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あまりにも無責任なのでは、、、

凪良さんは大好きな作家さんですが、このお話には大変がっかりさせられました。

話自体は大変読ませるものなのですが、話の肝となる重要な場面で海洋不法投棄を行うのはいかがなものでしょうか。

純粋な、やむに止まれぬ感情に突き起こされてしてしまった行動が、理不尽にも世間からは犯罪という烙印を押されてしまった可哀相な二人という設定が、この行動によって覆されてしまいました。
この後は、周りの迷惑を顧みず自己の感情のみを優先する無責任な人達としか思えなくなり、過去の事件への見方も変わりました。

思い出にさようなら、で何かを海に投げ込むのは印象的な、絵になる場面ではありますが、それなら有機物にして頂きたかったです。
貝殻でいいのに、会話にも出ていたのに、、、まさかの海洋不法投棄、、、


プラスチックごみの大量投棄でプランクトンの体内からも微量なプラスチック成分が見つかるという今の時代に、ごみがもう一つ増えても大差ないという考え方もあるかとは思います。
しかしながら、有機分解できない物を海に捨てる行為は、主人公たちの繊細な感情や愛情を表すのにふさわしい行動なのでしょうか。

細やかな心理描写を得意とされる方だけに、とても残念に思いました。

ちなみに波にさらわれて死亡する状況は他の作品にもありましたので、また同じ死に方なのかと思ったことも付け加えておきます。

愛とは甘いばかりのものではない

まずお話の前半をざっくりとご紹介します。

斉木明史には、知的障害を持つ双子の姉、朋がいた。

双子でありながら、健康、正常に生まれついた明史は彼女に負い目を持ち続けているが、同時に、プロの画家である父、感情的な母からの愛情を一身に受けている朋に複雑な思いを抱いていた。
彼女の持つ優れた画才も、明史には羨望の的であった。

隣家に住む明史の幼馴染である神成静彦も、また天才的な画才の持ち主であった。

神成と朋が築き上げた濃密な絆、神成の才能に明史は嫉妬し続けていた。

高校生になった神成は明史にひたすらな思慕を寄せるようになるが、明史は冷酷にそれを拒絶する。

明史が目を離した隙に朋がひき逃げにあい死亡するという事故が起こる。それ以来、元々死者をみることのできた斉木の左目には朋の姿が映るようになる。

激しく事故の責任を斉木になじる神成と 朋を死なせた罪の意識から逃げるように斉木は故郷を後にした。

それから10年がたち、斉木は就職難のため学歴を詐称して入社した編集プロダクションで働いていた。朋の姿は彼の目から消えず、斎木は罪の意識から逃れることができずにいた。
そこに、イラストレーターとして成功した神成が現れる。

神成は学歴詐称を暴露すると斎木を脅し彼を激しく陵辱する。神成は斎木に異常な執着を示し斎木の生活の全てを支配しはじめるが、仕事を失いたくない斉木は彼に従うしか道はなかった。



登場人物はみな複雑な人格を持ち、相対する人間によって様々な面を多角的に見せます。

残酷極まりない様に思える神成は、長年の友人にとっては誰よりも優しく信頼できる人物です。
斎木も一口に誰からもいい人といわれるような性格ではありませんが、彼も、窮地に無償で手を差し伸べてくれる複数の友人を持っているような人です。

斎木も神成も、自分が望んでやまないものをだけが手に入らないという苦悩にあえいでいます。

神成は経済的に満たされあふれるほどの画才を持ちながら、愛情に飢えています。斉木も暖かい家族には恵まれず、類まれな美貌と編集デザイナーとしての才能を持ちながらも、自身が渇望する絵の才能を持たないため自己を肯定できません。

斉木の神成から与えられる苦痛、逃げ場のない葛藤は読んでいて息苦しさを感じるほどでした。神成によって生活を侵食され体を蝕まれながらも、人間関係も就業状態も最悪の会社で真剣に仕事に取り組む斎木の姿には心打たれるものがあります


神成の才能を憎みながらも、それを上回る彼への愛情に気づいた斉木により、物語は一応の結末をむかえますが、単純なハッピーエンドとは言いがたいかなり緊張感をはらんだもののように感じられました。

無償の愛は存在するか、愛とは究極的には見返りを求める利己的なものなのかという著者の問いかけは恐ろしいものです。

ひとつ気になったのは、あくまでも朋が無垢で美しい存在として描かれている点です。成熟した女性の心を持つことのないまま亡くなった朋ですが、幼いながらも、彼女なりの思いもあったはずと思うのは穿った見方でしょうか。

ともあれ、450ページに亘る長い話を一気に読ませる作者の力量は並々ならぬものです。
甘く楽しい話ではありませんが、長く心に残る小説となりそうです。









ちょっと残念

上下まとめての感想です。

ファンタジーは大好きです。剣と魔法の中世ヨーロッパ風も楽しいですが、中華風ファンタジーが何より好きです。期待に胸を躍らせて読み始めました。

ファンタジーで難しいのは異世界の構築だと思うのですが、その点でもとてもよく練られていると思います。

登場人物も

気高く美しい妾腹の王子、
その兄をひたすら慕う、やんちゃだが王の資質を備えた嫡子である弟王子
猪突猛進で賢くはないが律儀で愛情あふれる仙狐
深謀遠慮に長けた仙人(この人の糸目なところが好きです)

と既視感はありますが、とても魅力的です。この手の異種婚でいつも課題になる各々の寿命の問題も無理なく解決されております。

ただただ、私はどうしても仙狐の口調を受け入れることができませんでした。

お馬鹿で下品な性格という設定とはいえ、どうして、今時のヤンキー高校生みたいな話し方なのでしょう。(いや、実際に高校生がこのような話し方をするのかどうか知りませんが。。。)

「わぁった、わぁった」、 「マジで」という言葉遣いにも萎えますが、語尾のことごとくが「ねーよ」「つーの」「じゃね?」となると読んでいて非常にいらつきます。特に「だっつーの」がきつかったです。

話の筋よりも何よりも、何百年も生きてきたというのなら、せめて長音符で話すのはやめようよ、としか思えなくなっている自分に気がつきました。

面白くしっかりした筋立てだっただけに、残念です。

まばたきを三回 を未読の方もネタバレに注意してください

はじめに申し上げておきますが凪良先生の作品は好きです。よい意味で泣かせどころの上手な方だとも思います。

この作品も読ませる力はぐいぐいあります。 

要の精神的にも肉体的にも自虐的な方向に自分を追い込んでしまうという悪循環も、とても説得力があり涙なしには読めません。

無責任に人を責める世間の風潮も的を射ていると思います。

私が納得できなかったのは少女のお母様の行動ですね。悲しみの腹いせにしろ、数ヶ月ならともかく6年間も真実を隠し黙っているのはいくらなんでも無しでしょう。娘可愛さとはいえ、ここまで長期に渡って、前途ある若者の未来を台無しにしていられる神経がわかりません。そして、夫婦そろって異常ならともかく、お父様が極々常識的であることも不思議です。

実を言うと、この1冊だけならこういう異常な行動をとる人もいるだろうと思える範囲なのですが、’まばたきを3回’ も全く同じパターンだったのでがっかり感がひとしおです。

あちらも母親が勢いでついた嘘のせいで、主人公が要らぬ苦しみを余儀なくされます。良作だっただけに、余計に本作品との類似が惜しまれます。

母親という立場の中年女性の全てが、このように分別がなく理不尽というわけではないと思うのです。

どちらか、1冊だけ読むのなら全く問題はないのですが、両方読んでしまうと中年女性は自己中心的かつ感情的な言動をすると類型化されてしまっているようで、残念な気持ちになりました。
しかも、母親ならそれでも仕方がない、我が子を愛するが故の行動だからということで肯定しているふしも感じられたのが余計に腹が立ちました。

性格の悪い女達? 

1から4までのまとめての感想です。

真摯に仕事にかける男性の姿が圧巻でした。仕事って生きる証でもあるんですね。


性格の悪い男達を書きたかったと作者のあとがきにありましたが、男性陣に特にそれほど性格の悪い人はいませんでした。

桐原は自分勝手と司馬に評されていますが、それをいうなら手ひどく桐原を突き離した時の司馬のほうがより残酷だったといえます。どちらにせよ、若いときは自分のことで精一杯なのはあたりまえ、冷たいとか自己中心的と責められるほどのことではないと思われます。
そして、物語の終わりには、皆さんすさまじい成長振りを見せてくれます。

悪代官役である篠田ですら、割とさっぱり別れてくれるし、その後桐原に嫌がらせをするわけでもありません。

1番性質が悪いのは、桐原の妻、弥生でしょう。

自分の無知(それにしても世間知らず過ぎる)による勝手な理想(妄想ですね)を桐原に押し付けたあげく裏切られたと暴走し、他の男の子を宿して開き直る。桐原にも至らない点があったにしろ、肩身の狭い思いをしながら義父と同居してくれたことにも、まったく感謝の気持ちもありません。

自分が桐原を死にたいという境地にまで追い込んでいながら、反省どころか気づいた様子もありません。その上、‘あなたは強い人ね’とか言いながら慈悲の心を持った女性、桐原の一番の理解者のような立ち位置を手に入れてしまいます。

このまま、桐原には娘の父親、対外的には夫としての役割や責任を求めたうえで、経済的にもちゃっかり寄りかかって生きていくのでしょうね。強かで狡猾な女性です。
弥生に比べると司馬の妻のごく普通の悪妻ぶりは可愛いものです。

桐原も、同胞愛だの兄弟愛だの言ってほだされていないで早く逃げてほしいものです、あくまで貧乏くじを引き続ける彼が気の毒でなりません。


あと、桐原の美声に何度も言及されていたのが印象的でした。容姿の美しさに触れるのは普通ですが、あえて声の描写を重ねることで桐原の複雑な性格が浮かび上がります。

低く清潔で聖職者を思わせる声、私も聞いてみたいです。