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コメディテイストな第一巻を経てより深さを増す第二巻

前巻で見事な振り回されっぷりを見せてくれた、攻めである高宮君。
この二巻では、新たな人物寺島の登場もあり、高宮君と片山さんの二人の関係性にも少しずつ変化が見られます。

心境の変化は、まずは片山さん側に現れるように思います。例えばロブスターの日の夜。結構酔ってるかも、と言ってに妖艶に微笑む姿。完全に誘っています。
いつもの棘や気取りは影をひそめた、やわらかでセンシュアルなその微笑みを浴びた高宮君が急沸騰するのは道理でしかありません。最高のシーンでした。

その後、高宮君側にも変化が見られます。少しずつ大人になる高宮君。相手のことを考える、相手を深く想うという段階に入る高宮君。愛ですね。

二巻は更に絵が美しく、片山さんの目の皺など見惚れてしまうほどです。美しいスーツやシャツも存分に堪能できます。ストーリーのみならず絵を楽しむこともできる素晴らしい物語でした。

お堅い魔性の受けに永遠に振り回される年下攻め

極上のワンコ系年下攻めが味わえる作品です。
受けである片山さんのキャラクターがとにかく良く、偉そうで慇懃で、かと思えばナチュラルに魔性なのが素晴らしいです。

他の作品も含め、大島かもめ先生のキャラクター造形がとても好きだなと感じます。行動や口調、性格や雰囲気のすべてがトータルでキャラクター自身を形作り、お話の中でイキイキと動いているように感じます。

年下の攻めである高宮君が振り回され翻弄されているさまが可愛らしいので、いつまででも振り回されていて欲しい(かわいそうだけど)と思いながら読んでいたら、その期待通り第一巻では振り回されたままで終わりました。
キチンとくっつくまでのモダモダが大好物の、私のようなタイプの方に是非ともお勧めしたいです。

片山さんの、丁寧なのにぞんざいな口調が大好きです。語尾の「〜なの?」や返答の際の「いいえ」や、「君」呼びなど、非常に良いです。わかりにくさも含めて魅力的。誰もを虜にする町の仕立て屋さん。年齢不詳(第一巻の時点では)。
やはり魔性です。

最高の三部作

最新の第3巻の発売を期に、初めてこちら「その世のどこか〜」のシリーズ3冊を通して読みました。

圧巻でした。この第3巻でのストーリーを描くために、この景色を見せるために、前2巻でのシンと我々の旅があったのかもしれない、そう思わされるほどの圧倒的エンディングでした。
1巻ずつの完結したお話としてとても面白いのは勿論のこと。これまで未読だった自分が信じられません。

第1巻で、オライエでの物語を通してシリーズの主人公であるシンの人となりや奔放なさまを見せ、第2巻ではターキアで巻き起こる事件を介して第3巻での軸となる2人の関係性を描き、そして堂々の第3巻でいよいよ(既に我々も良く知っているところの)その主人公シンの物語へと至るわけです。
この為にすべての時間はあったんだ、というそんな気さえします。
普段は飄々として冗談をとばしては辺りを煙に巻く主人公の、感情が決壊するシーンには胸が熱くなりました。カタルシスでした。

未読の方は、ぜひ第1巻『その世のどこか、地図にない国』、第2巻『常夜の楽園』そしてこの第3巻『蒼天のゆりかご』と、通して読んでみていただきたいです。

最高の物語体験が得られること間違いなしです。

舞台装置としての空の色

座裏屋蘭丸先生『シャングリラの鳥』待望の第3巻です。

『シャングリラの鳥』の世界を思い浮かべたときにまずイメージするのが、その熱気をはらんだ海風、生命力に満ちた南国の植物の匂い、そして高い空の色です。
今回の3巻でも、その美しい空はキャラクターたちの心の変化と連動し、それぞれの時間で多彩な表情を見せてくれます。
本土から島へと帰ってきたアポロが背にしている、昼間の眩しい空の色。雨の庭でのひとときを経ての翌日の二人、官能をはらんだ夕暮れ時の空の色。敷地内の浜辺での口論、二人それぞれの心の迷いを表すかのような雲の多い空の色。
カラー絵ではないのが信じ難いほどに、雄弁にその変化を感じさせてくれます。

禁忌を犯した自覚を持ってしまった二人。しかしながら、その空の色に不穏な影は見当たらないように感じます。楽園から踏み出すことが悲劇とは限らない、そんなことを思います。
今後の展開も楽しみでなりません。

男前で強くてカッコいい受けが好きなので、今回の3巻でフィーが「ガタイがいい」「オラオラ系」などと他者から形容されているのが嬉しくなりました。
190cm巨体のアポロの隣にいるから少し小さく見えるだけで、フィーは鍛えられ全身に締まった筋肉がついていて良い身体してますよね。それでいて色気があるという。
座裏屋先生の描く人々の身体、艶やかで弾力があって大好きです。

天地開闢の物語 & 時空を超えたBIG LOVE

Priest先生の『鎮魂』遂に翻訳版第2巻が発売されました。
まず帯が最高です。「あなたが何度死んでも、何度生まれ変わっても、私は離さない」沈巍のそのいっそ狂気的でさえあるような執着心の理由とは。

第1巻からのその謎が謎を呼び少しずつ過去が明らかになっていく展開に加え、こちら第2巻では天地創造の物語と人々の善悪や是非への問いかけが絡み、非常に壮大な世界観を見せてくれます。
人々は与えられた道を歩むことしかできないのか?支配されたままで決められた運命に抗うことはできないのだろうか?己れの心で己れの行動に責任を持って物事の善悪や是非を見つめていくことができないのだろうか?
人々の自由を願ったそんな葛藤は、中国の古代神話の神々とその所業に触れつつ大きく展開していきます。

趙雲瀾の奔放に見えるようでいてすべての者への慈愛を忘れないその行動原理も、沈巍の頑なまでに趙雲瀾を守ろうとするその信念も、すべては古代世界での出来事に由来するさまが徐々に見えてきます。
意志を同じくした唯一の相手である二人の出会いとは。

世界の黎明から終焉までを描いた物語が個人的に好きだということもあり、BLを抜きにしても物語そのものの面白さに引き込まれます。Priest先生のストーリーテラーとしての手腕にすっかり虜です。しかしながら、もちろんBLな展開も非常に宜しいです。
不意に表れる沈巍の加虐的な部分、いわば物騒な側面についても、彼の出自にその理由があります。しかし彼はそれを抑えに抑えるのですが。

巻末に、作中に登場する中国神話の神々の簡単な解説がついています。とても有難いと共に、お陰さまで『山海経』など中国神話に興味が湧いてしまいました。

Loved Circus コミック

朝田ねむい 

Circusへようこそ

最近、朝田ねむい先生の作品を続けて読んでいます。「スリーピングデッド」「Dear, My GOD」に続き、これが三作品目です。

やはり設定が良いです。古い倉庫を改装したかのようなゲイ専門風俗店「サーカス」、店内はいくつかの部屋に分かれていて、従業員4名はそこでベッドを並べ共同生活を送っています。
従業員みなそれぞれが訳ありだったりでそれぞれの人生を送って来てここにいる、人間模様が描かれた作品です。
それだけで既に面白い。とにかくお話として面白い、それが朝田ねむい先生の作品の醍醐味であり何度も読みたいと思う所以です。

シロさんのキャラクターが最高です。黒のタートルネックも目の下のホクロも長い睫毛も流し目もすべてが良い。休みの日はいっぱい寝るところも良い。シロさんが顔色ひとつ変えず “僕に集中して” と言うコマでは死にそうになりました。センシュアル過ぎました。
「スリーピングデッド」の佐田もそうですが、朝田ねむい先生の描くパジャマを着た男性がなんとも言えず色気があって好きです。パジャマ買おうかなと考えています。

登場人物皆、人生色々なことがあってもシリアスになり過ぎず生きていける明るさが素敵です。
映像化や実写化されてもとても素晴らしくなりそうな作品だなと感じました。

Dear, My GOD コミック

朝田ねむい 

色が見える、音が聞こえる、匂いがする、そんな二作品

『スリーピングデッド』を読んでからというもの、朝田ねむい先生の虜となってしまいました。
先生の作品で私が二番目に読んだのがこちら『Dear, My GOD』。

『スリーピングデッド』を読んで感じたことですが、やはりこちら収録の二作品も同様に、ストーリーの運びやシーンの捉えられ方などとても映像的に感じられます。
読後の余韻が映像作品を見た後のような感覚です。
ひとつひとつの絵やコマの連なりから、色や音や匂いがして来るのがよくわかります。

表題作『Dear, My GOD』では北米の片田舎の太陽が感じられました。暖かくてちょっと黄色くて眩しい。例のカルトの溜まり場では澱んで饐えたような臭いもします。そんな、息をするのもためらわれるような場所で無邪気に笑うリブの様子が痛々しい。
救済と言うよりは人の業に潜む闇や何かを盲目的に信ずることの恐ろしさを感じました。

同時収録の『はなばなし』こちら、かなり好きです。擬人化した花も可愛いけれどハナも可愛い。花に近寄ると、冷たくてしっとりとした水気を含んだ土と葉、そして清らかで仄かに甘い花弁の香りがするのではないかなと想像します。ハナが思わず吸い寄せられてしまうのも道理というものです。

この『はなばなし』の二人については、その後の話を読みたくて仕方ありません。少なくとも一年はあのままの感じで、接触したりしなかったり、したらしたで何かのせいにしてみたり…と、もだもだしていて欲しいところです。

一人で生きる、でも一人では

上下巻を一気読みしました。
読後、怒涛のように押し寄せる余韻に浸っています。とにかく素晴らしかったです。

強い力を持つ作品は、それを知る前と後では世界を違って見せてくれるように思います。
朝田ねむい先生の『スリーピングデッド』を経験することで、私の視界は確実に変化しました。

他者との距離感についての話には非常に考えさせられました。協調性や社会での身の振り方などは皆が皆うまく適応できることではなく、多くの人が生き辛さややり辛さを感じていることなのではないかと思います。それらを改めて言語化し見つめさせてくれるところも含めて、心から好きだと思える作品です。

間宮は最後まで他者との距離感をうまく掴むことができなかったのかもしれない。でもそれこそが間宮の生き方だったのだろうなとも感じます。

個人的には、間宮にとってはこの結末以外はあり得なかっただろうと思います。
間宮は彼を知ることができた。彼を助けることができた。彼と “一緒に” やることができた。彼を愛することができた。

このエンディングに至るまでの、追い詰められ切羽詰まっていく間宮の心情の描かれ方、辛く痛々しく胸を抉ります。素晴らしかったです。

最後に。ちょこちょこ間宮が佐田に言う “似合う” がわかりすぎます。温泉での素肌に濡れ髪、首輪だけ着けた佐田の色気といったら。その辺りをわかって(しかし無意識に)やっているところ、間宮の佐田への大きすぎる愛が伺えて良いです。

それにしても佐田、本当に罪作りな男ですね。

これが恋なのか?

まず上巻を読んだ直後の感想です。

とにかく面白いです。寝ても覚めてもスリーピングデッドのことばかり考える。“これが恋なのか?” 状態です。

ヤバい、良い、設定からして良い、とにかく良い、ページから血の臭いがして来る、関係性が良い、段々と攻めの顔になってくる佐田先生良すぎる、と心の中で悶絶しながら読み進めてあっという間に最後のページとなりました。

会話の呼吸とその場の空気の見せ方と言うのでしょうか。間の取り方が絶妙に素晴らしいです。
相手が相手を見るコマのアングルが映像的でとても印象に残ります。例えばp92、庭でサルと戯れる佐田を家の側から見る間宮のコマや、p146、車の中、外からの光に照らされた二人の横顔が並ぶコマなど。このコマでは間宮からは佐田の横顔が逆光となって見えているだろうことを想像すると、このシーンに漂う緊張感が強調されるように感じます。

個人的に好きな台詞は、大島の件の夜に間宮が言った「あそこは生体用だ 死体は納屋で処理する」です。
間宮は佐田を起こすにあたって納屋には運ばなかった。つまり、佐田は一度死んだ側の人間ですが、間宮にとって明らかに佐田は死体ではなかったんだなと。“死んだ” というのは過去形であって、それは佐田が “死体” であることとは同義ではなく、生体として、生者として扱う。そんなところに間宮の想いというか執念を感じました。

佐田の「韻を踏んでるな」も好きです。そこにひそませられた伏線もありつつ、佐田の人となりが表れた台詞だなと思います。

この作品、とにかく面白すぎます。現在進行形で追っていらした方々は、この二人が今後どのようにその関係性を変化させていくのか、それこそ続きが気になって気になって仕方が無かったことでしょう。
今これからすぐに下巻を読むことができる幸せを深く噛み締めています。

ナポレオンジャケットを着て白馬に跨った貴族の青年

今作『涯外殻の番人』は星野リリィ先生の8年振りの単行本だとのことです。まず、とにかく絵が美しいです。

その遥か遠くの地を思わせるタイトルに惹かれ、試し読みをしました。
ナポレオンジャケットを来た王子(のような訳あり美男子)が柔和に微笑んだ時点で読まない選択肢などはもはやありませんでした。口の悪い天才魔術師のお兄さんと少しずつ距離を近づけていくさまに引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいました。

人物の描き方のみならず、建物や服装の細かな描き込みが非常に美しいです。
舞台は神や呪いや魔術の存在するヨーロッパ風ファンタジー世界ですが、その空気感と二人の関係性の進み方が良く、個人的な好みど真ん中でした。セリフ回しも心地良いです。萩尾望都先生を愛読していた自分にとっては故郷に帰ってきたかのような気分にさえなる作品でした。

名門貴族の三男アシュアスはとある失敗を犯し、都市部から遠く離れたその果ての地へと赴任して来ます。
癖毛の金髪に長い睫毛の目元が見目麗しく、剣技に長けていて、王子様然としたいかにもな美男子ですが、何か重い事実をその過去に秘めているようです。
そのアシュアスが赴任先で出会うのがデュラントです。鋭い目付き、綺麗な上腕や筋張った手の描かれ方が印象的です。武術のセンスは無いけれど、天才的な魔術の才能を持ったデュラント。

この品行方正な貴族のお坊ちゃまであるアシュアスが攻め(今作ではあからさまなシーン描写は無いものの、作者さんご本人がSNSで公言されています)なのが非常に良いです。顔色ひとつ変えず息をするように口説くさま、普段は穏やかなくせに時折見せる攻めの目付きにとにかく痺れます。
飄々として温厚で落ち着き払っているかと思えば、デュラントだけには甘えてみたり不意に弱さを見せてみたりと、ギャップが素晴らしいです。

対するデュラントは口ではああだこうだとは言うものの、優しくて面倒見が良くて攻めのどんな姿も受け入れてくれるような包容力も持ち合わせている、頼れる男前です。
この二人が出会えばそれはもう最高のカップルにならないはずが無いです。

エピソードのすべてが良く、どのシーンもゆっくりと味わいたい、そして願わくば続編を読みたい、そんな気持ちにさせてくれる作品でした。