鯛野ニッケ先生インタビュー

卑屈で自信がなく臆病な大人が、高校生から向けられる気持ちに…
小説家の糺(ただす)は、周囲となじめず引きこもりがち。唯一の理解者である10歳年下の高校生、康介ともギクシャクし始めます。というのは、家庭教師として康介の勉強を見ているうちに、彼から強い想いを向けられるようになったためで……。6月12日発売、鯛野ニッケ先生の新刊コミックス『ばけねこ荘の午前二時』。康介から逃げるように引っ越しした糺は、不思議なアパートで新生活をスタートさせます。数多くの問題を抱える彼は、しっかり恋できるのでしょうか!? それでは「801 AUTHORS 108」第640回、鯛野ニッケ先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
表題作『ばけねこ荘の午前二時』は、小説家と、彼のことを好きなご近所の高校生のお話です。
と書くと聞こえはいいんですが、実際は小説家といってもちょっとしたお仕事がちょっとだけある程度のもので、卑屈で自信がなく臆病な彼が、家庭教師として勉強を教えていた高校生から向けられる気持ちと、どう向き合うか、というお話です。
逃げるように引っ越した先のアパートは、少々いわくつきで…？ といった感じでタイトルにつながります。
動物の描き方の本の、猫のページが折り跡つきすぎて閉じにくいくらい大活躍しました。ﾆｬｰﾝ
同時収録の『うわさのコンキョ』は、地味目男子なのに「ヤリチン」なんていう噂があるクラスメイトの、噂の根拠に主人公くんが迫っていくお話です。
読み終わったあとに「ダジャレかよ…」って肩を落としていただければ本望です。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
あらすじからお借りすると、

「一途な高校生×臆病なひきこもり作家」

です。
うつくしいですね。
個人的には「視野が狭く客観的視点に欠ける子供×社会生活になじめず逃亡癖のある大人」という感じです。
これ読みたくならないですね。あらすじってちゃんと読みたくなるようにできてるんですね。勉強になりました。

Q. 当て馬や重要な脇役は？
ばけねこさんですかね…ばけねこさんがいないとはじまらないので…
ばけねこさんがばけねこさんとしてばけねこさんの務めを精一杯果たしてくれてこのお話ができました。
ただしばけねこさんが出張ってしまうとばけねこさんのお話になってしまうので、ばけねこは添えるだけ、ばけねこは添えるだけ、と唱えながらばけねこさんのシーンを描いていました。今10回ばけねこって言いました。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
試みとして、どこまでテキストを置かずに、ないしは直接的な言葉で表現せずに、登場人物の置かれている境遇やら心情やらを表現できるかな、というのはすごく考えたところでした。
絵の情報量を増やさないといけないのは本当に難しかったんですが、そういう見せ方を考える工程は漫画の醍醐味だなぁ実にたのしいなぁと思います。

Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
高校生くんは受験生で、それに付随してお母さんが出てくるんですが、進路とか同性愛とかと向き合うにあたり「お母さんを悪役にはしたくないなぁ」と思っていたので、そこのさじ加減にすごく悩みました。
読んだ人によって印象は変わるかもしれないので、悪役に見えてしまっているかもしれない…

楽しかったのは幼女を描くことです…普段男性ばかり描いているので！ でも幼女は添えるだけ、幼女は添えるだけ、あくまでBL、って唱えてました。
回想シーンのショタも大興奮で描いてました。ちっちゃいってのはいいことだ。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
キャラ表確認したら、小説家さんは「猫、子供、雷が苦手」と書いてありました。
雷だけ拾えませんでした…
あとはカバー下に本編に盛り込みようがなかった小ネタ描いておいたので、よかったらめくってやってください。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
前回コミックスでインタビューを受けた際、3回ウンコを踏んでいたことを申し上げましたが、本作執筆の間は一度もウンコを踏んでいません。残念です。下ばっか見て歩いてたんでしょうか。実に暗い。
本作はウンが味方していないということで。
Q. 今、何かハマっていることは？
残業もしてないくせに「残業めし」という本に載っているレシピで料理を作ることが多いです。
冗談抜きで10分でめしの支度が終わってすばらしい。(ただし限界まで手を抜いた味がする。割り切って食べる)
世間様のずぼら飯ブームがずっと続けばいいと思っています。

Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう？
ウンコ踏んでないので殊更不安です

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
初めて連載という形でお話を作らせていただきました。
慣れない難しいことの連続で頭を抱えてばかりでしたが、こうして形になって嬉しいです。
よろしければあなたのBLライフの隅っこに、添えてやってください。
編集部からのコメント
最近、年の差コミックスをよく目にしませんか？
鯛野先生待望のセカンドコミックスは、胸キュン度高めの、純粋・年の差ラブストーリーになっております！

主人公は、他人が苦手な引きこもり作家の糺(受)。そんな彼がある事情から「ばけねこ荘」に引っ越すのですが、待ち受けていたのは、もっとも会いたくなかった康介(攻)との再会で…。

糺と高校生の康介には、10歳の年の差があります。置かれる環境や考え方も違う。糺は大人ゆえのズルさや逃げ道を知っていて、康介は情熱のままに、まっすぐ想いを伝えてくる。そんな2人の葛藤やすれ違いが、瑞々しく繊細に描かれています。また、年の差という垣根を越えて、ひとりの人間として惹かれ合う2人にドキドキすること間違いなしです！
胸キュン必至な鯛野先生渾身のセカンドコミックス、ぜひご堪能ください♡

特典情報
とらのあな限定：描き下ろしペーパー
アニメイト限定：描き下ろしペーパー
詳しくは、アクア編集部Twitterにて

(c)鯛野ニッケ／オークラ出版