オメガバースが好きでたくさん作品を読んでいます。こちらの作品も前作から読んでいてその時も「好きなところと引っ掛かるところがある」と思いました。
今作もです。
以下ネタバレ含みます。
「乱暴されて妊娠した子供を出産」前作もそうでしたがとてもデリケートな題材だと思います。オメガバースが差別としてはっきり描写される世界観なところも。
題材がデリケートだからこそ細かい表現に苦しくなりました。
前作なら例えば「乱暴されてできた子をなぜ出産したのか」という理由を"Ωは母性が強いから"
とするところ。
Ωと差別されたΩ女子が受(Ω男子)に"男性より女性の方が攻にふさわしい"というところ。
今作なら「乱暴した相手をなぜ訴えなかったか」を"被害者が優しくて強い子だから"というところ。
男性のママを「かっこいい」パパとママ両方男性なら「最強」というところ。(じゃあ女性のママは?女性のパパは?両親が女性二人なら?)
オメガのママ友が「Ωはみんながんばり屋」というところ。
性被害の被害者が加害者に1人で会いに行くこと。
Ωという性別に苦しめられた受や、αというだけで優位性を持たれることに傷つきβと偽っていた攻の過去を思うと、安易に主語を「Ωは○○」「男性はかっこいい」とカテゴライズする表現を作品の中で見ると悲しい気持ちになりました。
「○○」に入る言葉や「かっこいい」がポジティブな言葉だとしてもです。
恋物語としてキュンキュンする所は本当にたくさんあって、心動かれたところもたくさんあって。二人とこの家族を最後までずっと応援して読みました。
だからこそ、差別やジェンダ-性被害のようなデリケートな部分をもっと深く丁寧に扱ってほしいと思ってしまったのかもしれません。