青春時代を一緒に過ごし、ある日を境に友達のラインを超えた。
そんな関係が続くことが怖くなり、高校卒業とともに健祐から逃げるよう上京した薫は、
十年経っても変わらず好意を寄せてくる健祐を拒絶するのだが……?

作品情報

作品名
ラ・エティカの手紙
著者
名嘉あいか 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHY文庫
発売日
ISBN
9784813041429
2.9

(20)

(2)

萌々

(6)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
2
得点
51
評価数
20
平均
2.9 / 5
神率
10%

レビュー投稿数2

題名のエティカ=倫理 薫の「倫理の葛藤」

yoco先生の挿絵。過去の自分達を見つめる今の薫。
絵師買いした本、初読み作家。この著者の唯一の商業本。

タイトルがなじみない語句、
あとがきに、エティカはラテン語のEthica。
この物語では、単純に「倫理」という意味で使用したと、ありました。
「薫の抑圧した想い、倫理の葛藤」を封じ込めた手紙、という意味。
倫理の葛藤から逃げた者が10年ぶりに最愛の人と再会する物語

粗筋の流れを補う挿絵で、救われている。
でも、遊びがある凝った書き込みで、とても面白かった。
欲を言うなら、もっと簡素化したら、展開の淀みが減ると思う。

--
岸和薫と新開健祐は、幼馴染。
薫の母はシングルマザーの外科医、健祐の親が運営する病院に勤務。
薫の祖母が入院して、健祐の家で帰宅後の薫を預ることになる。
そして、二人とも医大に合格するが、 
薫は、健祐との関係に不安を感じて、何もかも手放して逃げるように上京する。
それから10年経過。
深い関わりを嫌い、とっかえひっかえセフレを変える薫。
医薬品メーカーの依頼を受けて打合せに行くと、医師になっているはずの健祐が居た。
健祐は、昔のまま素敵。
突然再会して動揺する薫。訳も分からず苦しくなる薫。

薫が全てを捨てて郷里から逃げた本当の理由は、薫自身が記憶を封印した為、思い出せない。
・・薫の封印した記憶を思い出して、復縁するまでの物語。
二人の味方は、薫の母。

--

◆Ethica, エティカ : 倫理学という意味
17世紀オランダの哲学者スピノザの著書. 倫理・宗教の書 。
「人間の本質を力だと考える人間観」

※著者ブログにて最新作『 藍繋ぐ星 』が更新されてます。
http://fermatagate.blog.fc2.com/

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炙り出された十年愛

全編受け視点です。幼馴染の同級生。
表紙絵は高校生の頃と現在とが自然に織り込まれていて、ラテン的な色彩です。
田舎の保守的な家族、性的マイノリティへの偏見、カミングアウト、この三つが避けられない環境下をベースに生きてきたお話です。
二人とも、高校生にして簡単ではない決意をします。受けはその苦い決断をなかったことにして、自分の道を切り拓きなんともなかったように生活する。だからなのか、静かな流れで話が進みます。
受けが受験した医学部を蹴ってまで、地元と攻めから逃げた理由が終盤まで分からず読者としてもその謎に苦しみました。なので、受けが何かしらの苦しみを抱えているのが臨場感をもって伝わりました。
もうそんなに苦しまないでくれという感じでしたね。
受け母が男前ですが、攻めへの一発お見舞いは可哀想だった^^;
穏やかに情熱的に抱き合う後日談でホッとしました。



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