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純愛です

母が子宝を願って百度参りをして授かった潮は、異形の姿が見える高校生。
小学生のときに母が死に、そのときに慰めて見守ってくれたひとりの鬼との思い出を、その土地から引っ越した後もずっと大切にしてきました。
ようやくその土地に戻り、鬼と再会したのが物語の始まり。
ちょうどそのとき、そこでは豊穣祭の準備が進んでいました。

子供の頃の刷り込みのように、鬼が好きでたまらない潮。
鬼も、異形の自分を怖がらずに懐いてくれた幼い潮をもともと可愛がっていたし、今になっても好意を全身で示す潮が可愛かったのでしょう。体も心もどんどん距離が近くなり、べた甘モードが全開になったところで、とんでもないどんでん返し。

鬼がどんどん痩せていくのです。
そして、問い詰める潮に、自分は豊穣祭終わりとともに霧になって消えることを告げます。それを防ぐ方法はただひとつ。鬼が見える人間――潮を食べること。

だけど鬼は潮を食べようとしません。食べるつもりもありません。
鬼はそもそも、豊穣祭の間、どの鬼にとっても極上の餌である潮の命を守るために、潮の前に姿を現したのですから。鬼は、潮を守りきって消えるつもりだったのです。

でも潮は諦めません。
自分も鬼も死なないで生きられる方法を模索し始めます。
ですが、そこでまた次のどんでん返し。
潮が不治の病にかかっていることが発覚します。
「灰になるより、あんたの血と肉になりたい。だから俺を食べて」と潮は懇願します。
「嫌だ。お前を食べられるものか」と涙ながら拒否する鬼。

ここでちょうど中盤あたりです。
この先は、もうずっと泣きながら読んでいました。
鬼が潮に託した願い。「幸せになれ。生きることを諦めるな」。
潮が鬼を想い、復活をただひたすらに願って、必死で足掻く様子。
このにっちもさっちもいかない運命を、二人はどう乗り越えるのか。

潮は子供っぽいです。素直で無邪気といえば聞こえはいいですが、言い換えれば能天気で考え無し。そのために、途中で一回、大きなミスをおかしたりします。
鬼は鬼で、ものすごく強いくせによく泣くし、餌である人間すら食べられないくらい穏やかで優しい、鬼としては完全なる出来損ない。
二人とも不完全です。だけど、だからこそ愛しくて、はらはらして「頑張って」と目が離せずに見守ってしまうのです。子供だった潮が、鬼を助けるために涙を堪えて奔走する姿は、本当にけなげです。ある意味、潮の成長物語とも言えます。

ラストはちゃんとハッピーエンドです。
途中が苦しかったから尚更、「良かったね」と幸せすぎて涙が出ました。
想い合う二人が幸せになれて、本当に良かった。よく頑張ったね、と。
現代版日本昔話。読み応えはたっぷりです。

『青龍の涙 ~神は生贄を恋う~』からのスピンオフとのことですが、読んでいなくても全く問題なく楽しめます。
ただ、竜神や真吾の子供が出てきたり、竜神の台詞にちょっと思わせぶりなところがあったりするので、読んでいたなら尚楽しめると思います。

フラッター コミック

天禅桃子 

大人のラブストーリーでした

初天禅作品でした。そして、惚れました。
ずっと、表紙だけ見て、芸能人もののようなキラキラした世界を想像していたのです。ですが、その予想は全然違って、しっとりと落ち着いた大人の恋物語でした。

観月の少し意地悪なところ、浅田の素直なところ。テンポの良い会話が楽しくて、二人ともとても好感が持てました。そして、観月の抱えている傷。切なくて、苦しくて、それを浅田が癒してくれると想像できるのが幸せです。

天禅さんの作品、これから買いあさりたいと思います。

幸せな気分になれます

おとぎ話のような印象なのに、なぜかエロシーンの多い不思議な話でした。攻の総も受の日向もいい人だったからかもしれないです。

総は、将来を嘱望されていたのになぜか筆を折ってしまった着物の絵付師。日向は、高校生のときにそんな総に助けてもらった大学生です。助けてもらってからずっと、総の個展に行ったり、記事をスクラップしたり、憧れ続けてきました。
総の実家の黎月華が買収されそうになっていると聞き、なにかできることはないかと黎月華の門を叩いたのが始まり。買収先の会社令嬢の求婚を断るために、日向は女装して総の恋人役を演じます。
そこからは良くある展開ですね。売り言葉に買い言葉で結婚式を挙げることになり、カモフラージュのために黎月華で女姿のまま生活することになり…。筆を折った総に絵を描いてもらうために、日向はあれこれと奔走します。

総が絵を書かない理由。総の父親が黎月華を出て行った理由。
その誤解をといた、総の母親の秘密の日記。その中の一文を読んだとき、ついホロリとしてしまいました。

読後感はとてもいいです。
総も日向も幸せになってよかったねと心から思えるお話でした。

お得!

このお話は、絶対にこの小話も一緒に読むべきです。本編だけでも幸せになれますが、きっと、もっと幸せな気分になります。
まあ、単にバカップルなんですが。ひとことで言うと身も蓋もないですね。

本編ラストに出てきた指輪。
おそろいなのかな?と匂わせるところで終わってますが、しっかりおそろいのようです。ペーパーには、それをつけるに至ったやり取りが書かれています。

それが、まあ、甘い甘い。砂糖のふりかけみたいな話です。
シャフィークの天然っぷりを隆明が年上の余裕で受け止め…。
非売品ですが、手にはいるのならば、ぜひ読むことをお勧めします。

大人な甘さのアラビアンナイト

アラブ王子様が受なのが、なんと言っても一番の特徴です。
しかも、受なのになよなよしていなくて、凛々しくて気高い。国民に恐れられ尊敬され、「フサームの鷹」などとあだ名までつけられてしまっているくらい。

そんな王子が、日本の石油会社の御曹司の隆明にだけは、素の顔を見せて猫のように甘えます。夜の間だけ。カーテンを下ろした天蓋のベッドを魔法のランプに見立てて、その中だけの秘密の情事。秘密の顔。睦言。
王子様のシャフィークは特に色恋沙汰には疎くて、それに関してはかなり天然気味。隆明は、そんなシャフィークをとにかく甘やかします。

途中、胸が痛くなるような場面があったりしますが、話自体はずっと甘甘です。当て馬とか悪者は出てきません。
体の関係から始まった二人が、徐々に惹かれ、恋におぼれ、素の顔を出していく過程が丁寧に綴られています。大人のアラビアンナイトです。
最後はハッピーエンドで、幸せな気分でページを閉じました。

同時配布のペーパーも読めば、いっそう幸せな気分になることは間違いなし。読まなくても問題ありませんが、少し内容に絡んでいるので、読むと得した気持ちになります。

翻弄される花嫁! 読みごたえがあります

借金のかたに花嫁にされるのはBL花嫁のお約束どおりの始まり。
花嫁が甘やかされて~かと思いきや、なかなか甘くならない。花嫁の槇人は相手の慶一が好きでたまらないのに、その慶一が冷たい。それには理由があったのですが、槇人の気持ちが切なくてずっとずきずきしてました。
やっと両想いになったと思えば、横やりが入り、終盤直前に別離。なんだそりゃ!です。
でも最後はちゃんとハッピーエンドで、槇人も人間的に成長できて、とても気持ちのよい話でした。


それにしてもこの話、人間模様が凝ってます。恋愛はもちろんなのですが、兄弟愛、親子愛、友情、そして金への執着が絡み合って、ただの単純な花嫁ものではなくなっています。

「花嫁だけが知っている青海川家の隠し財産」を軸に話は進むのですが…。

財産の隠し場所を聞かされていないことを隠し続けようとする、青海川家の唯一の生き残りの槇人。
槇人のために早く隠し財産を見つけようとする、花婿役の槇人の従兄慶一。
ただ青海川家の財産を手に入れたい慶一の父、山波社長。
山波建設を立て直すためにどうしても財産を横取りしたい、慶一の双子の弟英一。
とある思惑を抱えている英一の秘書、久遠。
そして、故人となってしまった槇人の父桂が槇人のために残した仕掛けと、弟の柊也の思い。
慶一と英一の高校時代の親友で、これも故人の佐々木の存在。

それぞれが全く別の思惑を持って隠し財産に絡みます。
誰が財産を手に入れるのか、どこに隠されているのか、そもそもその財産は何なのか、最後までどきどきさせられます。
これだけの人物がありながら、混乱させることもなく一気にラストまで読まされました。謎も解け、登場人物それぞれに未来が開け、読み終えた時には、思わずため息が出ました。とても読みごたえがあって面白かったです。
隠し財産の正体も、なるほどと思わせるものでした。


意外とおいしいのが、英一と秘書の久遠の関係。
それこそネタパレになるので書けませんが、この二人のドラマもいろいろありそうだと想像させられます。イラストの久遠で萌えが倍増しました。

気がつけば一気読み

とても読みやすい文章で、話のテンポも良く、気がつけば最後まで読み切っていました。
丁寧というのか、誤解を与えない感じの文章が心地よかったです。

ストーリーとしては、いたってアラブものの王道で、監禁凌辱そののちほだされてハッピーエンドというものです。
ですが、花嫁あつかいされたり、女の代用にされる設定ではありません。
優司はアレクセイの夜の相手として監禁されますが、どこまでも普通の青年なんです。またそれが素直というのか、健康な精神というのか、まっすぐな性格で……かわいいです。年齢のわりに幼いとも言うかもしれません。

ただこの話、一見ハッピーエンドのように見えて、一番大きな問題は解決していません。
優司はテロリストに追われたままです。しかも、世間ではテロに巻き込まれて死んだことになっています。このまま一生砂漠の真ん中の城で隠れて暮らすんでしょうか。それも無理があると思うのですが。
もしかして、次作へ続く伏線でしょうか。
そうですね、続きがあるなら読みたいです。どう見ても形勢逆転、精神的に強い優司と、優司にメロメロになったアレクセイの話を。イラストレーターの方の後書きが非常に的を得ていてウケました。

この方の他の小説を読もうと思うくらいには面白かったです。
そうしたら、これが処女作なんですね。次に出る本にも期待します。