小説『生田さんちのこめ王子』（蒼竜社）5月24日発売
さとみちる先生の新刊は、本日5月24日に蒼竜社「Holly NOVELS」からリリースの『生田さんちのこめ王子』。お米とともに、愛も育まれる農村BLです！ はたして「こめ王子」とは……!? それでは「801 AUTHORS 108」111回目のゲスト、さとみちる先生どうぞ！

Q1. 新刊の紹介をお願いします！
就職活動をしまくった末に何とか就職できた会社が倒産したことがきっかけで、主人公の万里は、未知の世界に足を踏み入れることになりました。
「こめ王子」プロデュースでふるさと再生を目指す数多とともに、驚きに満ちた楽しい日々を過ごしはじめます。

ぬくぬくした土と太陽と水に育まれて、恋の種が小さく芽吹き、ゆっくり育ってゆくような、穏やかなBLになってくれたかなと思います。

Q2. 主要キャラは、どんな子たちですか？
龍川万里……社会人生活一ヶ月で無職になった哀れな22歳。喋り方と立ち振る舞いが子どもっぽい三枚目なので、見た目のよさを誰からも気づかれなかった子です。かつて知人に、某アイドルグループの某くんは、生で見ると手足がすごく長くて頭が小さくて一番アイドルっぽい、と言われたことがずっと頭に残っていたので、手足が長く頭が小さくなりました。

生田数多……頭にタオル、よれよれのつなぎ、足元は長靴、濃い目の顔に白い歯ピカリ、軽トラを軽快に乗り回す30歳。肉体派でありながらパソコンも得意な熱い人です。

カメ……数多の幼馴染み。イラスト担当の草間さかえさまに描いていただきたいと願いながら書きました。不純ですみません……。私がイラストを見たがっているということを勘づいてくださって、見事描いていただけたという思い出深い子です。

ビョー……カメと同様、草間さかえさまに描いていただきたい一心で生まれたキャラですが、私の想像を超える重要な役割を果たしてくれました。

Q3. 今作のこだわりポイントは？
出会いから恋までを、シンプルかつじっくり追いたいと思って書いていました。
登場人物と舞台がのっぺりダラダラしないように変化を持たせたつもりですが、どうでしょうか。
 
Q4. 近況、今作にまつわる先生の日常エピソードなど教えてください！
ちょうど一年前、引っ越しをして田舎に住みはじめました。
万里の見る景色に似ているので、しめたとばかりに日々観察していました。台風が来た日も、これは使えるぞと風や雨にじっと耳を澄ませました。
田んぼに囲まれた田舎の四季を身をもって体験できて、発見だらけの一年でした。話の中でちゃんと活かせられていたらいいなあと思います。
他には、知人の親がタイ移住したとたまたま知ったり、生田家の間取りのモデルにした家にたまたま行ったり、自然農をしている人たちとたまたま知り合ったり、竹パウダー製造現場をたまたま見せてもらったり、などなど、書いた後で書いたことが自分の身に起きるという不思議体験続出しました。
そしてもうすぐ、田植えの手伝いに行くことになっています。頑張ります！

Q5. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう？
作中、数多が憧れの雑誌のメールインタビューに答えているシーンがあります。
まさか自分も憧れのちるちるさんに取り上げていただけるなんて、と驚きと嬉しさでいっぱいです。ありがとうございます。
徐々に本が仕上がってゆく過程を編集さんに教えてもらったり、twitterで見たりしていると、ワクワクが膨らんでいくばかり。
読んだ方が気に入ってくださるといいなあと心から願っています！

Q6. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
電信柱の陰からこっそり見るだけだった、ちるちるさんとユーザーさんたちの楽しそうな世界に、「おいでよ」と手を引っ張ってもらってお呼ばれした気分です。
未熟者の作者ですが、頑張って書きましたので、『生田さんちのこめ王子』を楽しんでいただければ嬉しいです！！

担当編集より
万里は「こめ王子」のバイトを引き受けたことで、地元の人々、数多さんやカメさん、近所のおばあさんたちと触れ合い、社会と足並みを揃えなくても、ナチュラルに、自由に、楽しく、自分らしく生きていいんだ！ と気づきます。人を好きになることも、男女の差別なく、心が惹かれる、ということに素直に向き合っていきます。さとさんがやさしい目線で描写する万里と数多のみずみずしい世界と、草間さんが描いてくださったおだやかで素朴な世界との調和を楽しんでいただけたら嬉しいです！
万里と数多の出会いから、心が寄り添うまでの愛らしい時間に読者さまが癒されたらいいな、と願っています。

(c)『生田さんちのこめ王子』さとみちる／草間さかえ／蒼竜社