こちらのサイトで人気だったので購入。
オメガバ―ス+近未来設定で世界観についていけないところがあり、没入感が得られませんでした。
βの妊娠率が低下しているため、バース提供やΩの出産代行が認められているというのが話の前提にあります。Ωの出産代行はイメージ湧きますが、バース提供というのが特に説明がないので、何を提供するのかわからないまま話を読み進めなければなりません。そのバース提供の研究に協力している特級αの高校生と、その同級生のΩの話。
受けは一人しかいない美術部員で、人気者の攻めが身を隠すために美術室に入り浸るようになったため、二人は仲良くなります。
部のカメラで写真を撮ったりしていましたが、ある日突然、受けがその写真をSNSに上げて自主退学します。
それから10年後に再会。攻めは弁護士になり、受けは絵本作家になっています。受けが出産代行をしたけど子供ができなかったということで依頼者とトラブルになり、弁護士事務所に連れて来られた形での再会でした。
受けが自主退学した理由は教師にレイプされたからでした。そのトラウマで人との性的接触はできないけど出産代行で子供を産みたいという願望は強いようです。妊娠したがっていることを知って攻めが受けを襲おうとしますが、「俺がお前を噛むなんて絶対ない」的なことを言って殴られます。カメラで殴られたのですが、その中にレイプされたときの動画が残っていたため、攻めはそれを見て退学の理由を知ります。
その後、受けは精子の提供を受けて妊娠するという臨床研究に協力することになります。実はその精子は攻めのものですが、それについては受けには明かされていません。処置中に受けはパニックになり、攻めに会いに行こうとして2階から飛び降りようとし、それを攻めが助けて頭を打ちます。倒れている攻めに受けが告白のようなものをして、その日、攻めの家に泊ることになりました。翌朝、ヒートが来て、一旦は病院に運ばれますが、攻めも受けに気持ちを伝えて、ようやく結ばれることができました。
最後は受けのサイン会に例のレイプ教師が来て、強引に写真を撮ろうとして、居合わせた元同級生の女子にアッパーパンチ食らってました。
攻めも受けもキャラがよく、ほのぼのなイラストがちょいちょい挟まるので、シリアスなストーリーのわりにシリアスになりすぎないところはよかったです。
ただ、Ωの代理出産については、出産が命懸けであることを考えると受け入れがたいところがあり、特に精子提供を受けて妊娠を誘発する臨床研究については、子供の人権を無視した政策に思えて嫌悪感を抱きました。
ドナー情報は秘匿案件的なことを攻めは言っていますが、受けは精子提供者が誰かわからないのに、攻めのほうは相手を選んで精子提供しているというのは、制度としてはありえないです。
そういったところで世界観に入り込めなかったのと、相手のことが好きなのに「俺がお前を噛むなんて絶対ない」と言わせるところに演出的なものを感じてしまったり、レイプの動画を消してなかったことや、レイプ教師が学習塾を開くことにしたのにわざわざ警察沙汰になりかねない騒ぎを起こしたことについては、なぜ?と疑問に思いました。