私のBL論!


男からの素朴な疑問「BLってポルノグラフティなの?」
評者:*23HP*Pさん
爆発的に広がるBLネットワーク、GET WILD AND TOUGH AND LOVE♪ 女子だけでなく、男子にもBLのビッグウェーブはザッバーンと飲み込んで来年は社会現象になる?のではないかという勢いです。
今回は、新たに男子コラムニストを迎え、BLの真理を追求してまいりたいと思います。

BLというものがよく分からない。いや、モノとしては男と男のあんな事やこんな事がなされている漫画や小説、というのは知っている。

あの、よく櫻井さんや緑川さんが頑張っているらしい、あれ。眼鏡が鬼畜だったり、純情がロマンチカだという程度には知っている。A×Bという方程式も、絶望先生の藤吉さんの台詞をきっかけにして知っている、という一般(?)男性程度の知識はある。

もしかしたら堅気にしては結構知っている方かもしれない。それでも、自分から見て、腐女子には不思議な点が多いのである。

例えば、BLはポルノグラフィティなのだろうか? という疑問が常々あった。男性でいえばアダルトビデオと同じ文脈なのか? 男×男のものにしても、ゲイが薔薇族や田亀源五郎を楽しむのと同じベクトルで腐女子はBLを読んでいるのか、はたまた全くの別物なのか?

まぁこれについては、重なる部分はあってもイコールではない気が薄々しているけれど……。ゲイがゲイものを見るのは分る。でも腐女子は女性で、しかもその多くは異性愛者、もしエロ目的だけなら、男女の性行為が描かれたレディコミなどのほうがより感情移入というか擬似体験しやすいはずじゃないだろうか。それなのに、あえてBLを選ぶというのには、エロだけじゃないまた違った魅力があるんだろうなとは思う。

では、実際はどうなのか? ということで、BLが好きな何人かの女の子に、直接「BLってポルノグラフティなの?」って聞いてみた事もある。けれど、曰く、「なんかこういうキャラやこういうキャラがこうなっているのが……なんかね、キュンキュンするんですよ」と、返ってくる言葉は決まっていた。「そうです。ポルノグラフィティなんです」と言う女の子もいないけれど、「BLはポルノグラフィティなんかじゃない!」とはっきり否定するわけでもない……。

"キュンキュン"。このフレーズが男性にとってはブラックボックスで、厄介なもんである。特別腐女子っていうだけで毛嫌いしている人も余程の馬鹿ヤンキーじゃない限り見たことがないけれども、完全に(男から見て)向こう側を知り尽くした男も見たことがない。共感したり、自分の言葉に置き換える事が難しい。

もしかすると、"キュンキュン"できるのであればエロはあってもなくてもOKで、エロはそんなに重要じゃないのだろうか? とにかく、"キュンキュン"できるかどうかが一番重要なのかな? と、なんとなく僕なりには考えている。
ただ、感覚そのものが分るわけではないから「なんか、その件に関しては……」と少し距離を置いている。ブラックボックスはブラックボックスのままだ。

そんなこんなで、だったらなぜお前はここにいるんだ、という声が聞こえてきそうだけど、一般男性の目から何か語れる事もあるかもしれない。感覚としては、分からなくてもだからこそ現象としてのBLを語れるかもしれない、ということで、この場所を間借りすることを許されました。よろしくおねがいします。

紹介者プロフィール
*23HP*P
郊外の、さらに山の上にある辺境の芸術系大学でいろいろ学んでいる大学生。純文学とインターネットラジオを生活の糧とし、某純文学系ミニコミ紙に寄稿していたりする。最近は古川日出男、町田康の本ばっかり読んでいるがBLに関しては門外漢(すいません)。二次元には萌えないけど、声オタで、最近のマイブームは後藤紗緒里だったりする。ほんとうにすいません。
このコラムに寄せられた感想
2009年08月16日 meg
ええ~!!そうなの?
*23HP*Pさんこんにちは!

→男はキュンとすることもありますが、なかなかそれを期待して漫画なり小説を買うことはそんなに多くない気がします。

そうなの~??
んん、でも確かにそうかも?
男性向け漫画ってキュンがあまりない。
男はキュンはそんなにいらんのか?
弟が一時はまってた、「BOYS BE...」って青年漫画。
アレって男性向けキュンなのかな?
私はそのキュンが少女漫画のそれとは違い、そのキュンすら即物的に感じられ、酷く嫌悪したのを覚えています。(この作品を好きな方ごめんなさい。あくまで私の主観です)
キュンの種類が違うのかな?
わからないわ。
私はエロでもなんでもBLはキュンがないとダメです。
というかキュンさせられれば、何処までも間口が広がりそう。

そして、女性は自信の性について嫌悪というか戸惑いというか少なからず認められないところがあると思います。
自分の性が介在しない男×男のBL世界は心おきなく物語りに入り込めるのではないのかなあ、、と。
あくまでも、要因の一つですが。


2009年08月11日 へい
私が思うに
なぜ男同士なのか・・・ 女性は、ロミジュリ、ベルバラといった昔からの王道設定である「結ばれるには困難がある間柄」というのが好きなのだと思います。不倫意外で、本人にはどうしようもない間柄って言うんでしょうかね。昔と違って今は男女間でも障害が無く簡単にSEXできてしまいますから、つまらないのです。主婦が一昔前の時代設定の昼ドラにはまるのと同じです。(かけおちだの身分だの、今じゃ体験できませんからね)周囲が認めてくれない程、"抑えられない想い"に陶酔してしまうのです。レイプシーンでさえ、相手の感情を思うと「そんなに好きなのか」とすてきに思えてしまうのです(もちろん相手はイイ男限定で!)

私にとってはやはりキュンキュンを求めて読むことが多いですね。もちろん、少しはポルノグラフティ要素があった方が楽しいのは事実ですが、男性と違って性行為を表現したものよりも、そこに行き着くまでの過程にどれだけ困難があったか、こそ重要です。女性の性感帯は脳にあると思います。


2008年11月22日 *23HP*P
*23HP*Pです。
>久江羽さん

ありがとうございます。
やはりそこいら辺の分類というか、住み分けが読者個人個人の裁量でなされているのかな?とは思っていました。
俺の感覚かもしれませんが、男はキュンとすることもありますが、なかなかそれを期待して漫画なり小説を買うことはそんなに多くない気がします。特にポルノとしても解釈できるものならなおさらに。

>葡萄瓜さん

ありがとうございます。
なるほど、作家さんでも変わってくるんでしょうが、心理表現が性描写としてアウトプットされていると思えばちょっと分かるような気がしました。


2008年11月12日 葡萄瓜
まだまだ考え中
ようこそお越しを。

愚考しますにBLの場合、性行為描写と言うのは
会話の変形と考えて読むのが妥当ではないか、と。
もっともこれは当方が経年観察の上で得た考えで
あり全てが無条件に適用される訳ではないでしょう。
例えばBL以前の耽美であれば性行為が隷属の
手続きとして描かれる場合もありますし。

キュンキュン≒心理要素、と考えて戴けると
かなり近いものがあるのでは、と愚考します。


2008年11月11日 久江羽
私的お答え
*23HP*Pさん、こんにちは。門外漢とおっしゃる割には、結構的を射ていらっしゃるんじゃないかと思います。拍手。
私の場合、ポルノグラフィティを期待して読むときと、文学として読むときとあります。
多くの場合、こちらの作家さんはポルノ寄り、あちらの作家さんは文学寄りと自己判断して購入するわけです。この分類に関しては、多分に独りよがりな部分が入ってきますので、あくまで自分にしか役立ちませんが。
しかし、分類して(先入観で)購入し、ポルノのつもりで読んでみたら、文学大作だったりする拾い物もあるので、侮れません。
もちろんそこに「キュン」があれば申し分ありません。
私のレビューをいくつか見てもらえばわかると思いますが、エロが無くてもストーリーが納得できるものは、良作だと思います。(エロを入れたばっかりに質を下げてしまっている作品もあるのでは?)

ところで、男性が異性ものにせよ同性ものにせよ、恋愛がらみの小説・漫画を読むときは「キュン」ってしないのですか?
男性がときめく時は、どこがときめくのですか?私はそっちが知りたいな。



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