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フルマラソンで言えば、20キロも来ていない

先日、連載の進行状況について先生がnoteで読者からの質問に答えていらっしゃいました。私はそれを見て少しだけ途方にくれる思いでしたが、まだまだこの物語が続いていくのだということに、とても歓喜しました。

あと数年は、新刊発売情報→既刊を読み返しながら発売日を待つ→発売日に即購入→徹夜で3回読む、という儀式を、興奮と共に執行することができる。
こうした喜びは、BLに関して言えば、私は初めての経験です。徹夜で3回読むなんてことも、すべての文芸作品を通じても、学生時代以来無かった気がします。

3巻の内容は、矢代襲撃の関係者たちの”実はあの時○○はこうしていた”的な回想シーン(でも非常に重要な回想)が多めの、本筋の時間軸で言えば正味2~3日の間の物語です。

描き下ろしで久我も言っていますが、矢代の惚れ方はますます分かりやすくなっているように感じました。2巻までは比較的冷静だった矢代のモノローグも、百目鬼に対して自分の感情がコントロールできない戸惑いに苦悩し始めます。百目鬼の言動を好意的に受け取れず不安材料にしてしまいがちなところなど、非常に少女マンガ的に乙女な矢代です。

対して百目鬼は、行動こそ大胆になりますが、「頭の手足になり 頭の望むことをするだけです そうすると決めています」という宣言の元、感情は完全に一線を引いたかのように見えます(あくまでも矢代の前でだけですが)。2巻では何度も勃ってしまいそうになっていたのに、3巻ではフェラをした後でさえ表情を変えようともしません(あくまでも矢代の前でだけですが)。ただただ忠実な舎弟を貫き通します(あくまでも矢代のm(ry)。ですから、少女マンガ的乙女な矢代が、百目鬼の気持ちに気付くはずもないわけです。

そんな二人を、私はじれったいとは一切思いません。
このままできるだけじっくりと、二人を描いていってほしい。
もしも、たとえ最悪な事態がこの先二人におとずれようとも、私は矢代を慕う百目鬼よろしく先生のお考えになる物語についていく、ただそれのみです。


余談ですが、初見の時に思わず涙してしまった1シーンがありました。
まさかの、百目鬼が矢代にフェラをする1回目のシーンです。
咥えられた瞬間の矢代の表情なのか、百目鬼の背中を「トン」と叩いた後に「ドン」と叩いたところなのか、理由は定かではありません。
でも、とにかく泣けました。
そして、その現場を杉本に目撃されてしまった時の、矢代の取り繕いきれてない表情が非常に色っぽく、マイベストオブ綺麗な矢代でした。
でももちろん、矢代は全編を通して「概ね綺麗」です。