■NightS／ヨネダコウ／BBC DX

もうここで紹介するまでもなく大人気作品だと思いますが、大好きなので改めて！

『NightS』『NightS one month after』
　運び屋の唐島真人の元に、ある日暴力団の若頭補佐の穂積マサキという男が訪れた。危ない橋を渡る事になる仕事だが、マサキに興味を持った唐島は引き受ける事に。交流関係を探ってくるマサキをかわしながらも、いつしかマサキに惹かれていく唐島だったが…。

　飄々としたマサキと、そんなマサキに惚れてしまった唐島、どちらも魅力的なキャラです。唐島はマサキの手のひらで踊らされているのですが、マサキも何だかんだ言いつつ唐島の事をかわいく思っている事が伝わってきます。そうじゃなかったら、こんなに自分に踏み込ませないですよね。きっと唐島のことかわいい奴だと思っている。そうに違いない！　そんなマサキさんこそかわいいです！

『感情スペクトル』
　友人の仲屋に視線を送っている同級生に気付いた久郷。その男・笛吹に協力してやろうかと声をかけた久郷だったが、次第に仲屋の事を話す笛吹に苛立ちを覚えるようになり…。

　高校生同士の話。応援するつもりが、いつの間にか自分が笛吹に惚れてしまった久郷。最初は興味半分で笛吹に声をかけた久郷ですが、笛吹の純粋な気持ちに心を動かされていく。そんな気持ちの変化が表情などからすごく伝わってきます。本人も気付かない間にどんどん嵌まっていって、その気持ちに気付いた途端自分を止められなくなっている久郷がかわいい。そして、仲屋と親しくなればなるほど切ない顔になっていく笛吹にも惹きつけられました。

『リプライ』『リプライのリプライ』『三ヶ月後のリプライ』
　自動車販売店で整備士をしている関は、自分勝手な営業たちに不満を持っていた。そんな中、社内でトップを争う成績を出している営業・高見とふとしたきっかけで親しくなり、高見の仕事に対する真摯な態度を知る。高見の内面を知った関は、いつしか自分が恋愛感情を持っている事に気付くが…。

　普段滅多に笑わない高見の中身は実は感情豊かで、それを知っているのが自分だけ。そんな特別感が心地よいのは同性同士でもありますよね。でも、それが恋愛感情に繋がるかどうかは、また別の話。
「同性を好きになって どうしてそれが恋愛になる」
という高見のモノローグが印象的でした。関も高見も、自分の中にある相手への特別な気持ちが恋愛なのだと気付く（判断する）瞬間があり、それがこちらにも伝わってくるので説得力がありました。
　友情と恋愛の間で悩んだり、男相手にどう肉体関係を進展させたらいいか分からず戸惑ったり。元々ゲイじゃない男同士がお互いに余裕ないところを見せながら関係を深めていく、そんな男同士だからこその展開が面白い。

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　裏社会の話、高校生同士の話、社会人同士の話、それぞれ違う世界観でキャラの雰囲気も違いますが、どれもしっかり心を掴まれるポイントがあり、読み応えのある1冊です。シリアスな中にもコミカルな会話があったり、ヨネダ先生の漫画は心地よいリズムがあり、いつの間にか話に引き込まれてしまう。次の単行本、楽しみに待っています！

■10DANCE (1)／井上佐藤／バンブーコミックス

　ソシアルダンスのスタンダード部門の全日本チャンピオン・杉木信也と、ラテンダンス部門の全日本チャンピオン・鈴木信也。同じチャンピオンでも、杉木は世界でも活躍し、権威ある大会でも優勝しているのに対して、鈴木は国内チャンピオン止まり。そんな別格の存在である杉木に、鈴木は「10ダンス」への出場を誘われた。スタンダードとラテンを合わせた10種類のダンスで競われる10ダンスに出るには、専門外のダンスを習得しなければならない。杉木に煽られ、対抗意識を燃やした鈴木はその誘いを受け入れ、互いに専門のダンスを教え合うことになったのだが…。

　という、社交ダンスの話です。鈴木と杉木、ダンスも正反対ですが、性格も正反対。でもダンスに対する情熱は同じなので、喧嘩してぶつかり合いながらも目的のために一緒に練習を始めます。そんな中で、今まで知らなかった一面を知り、反発しあっていたふたりの距離が近づいていくという展開。
　恋愛に関してはふたりとも割り切っていて、付き合っている相手はいません。話の中でも触れていますが、異性とペアを組んで、しかも疑似とはいえ男女の間で交わされる感情を情熱的に表現するダンスを仕事にしていたら、ペアの相手以外と付き合うのは難しそうですよね。よっぽど相手に理解がないと…。1巻ではふたりとも相手に執着し始めているところで、まだ恋愛感情には至っていないし、肉体関係もありません。でも練習では互いに女性パートをやって男同士で踊っていて、スキンシップはこれでもかってくらいあるし、それによってお互いに考えている事を感じたりしている。反発し合っているけど元々相手の才能は認めているので、信頼関係という点では十分です。終盤、鈴木が壁にぶつかって悩みはじめていて、恋愛に発展する下地はバッチリ！　ライバル関係が向かう先はBLでは恋愛、そして肉体関係。いや、BLじゃなかったら発展する先は恋愛じゃなく友情ですが（笑）BLとしてだけでなく、普通にスポーツ漫画としても十分楽しめる作品です。

　ダンスでBL！　新鮮でした。社交ダンスは全然知りませんでしたが、知らないからこそ先入観なく楽しめました。そして、腐的視点で見るとそんな美味しいところが！という発見もあって興味津々。ワクワクしながら一気に読めます。この先、どんな展開をするのか楽しみです！