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コンプレックスとあまずっぱい青春と

地味な自分を努力の末に変えて理想の生活を手に入れた立川と、天然で人気者の神田というふたりの高校生のお話。努力を重ねてなりたい自分を保っているコンプレックス持ちの立川にとってナチュラルボーンに爽やか人気者な神田は苦手な存在なのだけれど、ふとしたことでメイクもヘアセットもカラコンもしていない素の姿を知られてしまう。それからもなぜか神田はどんどん接近してきて……

ちょっと屈折したところのある立川の視点で話が進むのだけど、苦手な存在だった神田との関わりの中で少しずつ変化していく心情が丁寧に描写されていて、ついつい読みながらぐっと感情移入してしまった。自分もまあ陰キャな中高生活だったのでチクチクする感じもしつつ、努力でここまで変えられたのは本当に素直にすごい。
最初に神田の言った「下心」というのもあながち冗談でもなくて、立川のことはずっと気になってたんだろうなと思うが、それは置いといても彼はとにかくいい奴である。自分自身も中学時代に苦い経験を抱えながら、それでも人にたいしてこんなに懐広く暖かく接せるのは立派だ。「誰の真似もしなくていいよ」という、神田のラストシーンの台詞(ここでタイトルが回収されて興奮)がとても良かった。ここにきて立川もコンプレックスから解き放たれて楽になれた部分があるんじゃないかなと思う。
進展はといえば本編はハグ、おまけでキスまでというプラトニックなお話で、クラスでの居場所だとか地位とかにものすごく悩んでしまっているところや少しずつ揺らぎ、変化していく気持ちなど、思春期らしい甘酸っぱさをめいっぱいに堪能できる素敵な一冊だった。立川の友達の女子たちも素直でいい子たちだ。
あと、これは自分の趣味嗜好の話なのだけど、本当に神田のビジュアルもキャラクターもドドドドドドストライクすぎて、本当にありがとうございます……という思いでいっぱい。カバーもクラフト紙で少しレトロな味わいがあって素敵。何度も読み返したくなる作品です。