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物語の世界に『触れた』ことは何度もある。けれど、『匂い』まで感じたのはこの本が初めてだ。

『代償シリーズ』、あるいは『聖獣シリーズ』とも呼ばれる本作品。
本当ならば第1巻からレビューすべきなのだろうが、私はあえて、この第5巻を紹介したい。
理由は簡単だ。このシリーズがとてつもなく好きだからだ。頭に『大』をつけてもいい。『愛してる』という言葉さえ惜しみなく使おう。それほどに私はこのシリーズが好きで、ドハマりしている。
となれば、考えることはひとつだ。
私は今後、どんどんこのシリーズの新作発表の知らせが聞きたい。どんどん新作を手にしたい。そのためにはより多くの方にこの作品を知って読んでもらわなければならない。一人でも多く同胞の手を、ガシッと掴まなければならない。喉から手が出るどころか、勢いあまって足までひねり出そうとしている私のような読者を、どんどんどんどん増やさねばならない。

さて、前述したように、本作品はシリーズ物である。
第1巻、第2巻、第3巻は、とにかくドラマティックな展開で、涙なしには読めなかった。特に、レビューや評価などで素直に数値化されているとおり、第2巻は悲恋まじりの心の別離が描かれているせいか、ハッピーエンドで幕が下りた瞬間の安堵と幸福感はひとしおだ。かくいう私も深夜にひとり、頭が痛くなるほど号泣したひとりである。

一転、第4巻はかなり毛色が変わった。
カップルももはや4組目。ゆえに、物語のスタートライン、展開、キャラクター設定にかなり自由度の高い冒険色を混ぜたのかもしれないが、前作までの3組のカップルが大恋愛だっただけに、さしもの私も「カレーを注文したのにグリーンカレーが来た!」ぐらいには仰天した。
主人公たちの恋愛を応援するよりも、「満足にご飯が食べられる現実って幸せなんだな」としみじみし、マズローの欲求段階説を思い出す。
このシリーズはいろんな意味で私に『初めて』をくれるなと、感心していいやら、苦笑していいのやら。
しかしふと気づいてみれば、いつの間にか手に取って読み返していることが多い第4巻。
めちゃくちゃ辛いけどクセになる、まさにグリーンカレー。

このシリーズにおいて、個人的に最大の『萌え』となる要(かなめ)。それは、『対の絆』と呼ばれる騎士と聖獣のつながりの強さ、つまりは、互いが互いを絶対的に想い合う『溺愛』にある。
いわゆる普通の恋愛のように、好きになった先に『恋人』という関係があるのではなく、この作品のカップルたちはそれこそ運命によって選ばれ、100%の愛情で結ばれた二人だ。騎士が卵の頃から愛情を注いで聖獣を育て、最終的に『伴侶(恋人)』という関係におさまっていくので、読んでいる側は安心してこの過程にニヤけていられる。
無論、簡単にはこの過程をふんでくれないカップルもいる。そこがこの作品の面白いところであり、泣かせてくれるところだ。

そして本作品、第5巻である。
第2巻ほどすれ違いは大きくないが、騎士が聖獣を想う、強い気持ちはとても伝わってきた。それは、アルティオ(聖獣)が幸せになるのならば、自分(リオン:騎士)が死んだあと、すぐに成り代われる騎士候補として最も可能性の高い男がそばにいることを、悔しくても、苦しくても、悲しくても、許すほどに。
欲を言えば、終盤でもう少し、甘い二人が見たかったなと思う。強く強く、運命でもって互いを想い合っているカップルたちなので、このシリーズはどうにも、胸やけするぐらいの甘さがないと『物足りない気分』になってしまうようだ。

<ファンタジー・溺愛・運命・ケモミミ・せつない>
どれかひとつでも、ご自分の好きなポイントがあったならば、ぜひとも第1巻から手にして読んでみてほしい。もちろん、好きなポイントが当てはまらない方でも、ほんの少しでも興味が湧いたなら手に取ってほしい作品だ。
(余談ではあるが、私は今まで一度も『ケモミミ』に萌えたことがない。例えばプレイ中に「ニャー」などと首を傾げて甘えられたら、ドッンッ引ッきッするぐらい興味がなかった。
しかしこの聖獣シリーズには、不思議と嫌悪のたぐいは一切なかった。半分は本物だからだろうか。イラストが素晴らしいからだろうか。あるいは、萌えて萌えて仕方がない『溺愛・子育て』要素がふんだんに盛り込まれていたからだろうか。否定できぬ)

第1巻からの購入をおすすめるのは、一冊で完結する物語なので途中の巻から読んでも問題はないが、それによって捉え得る世界観とキャラクターの味がだいぶ変わってしまう気がするからだ。それは損だ。日本にしかない素敵な言葉、『もったいない』の精神でもって、第1巻から順番に読んでいくことをおすすめする。


綿密に練られ、彩られた、騎士と聖獣が住まう世界。
その世界にひたることで、嗅覚まで刺激された物語は、この作品が初めてだ。

指折り数える、という言葉がある。
あと何日、あと何日と、指を追ってその日を心待ちにする意だ。

いままで何冊ものBL漫画を読んできた。
いままで何冊ものBL小説も読んできた。
けれど、表紙が発表されるのを心待ちにし、発表された表紙を一日に何度も何度も眺め、早く発売日が来ないかなと指折り数えて待って待って待って、待ち続けた作品は、この『聖獣シリーズ』だけである。


つまり、
人生で初めてだ。