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萌作品

マスターレビューアー ソムリエ合格

女性おぶもいもいさん

レビュー数73

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過去と向き合って

あらすじに「再生の物語」「救済」とあったので
重たい展開も覚悟で読み始めましたが
重たすぎず軽すぎずな過去と
わりとライトなふたりの恋とが合わさったストーリーで、すごく読みやすかったです。

中盤で明かされた和久井の父親との過去は結構ツラいなと思ったけれど、
そのエピソードに長居せずにふたりの現在の気持ちを見せてくれているので、
ツラい・苦しいを引きずらずに読むことができました。

和久井自身、心に残ったしこりの存在を認めつつも。
大人だし仕事もあるし、そこで立ち止まってばかりはいられないと思っていたのかもしれません。
でも忍があえてそこに目を向けさせてくれたおかげで、ようやく父親とも向き合うことができて
読み手としてもホッとしました。

物騒なことに巻き込まれてヒヤヒヤする場面もあるけれど、最終的には上手くまとまってとてもスッキリした結末になっていて良かったてす。

とても重い

表紙の少年の眼力に惹かれて。
こんなに鋭い眼差しをしているのに、腕には可愛らしいシュシュ。
どんな『消せない夏』があるのか楽しみに読みました。

読み始めて日本が舞台ではないっぽいな…?と思い、レーベルサイトを確認。
こちらは海外(主にアジア圏)の人気BL作品を翻訳出版する新レーベルのようで
王道展開にとらわれないストーリー重視な作品をお届けする(要約)と公式にあったので、かなり期待してお話に戻りました。

ですが。
救いが無い系のストーリー展開に、ただただ打ちのめされることに…。
ズーンとした重たさと暗い雰囲気に引っ張られて
BLらしさとか王道展開にとらわれていないとか、
そういう問題ではないところに心を抉られてしまいました。

心に深く傷を負っているイエンは、長い時間をかけてそれに飲み込まれてしまったのでしょうね。
少年に対する酷い振る舞いはきっと彼自身の意思ではなくて、でも改めることもできない葛藤に苦しみ続けていたのかなと感じます。
そしてその負に少年は決して飲み込まれないので
どこまでいっても交わることができなかったのだろうなと思いました。

イエンのもとから逃げた少年のその先はわりと普通で、トラウマも残らずに生きているのは彼らしいなと思いましたが。
心が壊れたまま最期のときを迎えたイエンを思うと、とても苦い気持ちに…。
やり場のない想いを抱えるヤクザも不憫で、とてもやるせない気持ちになったのでした。

BLとしての萌えがあったかと聞かれると「うーん??」という感じなのですが、
引き込まれるところはしっかりあって独特な魅力はあったかなと思いました。

幼さの残る、

大学生同士の甘酸っぱくて可愛らしい恋のお話…かと思いきや。
前に進んでいくことへの迷いやそれぞれの葛藤以外のところにもハラハラする種があって、
メリハリのあるストーリーとなっていました。

"人違い"をキッカケに始まった新たな友情は大学生活を鮮やかに彩るモノになって、
タイプは違うけれどその息の合った掛け合いを見ているだけで彼ら自身が日々を楽しんでいるのが伝わります。

でも『ヒカリ』のことをずっと気にしている塁は槙士との距離感を測れなくなっていき、いつしか空回りするように。
槙士のことを思って『ヒカリ』に再会させてあげたいという気持ちと、それとは別に自分の中に生まれた行き場のない感情の答えが欲しくて周りに探りを入れてしまう様子がとても独りよがりに映ってしまってモヤモヤ。
槙士への想いや塁自身の迷いが表れていた結果なのはわかるけれど、本人にぶつかる前に母親に聞くのは絶対違うよなぁと思ってしまった。

ただ。そういう未熟さも含めて成り立つストーリーだったようにも思います。
幼さの抜けきらないふたりが、お互いの存在によって少しずつ成長していくこと。
その部分を見守れてとても嬉しかったなと思いました。

穏やかで優しい

山神様と人間のお話。
なので、ファンタジー色強めではあるんですが
不思議な出来事で埋め尽くされたストーリーではなく、人間と妖とがうまく共存している世界なのが伝わる温かさがあってすごくほっこりしました。

山で迷っていた宗一郎の前に突然現れた紫苑は最初こそ謎な存在だったけれど
彼がいつでも優しく穏やかだったので宗一郎も抵抗なく受け入れられたのかな、と。
ただ宗一郎も相当肝が据わっている人だと思うので、その辺が上手く噛み合う相性の良さがあったのだろうなと感じました。

紫苑の記憶が飛んでしまうところはちょっぴりハラハラしたけれど、そこから大きく拗れていくことはないし原因もきちんとわかって安心できます。
自然界のゆったり流れる時間と、それ故の厳しさにも触れることができて良かったです。

それほど大きな波はなく終始穏やかに進んでいくストーリーですが、その中で生まれる恋がすごく美しくて素敵でした。

"普通"ではなくても。

Domだけどネコ。という一般的なカタチではない部分があるせいで恋人と長続きしない大智。
何があっても絶対に自分を曲げないところも原因だった気もするけれど
そういうところも遥は無条件で受け入れてくれて
むしろ否定したり抗ったりするという選択肢がはじめから無いので
ぴったりなパートナーに巡り会えて良かったなー
と思っていたのですが。

プレイの後あんなにツヤツヤしているにもかかわらず、なぜか大智側が遥を受け入れないという展開にちょっぴりモヤっとしました。
Subである父親のことが引っかかっているにしても
それならSubと付き合ってきた過去はどうなる?みたいな…。
元カレによる嫌がらせのシーンもありますが
大智のことが本当に好きだったからふたりの邪魔をしているというより、大智の不幸を願って遥を傷つけている感じにゾッとして
こんな行動を起こさせるくらいには適当に扱ってきたんだな…と残念な気持ちに。

ふたりの関係は良いところに着地したけれど、
元カレ問題はあれで解決したのか疑問だったし
大智はこれから親とどう向き合っていくのかわからないままだったので
細かな部分の終わりをもう少ししっかり見せてほしかったなと思いました。

奈落の底は春 コミック

浮島縫 

視点を変えれば微笑ましい

因習村というとホラー要素があったりゾクゾクする展開になったり…というイメージでしたが、そういうシーンはほぼなかったなーという印象です。

因習村とか生贄というところよりも、志田と若葉の再会のほうがメインなのでしょうね。
大きく書かれた『因習村×BL』という帯に惹かれ期待して読んだので、ちょっぴり肩透かし気味ではありましたが…
村の謎を探りながら過去と現在の気持ちが繋がっていく様子にはしっかりと見どころがあり、練られたストーリーなのが伝わってきて良かったです。

ただ、つっこみたくなるところも多々あって。
村の祟りの言い伝えがわりと雑で村ぐるみを騙せるようなものではなかったり、若葉以外に生贄となったのがひとりしかいなかったり。
舞台がものすごく昔だとか公共交通機関もないくらいに閉鎖的な村ならそれでもアリだったかもしれませんが、簡単に外部から人が入ってしまえて、さらには逃げ出すことができるくらいセキュリティが甘いのは違和感でしかなかったです。

ふたりの恋だけ見れば微笑ましさはあったけれど、村のこととのバランス?がチグハグだったかなと思いました。

穏やかな恋を編む

地方都市にあるご近所町工場の息子同士のお話。
…という文字面だけ見ると、主人公たちは幼馴染とか腐れ縁とかとりあえずは面識はあるのだろうなという気がしてしまうけれど。
理一と真尋はこれまで関わったことがなくて
まるでゼロのところから何もかも始まっていくのが面白かったです。

特に理一の心境の変化はとても大きくて、真尋との出会いが彼の人生をどれほど変えたのかが伝わります。
東京でのゴタゴタからしばしの逃避行のつもりでやってきたのに、ひとつ季節が過ぎたら父の工場を継ごうと決意しているなんて。
こんな分岐点があるとは思っていなかったでしょうが、彼にとってはこれ以上無いくらいの良い道が拓けたのではないかなと感じました。

色んなことがテンポ良く進んでいき、恋の始まりもやや唐突かな?という感じではありますが。
工場の経営も含め常に時間に追われているようなところがあったので、いろんなことをサクサク選択していくのも納得できました。

とても明るいわけでもシリアスなわけでもないお話ですが、穏やかさの中にもしっかりドラマがある展開に引き込まれせてくれた作品でした。

完璧だけど…

タイトル通り「アレ」ができない若社長・礼智と
彼の使用人である島崎とのお話。

礼智の完璧主義な姿勢は冒頭からアクセル全開、
2度目のミスをした社員を迷わずクビにする冷徹っぷりに何とも言えない気持ちになり
ちょっぴり苦手かも…と思ってしまいましたが。
その後島崎に色々と振り回される日々の中で彼自身の葛藤が見えてくると、少しずつ印象は変わって苦手意識も段々薄れていってくれました。

「アレ」=セックスで、心因性のEDのためいつも失敗してしまう礼智。
誰にも秘密にしていたのにひょんなことから島崎に知られてしまい、そこから不能克服のため島崎によるレッスンが始まっていくわけです。
散々悪態をつく礼智ですが、島崎に身も心も絆されていく様子はなんだか可愛くもあり。
張り詰め続けてきた心の糸を緩めて、寄りかかる相手がいる幸せを感じることができてよかったなと思いました。

ただ島崎のクズさもなかなかインパクトはありましたが、礼智がEDになった原因ツラすぎて…。
そこまでして父親にしがみつく必要あったのか疑問に思うくらい、愛が無さすぎて本当に不憫でした。
EDは治ったけれど、この先どう父親に説明するのでしょうね…
まだ困難は待っていそうで、スッキリできる着地点とは言えなかったかなと思いました。

運命に左右されない恋

『ケーキバース』にぴったりマッチした、甘い香りが漂ってきそうな表紙がとっても可愛らしい…!
彼の横にある左手から、きっと圭人目線で日向を見ているからこんなにキラキラしているんだろうなーと推測できる小技も素敵でした。

スタジオで偶然出会った圭人と日向ですが、
その後は「偶然ではなく運命だったんだな」と思えるような展開となっていて。
圭人からの好意に触れるうち、絆されたわけではなく惹かれていく日向の想いにキュンとしました。

当て馬が登場して、ふたりが運命の相手ではなかったと判明したときはちょっぴり戸惑いましたが。
逆に運命に左右されることなく一緒に居たいという彼らの気持ちがしっかりと伝わってきて、
幸せ度が増した結末になっていたのが良かったです。

独特な表現

抽象的だけどもすごくインパクトのあるタイトルに惹かれて購入。
『心臓に染まる』ってどういうことなのか…
知るのを楽しみに読み進めました。

理由があってピアノを辞めてしまった珀ですが、
弾くのが嫌いになったわけではなくて。
誰もいない視聴覚室で少し触るだけ…と思って弾いたのを色が聴いていて、それをキッカケにふたりは知り合うことに。

色は登場シーンも変わっている人なのが伝わる感じで、発言も表現も独創的。
でも彼の言葉は嘘がなく、真っ直ぐに狛に届いたのが伝わるんですよね。
その最初のターンで珀は色にだいぶ救われているので、その後少しずつ気持ちが動いていくのも納得の出会いだったなと感じました。

でもそこから仲良くなって恋愛へ発展…とはいかず、珀の兄・列の登場辺りからハラハラなシーンが続きます。
自分自身の体質(というか能力のようなモノ?)に苦しめられ、彼以外にはわかりようも無いくらいの生きづらさを抱えている色と、そこに関わりだした珀。そしてその間に列が入り込んでくると完全に拗れてしまうのがツラかったです。

更に彼らの難解な思考と独特な言い回しがそれをもっと複雑にさせていて、
色も珀も列もそれぞれにしっかり考えがあるのは伝わるけれど、読み解くのがすごく大変で頭が何度も絡まりました。

シンプルに進んでいかないことこそがストーリーを深くしているのだと思いますが、
噛み砕けない部分が多いと良さもなかなか伝わってこなくてもどかしい、みたいな…。
ふたりが無事両想いになって良かったし、綺麗にまとまっているとは思うけれど。
そこに至るまでの彼らの気持ちを正しく理解できたのかわからず、なんとなくスッキリできないまま読み終えてしまったかなと感じました。