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ストーリーと人外要素はあっさりめ

あらすじを読んだときは、動物系の人外・血統・子孫繁栄のために交配・蛇・虎、などなど、寿たらこ先生の『SEX PISTOLS』を彷彿とさせました。

『SEX PISTOLS』の丹下道ver.か?と思いましたが違いました。
細かい設定がないですね。
『SEX PISTOLS』も丹下道先生の代表作『恋するインテリジェンス』もバチバチに細かい設定を組み込んだ作品ですが、『ペディグリー』にはなかったように思いました。

ストーリーの進展がほぼ家の中で行われるので、複雑なお話ではなく、攻めと受け2人の世界です。
私の勝手なイメージですが、花音のコンセプトである「恋する男子は止まらない!!」らしい作品でした。
sexy & stylishがコンセプトのリンクス(『恋するインテリジェンス』掲載雑誌)とは違った雰囲気ですね。

人外要素はほぼないです。
攻め(虎)はケモ耳と尻尾と牙があり、寒さに強く暑さに弱い設定。
受け(蛇)は肌が敏感で感じやすく、寒さに弱い設定。これくらいだった気がします。

攻め(虎)にはケモ耳と尻尾があるので見た目から人外だとわかりますが、受け(蛇)の身体的特徴は乏しいです。鱗や尻尾もないです。
肌が敏感なのもBLにおいて受けの肌が敏感なんて当たり前みたいなもんですし。

寒さに弱い設定ですが、そのわりに真冬の屋外では薄着です。バスローブ1枚だけ着て寝てしまって体調を崩し、体温が高い攻めに抱きしめられながら温められるシーンはありますが。
(『SEX PISTOLS』にも似たようなシーンがありますね……。)

攻め(虎)のケモ耳と尻尾も疑問に思うところがありました。
仕事場ではケモ耳を出していないので、ケモ耳には仕事とプライベートがあるのかと思いきや、1話の上流階級が集うパーティー会場ではケモ耳が出ているのに、5話の高級ホテルのレストランで食事をしてる場面ではケモ耳が出ておらず、高貴な血統で名家の受けの叔父と会っているときはケモ耳が出ている。ケモ耳と尻尾のTPOが謎です。

キャラクターは他の方もレビューで書いていますが、新鮮さはないです。『恋するインテリジェンス』のCPが多いせいでもあると思いますが(笑)
私は丹下道先生の描くキャラクターが好きなので満足しています。

濡れ場も特殊なプレイが多い『恋するインテリジェンス』と比べてオーソドックスでした。
汁・セリフ・擬音の多さは変わらないです。丹下道先生らしさのある濡れ場でした。

『恋するインテリジェンス』を読むとわかりますが、丹下道先生はストーリー背景に細かい設定を作りそれを活かした漫画を描く先生です。
てっきり私は、蛇と虎や血統のための交配など『SEX PISTOLS』に似ている設定があっても、社会的背景などに丹下道先生のオリジナリティが反映されてるんだと思いました。残念ながら違いましたが。

『恋するインテリジェンス』を読んだことがなく、『SEX PISTOLS』も知らない読者をターゲットにしているのかなと思いました。

花音のコンセプトでは難しいのかもしれませんが、2巻以降はもっと人物や社会的背景の設定が盛り込まれていくことに期待しています。