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ラブラブな日常

数ページのごく短い短編が三本載っていますが、どれも二人の日常のちょっとしたひとコマが描かれています。時間的には一巻と二巻の間あたり。
この後、椎葉は永倉の事件を通して、宗近との関係の是非、エスを持つことの覚悟を問われ、悩んでいくのですが、本書ではまだ椎葉の気持ちもそれほど切迫したものではありません。普通の付き合い始めのカップルの痴話喧嘩、みたいな明るいノリ。英田さんはシリアスな中にこういうコミカルなネタを盛り込むのが上手いなーといつも思います。
エスファンの方にはオススメ。
巻末に「警察官・椎葉昌紀」のプロフィールが載っています。

表紙にご注目

内容についてはさておいて。
表紙は新しく描き下ろされ、「俎上の~」と対になっています。
恭一と今ヶ瀬の背景にはそれぞれの章タイトルをモチーフにした絵が飾られています。
第一章のタイトルは「キッシング・グーラミー」。キッシング・グーラミーとは熱帯魚の一種で、オス同士でキスする性質がある魚らしいです(実際は威嚇行動のようですが)。なので向かい合う二匹の魚の絵なんですね。
そんなタイトルで始まったこのお話を、最終章も同じ魚つながりの「鯉」で締めてるあたり、小技が効いてて上手いなーと思ってしまいました。

ネト、いい男だ(笑)

主役は「DEAD LOCK」シリーズでかなり素敵な当て馬だったロブ。彼にはその後、「SIMPLEX」で可愛い恋人ができるのですが、これは時間的にはそれ以前、ユウトへの恋に破れ、傷心を抱えてフラフラしてた頃のロブのお話です。
根っからのゲイであるロブの、ビッチな誘い受っぷりがたまりません!ベッドの中での、いかにも翻訳小説風なコミカルなやりとりにも笑えました。
それにしてもネトは懐の広い、いい男です。

「DANCE WITH A DOG」は「DEAD SHOT」直後のディック×ユウトのお話。
ビーチハウスでディックに再会したユウトが、LAに戻らなければならない日の朝の一コマです。

社内恋愛 同人 小説

英田サキ 

普通のリーマン。

同じ課の高城は仕事もできて男前、真面目で誠実な、頼りになる部下だ。
そんな高城と相部屋になった社員旅行の夜、一緒にAVを見てた俺たちは、成り行きで「抜きっこ」するハメになってしまった!
どうやら高城はゲイで、しかも俺のことが好きらしい!
俺はノンケで、男を好きになったことなんかない。だけどアイツとのキスは心地よくて、アイツの辛そうな顔を見てると、俺まで胸が痛くなって……
一体俺はアイツのことをどう思ってるんだろう――?

以上、あらすじです。
ちなみに本文も佐武の一人称で、テンションもこんな感じ。なので以降の商業誌、特に「エス」「DEAD LOCK」シリーズと比べると違和感があるかもしれません。そのくらい作風が違います。
高城はお行儀のいいわんこ攻ですが、続編では年下らしく嫉妬したり焦ったりもしています。それをフォローするのが、意外な包容力を見せる佐武。最初はオロオロしていた割に、腹を括った佐武は懐の広いイイ男でした。
リーマンものが好きな人にはオススメです。