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エキスパートレビューアー2025

女性1740さん

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How to melt コミック

末広マチ 

安定のうまさ

末広マチ先生のBloom.レーベルでは初のサラリーマンBLでしょうか?Qpaレーベルの作品とは違ってかわいいカプのお話になっていると思います。今作、色の塗り方を変えたそうですが、ちょっと絵の感じも変わったのかな?
タイトル「How to melt」の通りに雪深の心を芽吹が「どう溶かしていくか」が物語の鍵になっているようです。わりとわかりやすく定番な感じなのでとても読みやすくなっています。BL初心者にもおすすめです。

雪深が恋愛に対して冷めている理由や芽吹の恋した理由なども無理なく感じられたし、ふたりのファーストキスのシーンのさりげなさはさすがだなと思いました。安定したうまさですね。
一途な後輩が憧れの先輩にアプローチして、だんだん恋になっていく様子が丁寧に描かれているので、エッチは最終回までありません。でも描き下ろしにもがっちり描かれているので、物足りなさはありませんので、かわいいふたりのお話だけでなくエッチもぜひお楽しみください!

かっこよくてかわいかった

1、2巻よりもふたりの性格や表情や行動に広がりがありました。
「かっこつけてる間は一生かっこ良くなんてなれねえ」
レオに嫉妬するタカラにガクがキスした後に言うタカラのセリフがとてもよかったです。
受けだってかっこいい!守ってもらいたいわけじゃない!攻めだってかっこいいだけじゃなくて、時にはかわいくもなさけなくもなる!
ガクの前でかっこつけていたけど、拗ねたり焦ったり嫉妬したりするかわいいタカラの方が今までよりより魅力的に感じました。高校生らしいし!大人になる前の青さがとてもよく表現されていると思いました。

レオがガクに会いに来た理由、ガクがイギリスで過ごしていた過去、自分を信じることの大切さ、素直になることのかっこよさなどが3巻では描かれています。
レオという当て馬のような「過去の男」が出てきて、タカラもそしてガクも仲良くしている相手に対して嫉妬しますが、物語に無理やりな感じもわざとらしい感じもありません。3巻まで続くと時々惰性で続いているようなワンパターンのような作品もありますが、この作品ではそんなことを感じることもなく、学生時代の友人関係っていろんなことがあるよねと思える物語展開になっています。
タカラとガクだけの恋愛物語ではなく、ふたりの周りにレオや侑にサクラちゃんたち同級生やガクの父親など魅力的なキャラクターもたくさんいるから読んでいてわくわくできました。芸術祭の様子にレオ自身のことを読むのも楽しかったです。

もちろんエッチなシーンはすべて濃厚でとてもえちえちでした!嫉妬しつつもずっとラブラブのふたりを読めるのでご安心ください!

后と河 2 コミック

山中ヒコ 

王佳がかわいい!

1巻の終わりに「完璧」であったはずの皇帝が自分だけに見せる弱さにドキリとした王佳。皇帝のお役に立ちたいと思いますが、どうしたらいいのかわかりません。
規則だから自分の身体を触り、その結果、皇帝の手を汚してしまったことを恐れ多いと涙目になるのもかわいいし、無邪気に男同士の閨のことを聞いてびっくりするのもとてもかわいい!そして近習の真単と付き人の端正の試してみる?なんて様子もかわいかったです。

もともと河のことしか興味がなくて人の気持ちを汲み取れない、今で言う発達障害なんでしょうね。皇帝に恋をしはじめて、表情も豊かになってきて、周りの人もその変化に気づきますが、初心で鈍感なんです。自分の気持ちにも相手の気持ちにも。だって皇帝は最初からめちゃくちゃ優しいし特別に対応してくれているのに、自分も恋い焦がれているのに。
自分は妹の身代わりだから、男だからと皇帝への想いを素直に伝えられません。
皇帝は好きでしてるんだってわからないのもかわいいんだけど、河工事の仲間に嫉妬するほど王佳が好きな皇帝がだんだんとかわいそうになってきます。
皇帝が欲しいのは身体じゃなくて王佳の心だから、臣下として尽くしてほしいわけではないので、最後まで手を出しません。そのままふたりの気持ちがすれ違ったまま、王佳は河の視察で旅立ちます。
そんなふたりなのですが、河の視察に行って離れ離れになることによって、やっとどれほど相手を愛おしく想っているかに王佳は気づきます。よかったよかった!
ふたりは自分の気持ちを伝え合って両想いになり、心も身体もひとつになります。
そして3巻へ続きますが、皇帝の後継者問題や河工事のリーダー王悟たちとの関係もどうなるのか?妹のことはどうするのか?これからの皇帝の手腕が楽しみです!

この作品はBLだけでなく昔の中国の様子や河工事の話なども知ることが出来るので、物語やキャラに深みが出て読んでいてとても楽しいです。長く続いてほしいなと希望しています。

激しさはなくても萌えは語る

ろじ先生らしい思わせぶりなキャラに素直になれないキャラ。
不眠症に悩む小説家の恵人と、喫茶店で隣に座る寝具メーカー勤務の古河。
恵人が新商品のモニターになることで、ふたりはよく話すことになります。ノンケとゲイなのかな?そこでまずときめきはあっても前に進めないもどかしさがあります。
添い寝をしてほしい理由や寂しさ、過去の失恋に「自分じゃない」という失望感、そのキャラのことを知ることによって好きになっていきます。

そして今作にもかわいい子ども、恵人の姪の莉里ちゃんが登場します。切ない物語の中に笑顔をくれますよね。
恵人が姪や妹と過ごすことによって、子どもの頃に妹とふたりで過ごしたことや、「誰かと繋がるために書く」ことに気づき、メインキャラのふたりだけじゃなくて周りの人たちも前に進むきっかけを作ってくれるのも、ろじ先生ならでは。

恋愛のドロドロさや激しいエッチなシーンはなくても萌えが語っています。十分に登場人物の大事な気持ちの揺れや変化が上手に描かれています。
ふたりの瞳、掴む糸の表現や手を繋いで歩くシーンなど、言葉じゃなく行動・絵で上手く表現されています。わざとらしさがなくて、すごく素敵です。
お仕事系であり日常系であるろじ先生のBLは、読んでいてとても穏やかな気持ちで幸せになれます。今作もその通り!ぜひ楽しんでください。

各話の間に描かれている喫茶店のベンチに座るふたりのイラストも、物語を読みながら行間を妄想できて楽しかったです。

陽介の過去

キスしそうになったことを「冗談だから」と言って誤魔化して逃げ出した陽介。同級生たちの同性愛者についての差別的発言に傷つきます。自分の気持ちを認められなくて、女性と関係を持とうとしても気になるのは百合川先生のことばかり。
そんな時に先生に偶然会い、実は誰にも恋したことがないけれど、自分への想いが好意なのではと伝えられます。「大切なものが周囲の目より価値があると思えるぐらい好き」と素直に言える先生に、陽介はまだ恋だと認められなくても先生をモデルに絵を描きたいと願います。

ヌードモデルになってくれて先生の身体を見て興奮し、結局ひとりでそれを慰め、やっと恋だと認めます。
そして、陽介が頑なに同性に恋することにおびえている理由がわかります。カトリックファミリーとして暮らしていた中、大好きだった兄に同性の恋人ができたことによって親が拒絶した過去。
同級生にからかわれて強く否定しまい、先生に顔向けできなくなったり、姉の結婚式で実家に帰って息苦しさを覚えたり、大切な人を傷つけて自分を苦しめているのは自分だと気づいてきます。

先生との待ち合わせの場所にストーカーが包丁を持って現れます。陽介を庇って刺される先生に包丁を掴みストーカーに立ち向かう陽介。大事な人を守るため、すべてをさらけ出して助け合うふたり。
このことによってふたりは強く結ばれます。周りの人に認められなくても自分を信じ、周りが見えていなかった自分に気がつかされたりもします。陽介は頑な過ぎたんですね。怒りと悲しみと愛をやっと解放できたようでした。

セックスはしていません。キスをするぐらいで。でもエッチなシーンはなくても十分に満足できる作品になっています。絵も巧みですし、物語運びも上手いです。
自分の好きなものに素直に!そんなメッセージが強く伝わってくる物語でした。

タイトルの「月とピエタ」聖母マリアのあの顔に衝撃を受けたのは自分への怒りとも思えたのでしょうか。カトリックの教えの元に同性愛者であることの苦しさは耐え難い苦しみだと理解できます。でも導いてくれる月に出会えてよかった!そしてピエタは美しいものの象徴であり、また「救済」でもあるから。

デビュー作かな?上手いなと思ったら、青年・少年漫画のコミカライズを描かれていたみたいで、BL漫画ははじめてのようです。これからもBL作品を描いてもらえたらいいなと期待しています!

百合川先生のこと

十字架に懸けられたイエスの絵を描いている陽介の姿から物語ははじまります。
いつも愛想笑いをしてNOを言えず優柔不断な陽介は、女性関係でトラブルもよくあります。ひょんなことから美術解剖学の解剖学の百合川先生と隣同士に住んでいることがわかります。身だしなみも小汚かったり、いつも鍵を失くして自宅前に座り込んだり、夜の街を散歩しているちょっと変わった先生ですが、陽介はその美しさに気づきます。

ある日、陽介はブグローの絵画展を見に行きます。そこで見たピエタに衝撃を受けます。そこで先生にも偶然出会い、ふたりはブグローの絵のことを語り合い、陽介の絵についても話します。
「あの絵、好きですよ」という先生のシーン、素晴らしかった!ここで恋に落ちた瞬間がとても上手く表現されています。
ふたりが隣人として仲良くなっていく過程で、先生がADHDらしい様子や実は黒髪に染めているとか、先生の側にいると楽だとか知って行くうちに距離が近づき、ある夜にキスをしそうになります。
上下巻ならではの、ゆっくりとじっくりと登場人物の様子や気持ちが描かれています。そして、互いの好きな気持ちが不器用ながらも交差してきます。

「ピエタ」はイタリア語で「慈悲」「哀れみ」を意味し、キリスト教美術の主題では磔刑から降ろされたイエス・キリストの亡骸を聖母マリアが抱きかかえている姿を描いた作品のことです。
そして「月」は「月衣(るい)」という先生の名前からなんでしょうね。
タイトルの意味が下巻ではどう絡んでくるのか楽しみです。

すごいな洋二!

この作品を読むと、このふたりって高校生なんだよね…と驚くほど大人びてる世界で生きているなと思ってしまいます。学生時代は、学校の中の世界と人間関係が世界の全てだから、嫌なことにも辛いことにも逃げ出せない苦しさがあります。そんな中で抗えない恋愛感情や快感、そして裏切りによって狂わされてきた陸も、再び洋二のことを受け入れるようになってきました。これって恋愛なのか依存なのか、それとも同情なのか。
洋二の顔が陸の前では穏やかになってきているのは確かですが、内面ではなにを考えているのかわかりません。

そしてこのままふたりに平穏が訪れるのかと思いきや!3巻で陸に媚薬を盛った、洋二の父親と不倫関係を持っていた北白河の店に行く洋二と陸も一緒に会いに行きます。
北白河に差し出された媚薬を飲んだ洋二。その洋二とセックスしようと誘導する北白河。そんなふたりを見て嫉妬して、発情する洋二につられて陸。このまま誰と誰がどうセックスしてしまうのか!と思っていたら……
4巻のクライマックスはぜひ読んで楽しんでください。

次巻が最終回のようです。ふたりの周りにある雑音がなくなり、穏やかに愛を語り合ってくれるのか?衝突しながらも愛を深めていくのか?ふたりがどんなエンディングを迎えるのか楽しみです!

淡々と日常の中にいるふたり

姉を失くしたことによって生き残った自分が許せない真智と、捨てられた母親に金を強請られてやる気のない生き方をする然。幼馴染のふたりは真智の久しぶりの帰省によって再会します。

幼い頃のふたりにはどうしようもできなかったことによる苦しみや後悔、相手に対する淡い恋心の切なさが強く響きます。事件や謎はありますが、わりと淡々と物語は語られ日常の中で解決していきます。ただふたりが再会したことによって、止まっていたふたりの時間がやっと正常に動き出したように感じられました。周りは変わらなくてもふたりが変わればそれでよかったんですね、きっと。
「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」一度死んだ人は二度とこの世に戻ってこないこと、また、一度壊れた男女の仲が元どおりにはならないこと。タイトルの意味を知ると物語をより理解できる気がしました。また、真智と然の名前の意味を調べるとそれもまた考え深いですね。

里つばめ先生らしく日常の中にあるちょっとした気持ちの揺れや同性との関わり方が、しっとりと描かれた作品でした。この作品も何度も読みたくなる作品になっています。

物語がいい!絵がいい!

「拒まない男」の最後に旅館で流れていたワイドショーに映るホテルコンシェルジュのりっちゃんがきっかけで山吹の物語がはじまります。
この山吹が不憫というか、自分を大切にできなくて性依存症っぽくなっているんですが、そのきっかけが「拒まない男」のりっちゃんとの過去でした。そしてここでも出てくるりっちゃんのクソ父親のせいで引きこもりになったりっちゃんだけでなく、山吹とその家族まで不幸にしていたのでした。

同性を好きであることを認められない男と、自分勝手に自分の性的欲求をぶつけてくる男たちによって、心を病んでいった山吹。
でも山吹にも手助けをしてくれる探偵の村咲が現れます。村咲がりっちゃんの調査をするので手伝ってほしいと声をかけてきてきたことによって、山吹が少しずつ変わっていきます。今まで流されるだけのどん底生活から這い上がろうともがきます。

薬を盛られたり無理やりヤラれたり、かなりキツいシーンもあります。でも変わっていく様子にがんばってと応援したくなります。
それを知って傷つき自分のせいだと責めるりっちゃんとそれを慰める黒瀬。
探偵と探偵の化かし合いや自分の相手を守る愛も、それぞれの思惑を2組のカプから読み取れるのもスピンオフの良さですね。なかなか心の中を見せてくれないキャラたちが今回も物語に深みとおもしろさを与えてくれます。ここも繋がってる!という楽しさも、それぞれの関係をより複雑に絡めていきます。

そして村咲が頑なに山吹を抱かない理由と、村咲が山吹に声をかけた理由が語られます。でもそれだけじゃない秘密が村咲にはありました。
2巻へと続きますが、1巻の終わりで最初の物語が終わるので、完結を待たなくても大丈夫です。
最後にまだ謎を残して続きますが、消化不良はありません。もちろん、2巻で語られるであろう物語を読むのはとても楽しみです。

すごくおもしろかった!本当に物語作りがうまいなぁ!と思わせてくれる三月えみ先生の作品でした。

「拒まない男」のスピンオフ。今作だけでも読めますが、やっぱり読んでからの方がおもしろさは増すので、既刊を読むのをおすすめします。

安定のおもしろさ

大学を卒業して仕事が始まる前に実家に帰省する灰賀は、金江を連れて行きます。
少しギクシャクする灰賀の両親と優しく受け入れてくれた祖母と過ごすふたりですが、思いのほか灰賀が男らしかったです。
そして、灰賀の過去のこと、元カノとの写真や元カノとのセックス事情なども語られます。淡々と話を聞く金江ですが、めちゃくちゃ嫉妬しているのがとてもかわいかったです。そしてエロい!!
ふたりの穏やかな日々を感じられるオープニングになっていました。

その帰りの電車の中で、金江の元アルバイト先の箱ヘルのオーナーから「マキがストーカーになった客に怪我をさせられから代役として店に出てほしい」と連絡が入ります。
しかもそのストーカーはもともと金江がNGにした客。かなり自分本位な人でした。

キャスト復帰を断る金江の様子を見た灰賀は、自分がマキの送迎をして“マキの彼氏役”として護衛をすることになります。
ここでもマキ相手に嫉妬する金江。「今ならどれでも着てやるよ」とコスプレを提案したり、感情が露になったりします。そしてエロい!今作は金江のラブがめちゃくちゃ強強に表れています。

でも最後のコマの灰賀のセリフがとてもかわいかったです!
次巻はとうとう社会人になる灰賀。ふたりの関係や生活がどう変わっていくのか早く読みたいです!
そして、ストーカーに襲われている灰賀とマキを助ける別の店の黒服スミ。マキの元カレなのか?このふたりの関係と行方も気になります。

今巻では灰賀と金江のふたりの物語で大きな揺れや動揺はありませんでした。どちらかと言うとふたりの周りの物語という感じでしたが、やはり読んでいて楽しいですね。安定のおもしろさがあります。