腰巾着というパワーワードに惹かれて、レビューの評価が高かったこともあり読んでみました。一瞬、執着系ジャイアンと美貌のスネ夫みたいな話を思い浮かべましたが、ドラえもん味はありませんでしたw
姉の創作世界に転生し、自分がペン入れしたキャラの幼少期になってしまう。総受けの運命から逃れる為に、すったもんだする物語。後半の山場で、主要サブキャラとはいえ第3者がちょちょいで解決させるのが惜しい。面白い舞台設定なので、もう少しストーリーラインのディテールが練られていたら、さらに楽しく読めたような。1巻で完結の感じはあるものの、次巻があるようなので楽しみです。
ゲームの世界の臨場感がとても高く、小説ならではの面白さも加わっています。
WEB小説らしい自由な文体で書かれているのがユニークです。
主人公だけに謎のフラグが立ち、次々と特別なクエストが現れる展開にワクワクし、没入感の高いゲームをプレイしているかのような感覚で一気に読んでしまいました。
序盤早々にお気に入りのNPCから口説かれます。話が早いw
このゲーム内のNPCは、主人公から見ると感情を持った人間のように描かれており、映画『アバター』のナヴィ族を思い出します(見た目はナイス筋肉のイケメン)。人間プレイヤーが死んでも復活できるのに対し、NPCは一度死んでしまえば二度と戻れない―この設定が興味深く、意味深だなと感じます。
NPCの攻めと恋に落ちた主人公が、この先どのような運命を辿るのか。
2巻を楽しみに待ちたいと思います。
三日月(1巻)・満月(2巻)を含めの感想です。ネタバレあり。
元皇太子という立場から得た国政の知識とカリスマ性を発揮し、貧しい領地を立て直していく主人公(受け)。困難に前向きに取り組む姿は清々しく、日本に於いても歪なナショナリズムが目立つ時代だからこそ、為政者・軍人・国民の有り様を描いた意義深い作品だと感じました。
BLらしく、惜しみなく愛に満ちた生活もふんだんに描かれています。
安っぽい正義を振りかざすのではなく、「敵を殺す」、それが戦争なのだと綺麗事を排した描写には説得力があります。終盤の死別については、個人的にはやや地雷。年を重ねるほど、死に際に接する感情は人と共有できるようでできない、とてもパーソナルなものだと感じています。とはいえ全体の評価は変わらず、神作品だと思います。
前国王陛下に仕えたタージェスが、崩御した陛下の一房の頭髪とともに長い旅をするエピソードがお気に入りです。孫にあたる主人公と出会い、旅を終えるまでの物語。
月夜先生の他の作品も、大手プラットフォームで読めるようになることを切に願います。
攻めの顔が異常に良い、という一点以外にBL的な萌え要素はなく、内容としてはDV夫にただ耐え続ける絶望の嫁のようなエンディング。読了させるだけの筆力はさすがお持ちですが、次回作を手に取るかと言われると正直微妙です。
神話好きや鬱展開に快感を覚える層には刺さるかもしれませんが、BLである必然性はあまり感じられませんでした。ジャンルとしてはホラーが最も近い印象。ホラーには怖さと同時に面白さや芸術点も求められると思うのですが、そのあたりは物足りなかったというのが率直な感想です。
神に蹂躙される怖さと快感を描きたかったのかなと感じましたが、そういうニヒリズムに時間を使わないようにしてるので、これ以上はお付き合いできませんw
公爵家の義兄弟という設定の異世界転生もの。転生前の受けは現代日本の敏腕経理マンで社会性のある常識人。消えてしまった前人格の魂はいずこへ。。。?という1点のモヤリはありつつも、前任が荒らした職場を立て直すかのような爽快感のあるお話です。公爵家ならではのお金持ちのゴージャスさもありつつ、領主が果たすべき責任と大義の方に焦点が当てられているので、読んでて空虚さが無い良作。説教臭さは無いのでエンタメとして楽しく読める。攻めが本来持っていた執着があらわになっていく様がよき。ジャガー獣人の子供ティモが野性味があって可愛い。モテモテになるらしいので、彼のストーリーも読んでみたい。
複数攻めの場合、エロ全振りが相場と決まってるとの思い込みがあって、買うかどうか笠井先生の美麗な表紙を眺めながら悩んでいたのだけれど、最終的に読者さんの高評価を見て読んでみることに(面白ければエロエロでも読みますが)。笠井先生を投入するということは、出版社の推しでもあるのでしょう(期待が外れることもあるけど)。結果、買ってみて良かったです。表紙の通り、攻め達の愛がからみつきますが、エロはむしろ控えめで萌であふれてます。ハラハラする展開と、切なさと幸福感を感じる作品。主要キャラ以外も、どんどん登場人物が増えるのに、伏線は回収されないまま終盤へ。続刊があるようなので、待ちたいと思います。