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エキスパートレビューアー2024

女性1740さん

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甘々の1冊!

藤永が主演の舞台から3巻ははじまります。この舞台の様子だけでも作品になるのでは?というほど演者たちのビジュアルもいいし、ストーリーも魅力的です。もちろん漫画の中の客席も藤永の演技に圧倒され、魅力に引き込まれていきます。
千秋楽が終わるまで会わないはずの藤永から「会いたい」と連絡があり、ふたりは興奮した状態で会い、そのまま好きだ!付き合おう!となります。でもちゃんと付き合うのは千秋楽の後までお預け。言葉にできたくても、ふたりには手や表情、動きなどで伝え合えることを改めて再確認したふたりでした。

主演舞台後に突然の人気に周りからの視線が気になってきます。ケイトと藤永はデートしますが、口元を隠すことや聞こえないこと、見られることや男同士で付き合うことなどについて今まで以上に意識してしまいます。
そしてふたりは藤永の部屋でデートをしてそのままケイトは泊まることに。
はじめて付き合う藤永と浮かれるケイトは、ふたりでいるのがほんとに楽しそうで幸せそうで読んでいてとても楽しかったです。3巻まで一緒に過ごしてきたふたりの親密さが彼氏になってどんどん甘々になっていくので、めちゃくちゃかわいかったです。
ふたりとも相手のことや相手の周りに嫉妬したり、かっこいいと思ったりしているけれど、ちゃんと言葉で伝え合えるのはこのふたりならではなのかもしれませんね。聞こえないから恥ずかしがって黙ったり自分の気持ちを察してくれって思わないで、ちゃんと伝えるってことができるような気がしました。
それでもちょっと自分が考えた藤永のサインネームをプレゼントする辺りの独占欲もよかったです。自分のことを考えたり会いたいって思ったりしてほしいってかわいすぎ!!

3巻は全体的にラブラブで幸せでしたが、最後にケイトの弟の一言で4巻に向けて不穏な空気のまま終わります。
まー、このままではいられないよね、と納得の続きです。
家族や仕事などまだまだいろいろふたりの前に立ちはだかる壁はたくさんありそうです。


電子書籍で買う場合の注意として、通常版と特装版があるので注意して購入してください。
初の特装版はオシャレな雑誌のような感じになっていて、ケイトと藤永のカラーイラストが満載!どれもポスターにしたいぐらいかっこいいです!
ふたりのちょっとしたプロフィールや、お互いの質問に答え合うQ&A、そして厘てく先生へのインタビューがあり、これを読んだ後にまた1巻から再読したくなります。
もちろん描き下ろし漫画も収録されています。(残念ながらえっちはないです)

同人誌のまとめ本みたいかな?

両想いになった上巻からどんなことが起こるのかと思ってみたら…
下巻丸ごとのメインストーリーがあるわけではなく、1話1話が番外編の短編のような感じでした。1話毎にちょっとしたことはありますが、付き合ってからの不安や当て馬などもなく安心して読んでいけます。ユニークなのは、大学生と高校生のふたりがどんどん歳をとっていくので、描かれていなかったその年月を読者に委ねる感じはおもしろいなと思いました。
ですが、そのせいでなんだか同人誌のまとめ本のように感じられ、ラブラブしているだけのようで特別上下巻として発売しなくても、2巻番外編として発売でよかったのでは、と個人的に思いました。
1話に1エロでいろんなセックスが描かれています。そんなエロや幸せな日常の中でふたりが歳を重ねていくのを楽しみたい方におすすめです。

スピンオフ元から考えて「やっぱりそっち側になるか」っていう楽しさは味わえました!

わからないまま何度も読みたい

再会は偶然。街中で助けを求められたエリート商社マンの瀬田がどん底まで堕ちた元同級生の園山から「オレのこと飼ってみない?」と言われるところから物語はじまります。

最初はちゃんと家政夫のようなことをしていてもすぐに仕事をおろそかにしてだらしない姿でパチンコをする園山。そのことに対して注意した瀬田にイライラした園山は出て行こうとし、そんな園山を瀬田は焦って引き留めようとします。

完璧に見える瀬田ですが、中学時代の彼の様子を見ると彼に発達障害があるんだと思われます。自分の思ったことを遠慮なく言ってしまうことで、周りから空気が読めない・変わっていると思われます。でもそんな中、ちょっと助けてくれた園山を瀬田は気になっていきます。
園山も家族に恵まれなかったり、SNSで炎上してどん底まで堕ちて行ったり、無気力になっていく様子が描かれていきます。

実は最初の再会は偶然ではなく、瀬田が随分前からストーカーをしていたことも、探偵を雇っていたこともわかります。そして、思い込みが激しい瀬田は、だんだんと自分を理解してくれる、彼を理解できるのは自分ではないかと思っていました。もちろん、園山には嫌いだと拒絶されます。

それでも瀬田は真面目に考えて、上司に相談して(ここもおかしいけど)独りよがりで自分の気持ちだけ押しつけて園山の気持ちを考えていなかったことに気づきます。
そして、瀬田から離れた園山も瀬田のことで頭がいっぱいになっていきます。イライラするのに気になってしまいます。誰かにそれほど執着されることも愛さることも園山にはない経験だったのかもしれません。

離れた方がいいのか近づいた方がいいのか、一緒にいることに意味があるのか、なぜキスをするのかわからないまま最後にふたりはセックスをします。だからと言ってふたりが付き合うとかではないんでしょうね。
「アンバランス・バランス」絶妙なバランスで行ったり来たりしている不思議なふたりの関係。正解はなんなのか?ハピエンなのか?
とりあえず1度読んだかけではわからないので何度も読んでみたくなる、でもわからないまま…そんな上野ポテト先生らしい考えさせられる物語になっています。

オメガバの概念が存在しなかった時代の話

「部族オメガバース」をツイッターで見かけ、去年の春庭で同人誌をお迎えしてから商業デビューのお話を知り、読み切りから連載、そしてコミックスの発売を待っていました!
サブタイトルの「黎明の花嫁」は、新しい時代を象徴する花嫁ヨキの話になります。まだΩとαの概念が存在しなかった時代とふたつの部族間の和平の印としての結婚によるはじまりです。

武を重んじるガルナ族から夫としてバドルが、知を重んじるヨルタ族から男ながら妻としてヨキがふたつの部族の未来のため夫夫になります。
狩った獣を肩に背負った状態で婚儀に遅れてやってきたバドルは、歩み寄るヨキに対して不躾な態度です。でも初対面にヨキからいい匂いがすると言うし、ヨキの優しさに早い段階からまんざらではない様子を見せるし、実はただの初恋にどうしたらいいのか分からないツンデレ年下攻め!って感じです。「男なんか好きになるはずない」「自分のことを信用しろと言ったくせに」とか考えていそうなバルトがもうかわいすぎる!!Ωとαの本能で好きだという気持ちとヨキの優しさと性格の良さに惚れちゃうのはしょうがない!

ほんとにヨキはすごく性格がよくて、どんな相手にもちゃんと自分の考えていることを話して相手のことも受け入れて歩み寄るので、結局は敵だと思ってきたガルナ族の人たちもみんなヨキのこと好きになっちゃうんですよね。ヨキが不器用ながらも強くいようとする意思が強いことと、血を重んじるヨルタ族ならではということもあるのかもしれません。
族長が言う通りに「過去ではなく今を生きている」ことを皆に示してくれたヨキはかっこよかったです。子どもを成す身体であっても男らしくてすごくよかったです。
バドルはヤンチャな年下男って感じで、とにかく感性だけで生きている感じがします。でもだから素直に自分の意思として受け入れられたのかもしれません。頭で思うより感じろ!ですね(笑)

1度目のセックスはアクシデント、2度目は自分の意思を持って。それでも項を噛むことと番になることには冷静なヨキは、自分のことよりもバドルを想っているのがわかります。一緒に歩んでいく未来を選んだヨキに素直になっていき、誰に対しても威嚇しているバドルを見ているのは、めちゃくちゃ萌えました!
ヨキの行動により自分の過去のことを改めて考え、共に生きるということを学んでいきます。子どもの頃にはわからないことも大人になって大切な人ができるとわかることってありますよね。あの時に親に言われた言葉とか。
少しずつヨキを通して村の人たちと仲良くなっていくバドルが過去の自分を許して、みんなを受け入れていくのはすぐやってくるんだとわかります。
最後にふたり共過去の親の死などで自分を責めていた気持ちに区切りをつけ、ヨキを迎い入れる日をやり直したいと、ふたりは婚儀の衣装を再び着て愛し合いながら3度目のセックスで発情期以外ではじめてのセックスをします。

まだ若いふたり。これからいろんなことがあるでしょうが、ふたりなら大丈夫だよね、しあわせになるよねと思えるいいエンディングでした。

まだ終わらない仁と義一の物語

仁と義一の2度目のターンがやってきた!
年を重ね、大学受験の仁とそれを応援する義一。入試が終わったら色んなことしようと約束し合うふたりから2巻ははじまります。
無事に映画部3年生は全員合格し、高校生活の総仕上げに「映画!!!撮ろうぜ!!!!」となっちゃいます。仁と義一はふたりで長距離恋愛前にラブラブしたくても、3年生も別れは辛いのでみんなで集まることが増えていきます。
そんな中、いつもツンな義一がデレたりビデオ通話でエッチな姿を見せてくれたりと、義一の可愛さが爆発しています!(わたしの周りにはツンデレ義一好きが多いのできっとみんな悶えたはず!)

「卒業までに絶対セックスしたい」と思いながら映画作りにも気合が入る仁ですが、3年生の映画テーマである「校歌の伝説」が気になる義一に手を出すチャンスはあまりなく。そうしているうちに映画部3年生に「恋人ができたのかも?」と探られるようになります。そんな時、稲葉礼はいつもと変わらずマイペース。みんなに仁の恋人のことを尋ねられても手を振るのみ。でもちゃんと仁と義一がふたりきりになれた時に邪魔されないようにちょっとした嘘を吐いてくれたり、いい親友っぷりを発揮してくれます。(稲葉礼推しとしては、やっぱりいいやつ!とニヤニヤしちゃいます)
おかげで仁と義一は、卒業式前に無事に愛を確かめ合えました。

卒業式の3年生の姿は3ページほどで4人揃った姿は2コマのみ。でも映画部3年生らしい姿で、すごくよかったです。映画部3年生高校卒業おめでとう!

春休み、仁は義一に卒業旅行に行こうと誘います。はじめてのふたりでの旅行に楽しみにしていたら、なぜか車の後部座席には稲葉礼が!なんと一緒に家電量販店へ行ってルームシェア用の家電を選ぶことになります。稲葉礼がいることもルームシェアをすることも知らずにいた義一はショックを受け、嫉妬にかられます。でも稲葉礼もちゃんとわかっているので謝るし、仁もお坊ちゃんならではのスパダリっぷりを発揮します。

ふたりの高級温泉宿でのラブラブな様子、めちゃくちゃいいです!!これはね、ぜひ楽しんでください!わたしの語彙力では伝えきれないかわいさとエロさとかっこよさが溢れ、とても楽しそうで幸せなふたりが読めます。
仁が義一に渡したい物、それを見た時、受け取った時に義一と渡すときの仁のコマ割り、暗い部屋の中の光に影そして自然の美しさの表現、そしてじゃのめ先生の繊細で綺麗な絵柄。めちゃくちゃ素敵でした。カラーやアニメで見たいな!と強く思うシーンになっています。

大学1年生になった仁たち。それぞれ新しいことを始めたり楽しんだりしているようですが、自分の大学生活に違和感を抱く仁。そんな仁ですが義一とビデオ通話をして、自分たちのペースで楽しんでいこうと思ったはずでした。でもそれから義一との連絡が途絶えます。

ここで3巻へ続く!!!まだまだ仁と義一の物語は続きす!続くのはいいのだけど!ここで終るなんて!!早く続きが読みたくてしょうがない!!
きっと義一のことだから映画のことに夢中になっちゃったんだろうな?、おじいさんのことじゃないといいなと思いますが……。なにはともかく早く仁(と我々)を安心させてほしいと思いながら3巻をお待ちしています!

ネタバレなしで読んだ方がいいかも

くらのね吉先生の作品を読むのははじめてです。試し読みをしてみて、今まで読んだことない感じがしたので購入をしました。
完読した時の感想は「すごく自然な感じがした物語だったな」というものでした。そして、くらのね吉先生の他の作品も読んでみようと思うくらい気に入りました。
大げさな恋愛や激しいセックスシーンはなくとも安定感のある構成によってしっかり登場人物の気持ちが表現されていて、行動に無理がない物語運びになっています。

受けのかなたがセフレをもう一人増やそうとマッチングアプリで見つけた相手が攻めの千弘でした。その時のふたりはどちらも素っ気ないというか、テンションが低いというか、微妙な間があったりしたので、あまりないはじまりかもしれないと感じました。
かなりの美形でモテそうなのに実は童貞だった千弘と、付き合うのは面倒でセフレだけでいいというかなただからギクシャクしているのかな?とも思いました。できればキスは好きな人とだけしたいと言い、たどたどしいセックスをする千弘にいろいろ教えますが、互いに微妙なまま。1回きりかと思いきや、また会ってほしいと連絡がきます。

ここまでがふたりの出会い(2話の冒頭まで)なのですが、読みながらなんだかわからない引っかかりがあり、それを知りたくて続きを読まずにはいられなくなりました。
うーん、これはネタバレなしで読んだ方がおもしろいかもしれませんね。


ここからネタバレあります↓

それからふたりは何度かホテルで会い、千弘のセックスが上達していきます。だんだんと千弘と過ごす時間が心地よくなるかなた。仲良くなっていくふたり。
そしてどちらも気づいていたのは自分だけだと思っていましたが、実はふたりが高校の同級生だったとわかります。ああ、1話の違和感はこれだったのか!

「もっと早くに知り合ってればよかった」と言う千弘に「今が出会うタイミングだったんだよ」と言うかなた。すごくいいセリフだなと思いました。
狭いけれどそれが世界の全てだった高校時代では、ゲイであることをオープンにすることもヒエラルキーが違う者同士が仲良くなることもままならないはずです。周りの目を気にしたり家族の期待を重荷に感じたりしたであろう高校生のふたりが、社会人になったことで自由を得て自分に素直になれる大人になったからこそのタイミングだったんでしょうね。

ふたりはいい感じになって、互いに両想いでは?と読者も一緒に思いますが!ふたりとも恋愛下手なせいで勘違いをしてすれ違っていきます。
ゲイだからきっと恋愛をしてこなかっただろうし臆病になっちゃうんだなと思うと、ふたりがとても愛おしく感じられました。
もちろんちゃんとふたりは両想いだとわかり、めちゃくちゃラブラブで甘々なセックスも見せてくれます!特に千弘が両想いになってからの変化がめっちゃよかったです!
はじめての彼氏と嬉しそうに過ごすふたりはとても楽しそうで、いいハッピーエンドが読めました。

ふたりともかわいくてかっこいい!

オトとマサが親友から付き合うことになった前作から、今作は真剣にふたりの関係・DomSubのプレイを考えていきます。
どちらも強いDom性を持っているオトとマサ。オトは自分の強いDom性・コマンドのせいでマサが自身のDom性を発散できないのではと心配になっています。でもオトに負けないSwitchのマサは、自分は「強いDomなので」と強気。ゆくえ萌葱先生らしい、攻めより受けの方が男気や強さが感じられます。

今作では、ふたりともダイナミクスについて試行錯誤している様子が描かれています。互いに強いDom性を持っているからこそ、相手に無理をさせたくない、安心させたいという思いと共に、恋人として大好きなのでラブラブしたい、すべてを受け入れたいと思っているように感じられました。

マサに対して無理をさせているのではと遠慮がちだったオトは、マサが病院で薬を処方してもらっていることを知り、ようやく自分の考えをストレートに伝えます。もちろん、言われたままのマサではいません。
口喧嘩しながらコマンドを促したり言ったりするふたりが描かれていますが、とてもふたりらしくてかわいいな、いいな、と楽しく読みました。ケンカップルとはちょっと違うけれど、強いDom性の男性同士が自分の気持ちを遠慮なく言い争うのは、BLならではの醍醐味だと思います。

ケンカ腰で話し合いながら、マサはSubとして「本気のコマンドを受けたい」「サブスペースに入ってみたい」と伝えてきます。実はオトが思うよりマサには問題なんてないんですよね。それは年上だからなのか強いDomとしてプライドなのかな。きっとオトが大好きで信頼しているからなんだろうなと感じました。

また、他のSubに嫉妬した時のオトの強いDom性が現れた様子もとてもかっこよかったです。マサのまんざらでもないSubとしての様子もかわいかったです。
今作ではラブラブ度とコメディ色は少な目かもしれませんが、BLだからこその男っぽさのある攻めと受けが個人的に好きなので楽しく読めました。

ホントにオトもマサもふたり共かわいくてかっこよかったです!
しかもラブラブになるらしいつづきもあるそうです。3巻も今から楽しみです!

感情寄りのオメガバかな

過去作「52ヘルツの共振」と同じ早寝電灯先生オリジナルの身体共鳴するオメガバ設定。
会社帰りに古書店で地震が起こり帰宅できなくなった波止が店主の和巳に助けられることから物語ははじまります。

この時から和巳は身体共鳴で波止に対して運命を感じていますが、波止は鈍感で次にバーで和巳と会っても和巳のことすら気づきません。
和巳の波止への接し方や波止を見つめる瞳、パチパチと感じる共鳴が普段の様子と違いとてもαらしくなります。無自覚にも波止を囲い込もうとするフェロモンに波止は慄きますが、自分をΩと知りながらも優しく手を差し伸べてくれたことに感謝を述べます。
ふたりともαとΩとして暮らしにくいこともあったのでしょうね、ただあたりまえに生きていきたいという思いが切なくさせられました。

それでもふたりは古書店でお茶を飲みながら話をしたり、同じアプリゲームをしたりして仲良くなっていくのかと思いきや、和巳から線を引かれてしまいます。それは相手に嫌な思いをさせないためであり、自分を守る為でもあったのだと思います。和巳は過去にΩと何かがあったんだろうと早い段階で推測できるので、それゆえに波止を好きになればなるほど抑えきれない感情で苦しみます。
そんな中、波止が和巳の前でヒートになってしまいます。互いに求め合うもののなんとか和巳が緊急抑制剤を打ってふたりは事なきを得ます。このヒートによって波止は和巳を好きだという気持ちがハッキリしますが、和巳は身体のみが気持ちよりも先に反応してしまうことに苦しみます。
ふたりともなかなか拗らせていて、素直になってくれません。これってオメガバならではの悩みですよね。心よりも身体が求めてしまうのか、好きになったのはΩとαだからなのか人間性なのか、匂いなのか運命なのか。

10歳上の和巳ですが、ぐちゃぐちゃに悩んで苦しんでいるんですが、波止が笑顔ですべてを受け止めます。「大丈夫ですよ」って。鈍感で強情だったかもしれないけれど、勇気のあるとても前向きな波止がすごくかわいくて素敵に描かれていました。
ふたりの性格が正反対だからこその拗らせすれ違いだったかもしれませんが、正反対だったからこそ付き合えるようになったのかもしれません。

オメガバってわりとがーーっとやちゃって好きーーーってなって番になっちゃって……みたいなのが多い気がしますが、この作品のように付き合うまでじっくりとふたりの感情に寄り添っている物語もいいなと感じました。
もちろん付き合ってからは和巳のα力が発揮されるので、かっこいいαの様子もオメガバのラブラブさも楽しめます。


最後にカバーをめくって表紙裏を見てください。よかったなとホッとできます。

両片想いの再会だけど甘すぎない

物語は6年ぶりに同級生と再会からはじまります。
うるさい隣の部屋に住んでいたのは偶然にも高校卒業式に告白されてから音信不通だった壱成でした。自分も好きだと言えなかったから、ずっと引っかかっていた相手。
互いにもう他の人を好きかもしれない、幸せなのかもしれないと、今さら自分の気持ちを伝えることをしない方がいいのかと思います。それでも互いの部屋に行き来するようになったり仲良くなったりして、夏っちゃんは「俺も好きだった」と伝えます。

この辺りのふたりはナチュラルに恋人未満親友以上のゼロ距離だったり、会えてうれしい様子だったりが、とてもかわいくて幸せそうで読んでいてとても楽しかったです。

晴れて恋人同士になったふたりですが、幸せに浸れる時間は少なく、仕事や日々の生活に追われてあまり会えなくなります。ビートメイカー・DJとして充実した仕事に楽しんでいる壱成に比べ、好きとは言えないサラリーマンの仕事に翻弄される夏っちゃん。壱成の仕事が認められるたびに自分の存在価値が失われていくようなコンプレックスを感じ始めます。

わりと早い段階でふたりは両想いになりますが、前作の「たゆたう琥珀」とは違って付き合ってからのラブラブ感よりも苦しさや言い争いにすれ違いが描かれています。
恋人が自分より仕事を通して世間に認められていること、今が一番楽しいと言っていること、それに嫉妬している自分の醜さは、きっと誰にでもある思いなので読んでいてとても切なく感じます。でも、壱成だって楽をして今の成功を手に入れたわけではありません。

大ケンカをした後、ふたりは冷静になって互いのこと、高校時代のことを思い出します。相手の言っていたこと、相手の性格、そしてなによりそんな相手がずっと大好きだったということを。
ふたりは自分の言ったことを反省してちゃんとふたりで話し合います。6年間両想いだったのに離れていた分まで。夏っちゃんだって本当はいい仕事をしていること、自分の仕事に誇りを持っていることも改めて壱成によって気づかされます。
そしてはじめてセックスをします。照れくさそうで幸せそうで素敵な初体験でした。特に何度も涙を流す受けの壱成の様子はすごくよかったです。

ラブラブ度は少な目かもしれませんが、一緒にいることによって互いを高め合い、互いのこと尊重し合う、そんないい関係になりそうなふたりの物語でした。
BLらしいというか、男同士の付き合いや嫉妬が友情の延長のリアルに感じられる甘すぎないけどいいお話だったと思います。

つづきをください!

1巻の終わりでやっと結ばれた煌夜と優雅。これからどうなるのか気になる終わり方で2巻の発売を楽しみにしていました!

1巻の描き下しのふたりを見ているので、表紙に描かれている優雅の紐パン姿にニヤニヤしちゃいますよね。そして2巻の冒頭。優雅のいないベッドで目覚める煌夜からのふたりのラブラブエッチ!表紙から物語に引き込むすばらしさに拍手です!

ホストを辞めた煌夜は優雅の送り迎えをしつつ、料理を習う見返りとして新しいことを始めます。
なんとエースだったリリィさんと姫だったエミちゃんと一緒に料理番組に出演することに。そして実は煌夜の実家が裕福だったことが判明。今まで互いに知らないことがいっぱいあったのだと気づき、少しずつ自分の話をし合います。
幸せなふたり。でも優雅はこれまで傷つけてきた人たちのことを煌夜に言えずに苦しみ悪夢にうなされ、煌夜にも優雅に隠しごとがあります。

そんな中、ふたりは優雅の元彼の紫音や“四天王”と一緒に食事をすることになります。そこでみんなにどれほど優雅が慕われているかわかります。
その後、亜威と紫音と連絡先の交換をした煌夜は3人で会うことに。そして、優雅もまた偶然そこへ……。

えええ??またまたどうなるのか?つづきが気になる終わり方になっています。
あとがきで3巻で終わる予定とのことで、3巻はあっと驚くことがあってからのハピエンに違いないのですが、どうなるのか想像もつきません。
願わくは優雅の憂いが解決して、ャンパンタワーの向こう側で楽しい恋愛を煌夜と優雅には過ごしてもらいたいです。
つづきをください!早く3巻読みたい!!!!

個人的にNO.1ホストが抱かれるのってめっちゃ好きなんですよね!しかも受けの優雅の方が背が高いし!キレイな煌夜が優雅を抱く時に雄の顏をするのもとても好き!断然わたし得のカプです!

「つかの間の恋人」のキャラも少し絡んで出てきます。はじめて読んだりんこ先生三原しらゆき先生の作品なのでとても嬉しかったです。こちらの作品で気になっていたカノンくんのスピンオフも連載中なのでとても楽しみです。