消えてしまった三輪の行方を追う3人の前に、明らかになっていく尼爾村の隠されていた秘密⋯。
昔から人身御供の話ってあるけれど実際に犠牲になってきた人たちがいて、現代でも密かに行われているところがあるのではないかと戦慄しながら思ってしまう。
昔はすがるものがそれしか無かったのだろうけど、そこにあるのは人の業の深さだ。
三輪は慶臣に対して自責の念を持ち続けていて自分の存在を否定しようとするけれど、慶臣もまた己より三輪を重んじようとする気持ちがある。2人はこれからも過去の重荷を背負っていくのだろうけど、きっと紀人と慎仁が守り支えていってくれると思う。4人共に幸せに過ごして欲しい。
ミステリー映画(金田一シリーズ!)を1本観たような読後感。描き下ろしの実家訪問のお話にはほっこりした〜。
サワガニのチャロは人間に憧れアオカン観察を続け、言葉も少しわかるようになった。
ある日精液を摂取したら人間の姿に変身したチャロは、故郷を離れ都会へ旅立つ。そこでゴミと一緒に捨てられていたところを風俗店の店長龍治に拾われ、面倒をみて貰う事に。
精液を定期的に摂取しないとすぐ蟹の姿に戻ってしまうチャロを、戸惑いながらも受け入れてくれた龍治。龍治は過去のトラウマから心を閉ざしていてチャロとのセックスはあくまでも食事としての行為だったのだけど、チャロの天真爛漫さと健気さにいつしか2人の気持ちが溶け合っていくのがたまらない。
愛を得られず拒絶した龍治と、愛が何だかわからぬまま求め続けたチャロ。
やっと想いが1つになったのに、サワガニのチャロの寿命は短くてやがて悲劇が⋯。もう切なすぎて大号泣した。そしてまさかの20年後の奇跡!最高だ!!
蟹と人間の恋ってどうなるのかと思ったけど、めちゃめちゃ良いお話だった。人間の姿になっても爪のハサミはそのままなチャロは、正にサワガニ版シザーハンズ。好きな人に触れられない切なさよ。
友人にオススメされて、蟹と人間?小説?と少し心配しながら読んだのだけどもう素晴らしかったので、ぜひ皆さま怯まずに読んでみて欲しい。私はこちら大好きです!!
笠井あゆみ先生の挿絵も美しくて素敵です〜。
一命をとりとめたけれどすっかり赤ちゃん返りしている誠を、献身的に支える相。
手打ちした組の一人息子宝の教育係を任されるも、宝は誠に心酔し兄弟の契りを交わしたいと言ってきて。2人の間に割り込む存在の出現で変化していく空気⋯。
赤ちゃんなはずの誠が時折見せる凶暴な破天荒さは元に戻ったようで、2人にしかわからない熱情がたまらない。
兄弟、家族、恋人、そのどれでも無く全てでもある。規格外すぎる誠を受け止められるのは相だけで、もう一生孕んでて欲しい!
暴君誠の可愛らしさは憎めないし、相がいじらしくて泣けてくる。
この兄弟、本当に愛おしすぎるのですが!!
そして今回も2人の見事な刺青も堪能できて、眼福なのだった。
女の子を連れ込んではヤリまくりだった海斗は、声がうるさいと壁を叩かれ隣人の麻見とは犬猿の仲。
でもある日ベランダで聞いてしまった、テレセクする麻見の声がすごく引っかかって忘れられず。
その後まさかのレイプまがいの始まりになるのだけど、最低男だと思う麻見に新しい扉を開かれてしまう海斗。
実は過去に「声」で繋がっていた運命の2人。先に海斗がそれに気づいて、止まっていた時間の歯車が動き出す⋯。
私自身が声フェチで喋る仕事もしているせいか、その声に恋していた海斗の気持ちや自分に特別に響く声というものに親近感を持って読んだ。
麻見にとっても海斗は忘れられない存在だったんだよね。離れていた間の距離が一気に縮まっていく、恋する加速感がたまらなかった。
レイニ先生で初めて読んだ作品で大好き♡
プレイ相手として関係の深まっていく朝三と六郷。お互いにそれ以上の気持ちがあるのを感じつつ、慎重に進みながらも抑えきれない相手への衝動がたまらない〜。
サミさんのスイッチ入った時の切替がほんとゾクゾクして(鼻血〜!リボン〜!)六くんのいじめたくなる表情は最高にそそられる。
シェアハウスの同居人たちも自分自身としっかり向き合っていて、その上で他人との距離感もきちんと図ってお付き合いできるのも素敵だ。
人の数だけ性癖はあって中身は様々だけど、自分とピッタリ合うパートナーと出会えるのはなかなかない。サミさんと六くんは全部を曝け出して満たし合えるベストパートナー。
何気ない時間も甘いデートも濃密なプレイも、全て2人だからこそ楽しめる。フェチ万歳!!
ヤクザの水島は子供の頃に弥勒菩薩で精通してから、人あらざるものにしか欲情できなくなっていた。
ある晩港で出会った人魚は、水島の隙間と渇きを癒やしてくれる完璧な存在で。
ミロクと名付けた人魚と同居を始め、どんどん魅入られていく水島。ミロクは無邪気で残酷で美しく、水島は一緒にいるために全てを投げ売って狂っていくのだけど、これがもう哀れでたまらなく愛おしい。でもずっと献身的に尽くしてくれた佐々木まで裏切ってしまうのは、業が深すぎて泣けた⋯。
邪悪な塊のミロクは己の欲望にだけ忠実で、底知れぬ恐怖と破滅の存在。何もかも無くしてもミロクと永遠に生きる事を選んだ水島は、果てなく続く苦しみの中にいるようでそれが至福。ここまで全てを捧げて愛せる存在に出会えたなら、これはもう運命なのだろう。海の上でいつまでも共に過ごして欲しい。
一部グロテスクな描写もあるけれど、とにかくこたる先生の圧倒的な画力の美が凄まじい!ぜひ紙でカラーの美しさも味わって欲しい。描き下ろしとリーフレットのコミカルな可愛さにはほっこり。
単話で読んでた時からずっと大好きで単行本化されるのを待ち侘びていたので、とっても嬉しい!
ゾッとするほど残酷な美しさがたまらない〜。私の年間ベスト入り確定です!!
子供の頃から怪異が見える結真は、離れていた故郷に戻る事に。そこで出会った同級生叶糸は「俺が絶対守るから。」と追いかけてきて⋯。
結真の失われた記憶、叶糸との過去と繋がり。前世からの長きに渡る因縁に振り回されそうになるけど、今の2人の想いの方が強かった。
すれ違ったままだった前世の隼人と透真もまた切なくて、やっと本当の気持ちが伝わり昇華されて良かった。
丁寧な心理描写と何より圧倒的な画力で、怖い程に綺麗でゾクゾクした!青春ホラーBLはとにかく人物も背景も美しすぎて、結界に迷い込んでしまい自分もその世界にいる気分になった。
成仏したくて付き纏う幽霊たちはグロテスクなのに、少しユーモラスで可愛い。
たこまっちょ先生のデビュー作との事で、またすごい先生が現れたものだ!!