おラウさんのマイページ

神作品

女性おラウさん

レビュー数0

ポイント数2

今年度496位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

小中大豆先生ってやっぱりエンタメBL小説書くの上手すぎない?って思わずレビューしたくなる作品

異世界転生モノ、苦手で避けてたんです。
過去何回か痛い目に会っておりまして。
でも実力派の小中先生だし、執事モノ読みたいし、表紙イラスト可愛いし
と思って衝動買いした結果……めちゃめちゃ良かった!
えっ、異世界転生モノでこんなに読みやすく、面白くなるんだ!と感動するレベル。
ほんっと久々にレビューを書きたい衝動に襲われました。

正直メインストーリーは転生モノのワンパターン。
前世(現代人)の頃の自己紹介→転生世界の今後のストーリー説明→死亡フラグ回避に向けたアクションと、それによって捻じれていく運命……という既視感ありありのやつ(かつ、タイトルだけで結末わかっちゃうやつ)。
なので、あらすじだけで言うと他作品と横並びです。

なのに、読んでみると面白さが全然違う!
同じストーリーなのに、なんでこんなに引き込まれちゃうんだろう?!
しかも読んでいて全然疲れない!。
という、マジックにかけられたかのような衝撃。

思うに、めちゃめちゃメリハリ上手なんですよ。
基本は、前世腐男子であるフィンの語りで進行するので、現代の私たち側の視点に寄り添うようなコミカルでポップな雰囲気。見た目は子ども、頭脳は大人~みたいなあの感じもまといつつ。
そこに小中先生らしい説得力あるバックボーンが良い塩梅で組み込まれています。
各人の生立ちから飢饉や穀物備蓄の話、違法歓楽地の話、領主と国都との関係性、成人パーティーの政治的な意味などなど。
このあたりの書き込みや説明って、緻密すぎても重くて疲れちゃうし、かといって雑にしすぎると作品自体ぺらっぺらになってつまんないし。
っていうところで丁度良く、本当にボーイズラブに焦点を当てるのに丁度良すぎるエンタメ温度感で書き込んでくれてるんですよ。いや、これが本当BL小説ファンとして嬉しくて嬉しくて。

説得力ある世界観の作品って一般文芸だと普通に出会えるんですけど、BL畑で特に新作となるとかなり希少で。このあたりめちゃめちゃ上手いBL作家さんたちって最近は一般文芸主軸になられていたりするから……で、その作家さんが書く一般文芸ってもちろん素晴らしいけど、結局テーマはBLじゃないんです。それが何か物足りなくて。

それが今作は、登場人物が取る行動の一つ一つに、「はあ、なるほど」と読者が納得して読み進められ、かつ疲れさせず、メインのラブに視点を集中させてくれる絶妙な文字運び。
ちょっと無理やりギャグやファンタジー、ご都合設定で流す感じもあるにはありますが、全体的なコミカルな雰囲気とちゃんとマッチしていて、決して浮いてはいません。

肝心のラブについても個人的にはかなり好み。
肉体よりも精神性の高いイチャつきぶりでした。
一見、ラブシーンは最後だけのように見えますが、読感としては全然違いましたね。
中盤、フィンとユエンが酒を酌み交わしたり、出自について真剣に話し合う姿がですね、心の距離感ゼロなんですよ。
「好きだ」とか「愛してる」という言葉こそ出てきませんが、腹を割り、心を裸にしないと決して生まれないであろう対話の数々にグッときました。
恋愛としての表現をしていないので、その時点ではブロマンス萌えなのかもしれませんが。
愛や独占欲を薄っぺらく吠えるより、ガツンと濃密で良いシーンです。

ユエンへの転生のネタばらしも最後の最後ではなく、中盤にしてしまいどうなることかと思ったら、さらにそこからもうひと展開。楽しませてもらいました。

先を予知できるチートが使えて、世界観も作りこまれていて、っていう意味だと、同じく小中先生の『気難しい王子に捧げる寓話』と若干被るんですけど(これもめちゃ面白くておすすめ)、あちらよりもコミカルでポップで、相手役の側近も素直な感じでしたね。ルチル×カワイチハル先生のイメージピッタリでした。

ただ、これだけ満足度高かっただけに、たったひとつだけ、気になったところが……。
転生世界のBL小説のタイトルが『地平線まで』。
最初から最後まで通して、この言葉に全然ピンと来ず。
うーん、これだけは「なるほど」ってならなかったかも~。