のきようこ先生インタビュー

真夜中、美青年との出会い…優しい日々が胸に沁みます

BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第3097回
のきようこ／アルファポリス／アンダルシュコミックス
コミックス『こぼれた余白』6月3日発売
サイン本プレゼントあり！ 詳しくはインタビュー後に！

STORY
とある夜、漫画家でバイの志津馬 与一は、橋の上で酔っ払いが川へ飛び込もうとするのを見て、とっさに助けてしまう。しかし、助けた青年・久慈 紀道は、やっと勇気を出して死のうと思ったのに!と逆ギレ。志津馬は家も持ち物も何もない状態の久慈を放っておけず、しばらく自分の家に居候させることに。突然始まった同居生活だったが、だんだんと生きる気力を取り戻していく久慈との日々は、志津馬の心に特別な感情を芽吹かせて――。

――作品紹介をお願いします
人生に意味を見出せなくなって絶望した若者が、自殺しようとした所に通りかかった男に助けられて世話になるようになり、心を開いていくうちに新しい感情も生まれ始め、仲を深めていくお話です。

――主人公たちはどんな攻×受ですか？
攻めの与一は、庭に紛れ込んできた猫も世話して飼い始めた世話焼き男。男女共に経験のあるバイで、仕事は漫画家をしているが仕事がなくアシスタントで生活している日々。
受けの久慈は、自分に何の価値も見出せないし意味もないと思い込みが激しく、一方若い頃から人に依存しがちで一度懐くとべったりタイプ。

――当て馬や重要な脇役は？
与一の友人が2人登場します。過去の与一の性癖なども知っているので、2人して与一と久慈を温かく見守ってます。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう？
自殺しようとした子が当たり前の生活をしていく日常の2人を描きたかったので、同じ服を何回か着たり「ダラダラ」をちゃんとさせたいと思って描きました。

――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
始まりが自殺しようとする人だったのですがあまり重くならないように、説教くさくならないようにするバランスが難しかったです。
あと、一軒家に住む2人を描こうと思ったので、実家に写真を撮りに行って資料集めをしました。作中の家は実家なので、位置がリアルに想像して描けたのは楽しかったです。

――今作にまつわる裏話はありますか？
与一さんの仕事で新連載が決まるという話を考えたのですが、尺の問題で割愛しました。その後の2人がいつか描けたら描きたいなと思ってます。

 
――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
眠気覚ましの筋トレは良かったです。軽い筋トレなんですが、目が覚めます。

――今、何かハマっていることは？
作画中はずっと色んな配信を流しっぱなしにしてるのですが、ゲーム配信は面白くて新しくハマった一つです。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
単行本が出る時はいつも緊張してドキドキしてしまいます。と同時にものすごく嬉しいです。沢山の人に読んでもらいたいなって思います。

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
くだらない日常と優しさがつまったお話です。描き下ろしにも描きたかったことが詰め込めたので、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

アンダルシュ編集部より
世話焼きのバイ漫画家×自殺未遂の美青年の、心がじんわりと温まる日常BLです。

久慈は、帰る場所もなく、生きる意味も見いだせない中、たまたま通りかかった与一に命を救われます。与一は捨て猫を拾ってきてしまうような面倒見のいい性格で、久慈を放っておくことができず、2人の同居生活が開始。そこから互いに特別な感情が芽生えていく……というお話です。

作中の序盤で、与一が久慈に言った「その一万 俺に返すまで死なないでね」というセリフが印象に残っています。
なんてことないセリフに見えますが、与一のこの一言があったからこそ、久慈がバイトを始め、人と関わり、生きることをやめずに過ごすことができた……のき先生はさりげないやりとりに意味を持たせるのが非常にお上手だと感じます。

誰かの何気ない言葉が支えになったり、傍にいてくれるだけで嬉しかったり、そういった優しい気持ちを呼び起こしてくれる作品です。ぜひ、ほっとしたい方、疲れを感じている方(もちろんそれ以外の方も！)、のき先生の「こぼれた余白」を読んで癒されてほしいです！

コミックス『こぼれた余白』

特典情報

店舗限定描き下ろしペーパー
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(C)のきようこ／アルファポリス