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表題作こぼれた余白

志津馬与一,バイで漫画家
久慈紀紀,23歳,死のうとしてた青年

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

とある夜、漫画家でバイの志津馬 与一は、橋の上で酔っ払いが川へ飛び込もうとするのを見て、とっさに助けてしまう。しかし、助けた青年・久慈 紀道は、やっと勇気を出して死のうと思ったのに!と逆ギレ。志津馬は家も持ち物も何もない状態の久慈を放っておけず、しばらく自分の家に居候させることに。突然始まった同居生活だったが、だんだんと生きる気力を取り戻していく久慈との日々は、志津馬の心に特別な感情を芽吹かせて――。

作品情報

作品名
こぼれた余白
著者
のきようこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
アルファポリス
レーベル
アンダルシュコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784434304279
4.3

(49)

(24)

萌々

(20)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
210
評価数
49
平均
4.3 / 5
神率
49%

レビュー投稿数6

とでも素敵なお話

元々のきようこ先生は好きな先生なんですが
こちらはめちゃくちゃいいお話です。
連載から大好きでコミックスを楽しみに
しておりました。
自殺しようとした青年を拾う包容力のあるバイのお話ですが暗さとかはなくて
むしろ癒し系BLで映画化したら良さそうなくらい文学的?な雰囲気もあるお話だと思います。
最後受けとなる久慈くんが
セックスして「生きてる…」と生を実感し
涙する場面が本当にぐっときました。
静かに淡々と感動するかんじ。
たんたんひょうひょうな包容力攻めよかったけど
攻め受けは逆も良さそうに思いました。
包容力受けもありなカプでは?
応援やおすすめの気持ちで神。
続きの2人と猫むんさんの小話とかまた読みたいです。

7

「よかった」を噛みしめる

『食って、飲んで、セックスしよう』
帯の何気ない一文が読後に沁みてくるお話でした…!
明日も生きようと思える何かがあるって素晴らしい。

いやホントね、タイトルも帯も秀逸としか言えない。

生きる目的を失い、何もかも捨てて、死のうと決めた日。
死に際に引き留めてくれた通りすがりの男と暮らす時間。
予定通り死のうか生きようかと選択までの余白時間。

そんな中で些細なことが生への執着を生むんですね。
淡々と過ごす日常の変化にドキドキがあって良かったです…!


さてさて。

受け:久慈
生きる目的を失って死のうとしている青年。
好きなこと、興味のあること、ありません。
あるのは苦労をかけたのに恩返しが出来なかった母親への罪悪感のみです。

元々大学時代は遊び歩くヤンチャだったようで、
死のうとしてるけど陰鬱な雰囲気はない子です。

攻め:与一
仕事のない漫画家(アシスタント業で食いつなぎ中)
基本的に世話焼きで拾いものをするタイプかな…?
バイが理由で元カノから手酷くフラれた過去アリ。

久慈が死のうとしているところに通りかかった与一は
とりあえず家に連れて帰ってお風呂と布団を提供します。
そして今だ死を考える久慈に"生きる理由"を与えました。

久慈は渋々それを受け取り、
与一の家で居候する生活が始まってーーーと展開します。


与一のキャラクターが良いですね…!
説教するわけでもなく、生きる素晴らしさを語らず、
フラットな態度で淡々と適度な距離を保っていて。
それでいてさりげなく生きる方へ方向転換を促す。

与一自身も人生上手くいってるわけじゃないんですよ。
仕事も行き詰まってるし、恋愛は上手くいかないし…。

だからこそ目線が上からになりすぎないのが良きです!!
(人生成功者に生きる素晴らしさを語られたら)
("そりゃアナタはそーでしょうね…"としか言えないもん)

まぁバイなのでね。多少の下心もあるんです( ´艸`)
どこまで触ってOKなのかな~と手を出すのはニヤニヤしました///
久慈は触られるがまま抵抗しないから進む進むwwヾ(*´∀`*)ノ

それをキッカケに久慈の心が動き出すのは
心臓の鼓動がドッドッドッと伝わってドキドキしたーー!
恋が動き出す瞬間ってどうしてこう萌えるんでしょうね。
楽しい…楽しい…(∩´///`∩)ハァハァ

じゃれ合う延長のキスからはじまって、
曖昧な告白やホテルへの色気のなさも良かったです。
男同士の気軽なノリを装っているのが逆に萌える…!!

与一はホント気軽~な感じの人で。
"生きるも死ぬも自由だけど、せっかくだし生きれば?"
みたいなスタンスで久慈と軽~く接しているんですね。

けれど、久慈から前向きな言葉が出たときに
"よかった"を噛みしめているシーンは涙腺が緩みました。
本当はずっと必死に生きて欲しいと願ってたんだなって。

いや、、、ほんとよかったです。
シミジミと「よかった」を噛みしめる作品でした。

10

ゆるさと潔さにじんわり

川に飛び込もうとしてたところをゆる~く止めて、ゆる~く同居、そのゆるさがごくごく自然に染み渡る。

人の温かさと人肌の温かさに心もゆるゆる解され、生きる楽しみを静かに噛み締めていけるようになったのも、好きな気持ちを気張らない一方でちゃんと貪欲なところもあり、さばさばゆったりした雰囲気に気を抜いてると思わぬとこでドキっとさせられる。

何気ないことの蓄積がとてもとても良く、一緒にいたいと思えるようになってく過程にしみじみ。会話も性格もカラッとしていて気持ちいい!

のきようこ先生は、柔らかくてちょっと尖ってて優しくてちょっとおかしくてホコホコするところ好きです!

5

ゆるく、あたたかく。

人間関係に躓いたとか仕事で失敗したとか。明確に死にたい理由があるよりも、生きる意味がわからなくなって死を選ぶのはとても悲しいことだなぁと久慈を見ていて切なくなりました。

生から死へ意識を切り替えて、いざ!というところで与一に止められて。
最初はそれも迷惑だと思っていたのに一緒にユルく暮らすうち、また久慈が「生」を噛みしめるようになったのを見て、なんて素敵な出会いだったのだろうかと胸が震えました。

下手に励ましたり同情をするのではなく"生きること"を提案してくれた与一の温かさに、久慈は救われたのでしょうね。

テーマはそんなに軽くないのにそんな中でも肩の力が抜けるくらい、与一のユルさが心地良いお話でした。

4

ちょうどよいぬるさ

生きる意味を失って自殺しかけた受と、その受を拾ったアラサー漫画家のゆるっとした共同生活。日常萌えです。肩の力を抜いて楽しまめす。

”生きる意味”って割とパワーワードだと思うんですけど、のきワールドでは圧がありません。そんなに真面目に考えなくてもさ~っていう、悩んでいるいろんな人に読んでもらいたいかもしれないってくらい、適度な温度で日常を平穏に過ごすことの尊さを見せてくれる作品だと思いました。”意味”が欲しかったら、そこら辺にころがってるんですよ~っていう感じでいいんですw。

日常系BLあるあるとして、どっちがか料理上手、家事上手だったりするんですけど、本作にはそういう理想的な設定はありません(攻が戸建ての持ち家で部屋があまってるって設定で十分素敵です)。普通のヤロー二人の生活感がいいですね。お腹を満たして温もりを感じていれば、どうにかこうにか生きていけるもんなんだな~とうすらぼんやり気づきながら、そこに、オプションで人を好きになる→一緒にいたい→また合体したいってゆー欲がついてくると無敵の人生なんだなと思うのでした。

3

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