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攻・三条憲久(32~33歳くらい)
受・吉永裕孝(25歳くらい)
医者の家系に生まれた三男の裕孝。
持病のため医者になることができず、日常の生活でも食事などで極端に気を使わなければならない状態です。
親族経営の病院に、彼のためだけに用意された「健康管理室」で室長として勤めています。
この健康管理室は、現在では医者の左遷場所となっています。
病院内の権力争いや、懲罰処分のために、有能な医者が健康管理室に配属されてきます。
新しくやってきたのが攻の三条憲久。
彼は上司の妻との不倫を疑われていましたが、事実は濡れ衣でした。
健康管理室では誰も働きません。
医者が医者の仕事をできないのです。
その中で、自分にできる仕事を探して、雑用でも何でも丁寧にかつ一生懸命に働く裕孝の姿を見て、惚れてしまいます。
裕孝は自分が他の家族と違って医者になれなかったこと、親族のお情けで職場を与えられ、そこで諦めたように日々を過ごしていることに悩んでいました。
変わりたいと思っていても、過保護な家族や執拗に干渉する長兄を前にすると、自分に自信がなくて何も言えなくなってしまうんです。
けれど憲久と付き合う間に、自分にもできることがあると分かり、憲久のために、また自分自身のために「病院経営の効率化について」のレポートを書いてしまいます。
自分の勤める「健康管理室」が無駄なものであるという稟議書です。
親族の用意してくれたカゴの中でぬくぬくと暮らしていくのではなく、自分で道を切り開くことができるようになるんですね。
ずっと受身で、控えめで、誤解するシチュエーションでも問いただせない気弱な裕孝。
だけど少しだけ自身を持てるようになり、稟議書を書けるようになった成長があったから、裕孝は憲久へ気持ちを正直に伝えることができたんでしょうね。
健気っぷりがとてもかわいらしいです。
ところで。
長兄の佳隆(裕孝より10歳年上)は…精神的に余裕のない恋愛してそうです。
弟をそういう意味で好きなのに、そんな自分を赦せずに弟に厳しく当たってしまう。
他人にも自分にも厳しい人なんです…多分。
攻の憲久にしたら迷惑な存在なんでしょうけれどね。
まあ、攻の憲久は精神的にとても強く図太いので、長兄の妨害などには負けないでしょう。
ひたすら恋人を甘やかしてます。
柊平さんでは『とまどいの行方』が断トツで好きです。こちらは一応その関連作になっていますが、ほぼ関係ないに等しいです。そもそも『とまどい~』のメインキャラクターはどちらも出て来ません。向こうで知之(攻)の友人で同僚だった紅林が脇として少し出ているのと、知之と紅林の勤務先の病院を舞台にしているというだけの繋がりです。確かに関連作には違いないですが、わざわざ読むほどのものではないですね(内容ではなく、関連があるからという意味では)。
一応柊平さん作家買いなのと、何よりも好き作品の関連ということで結構期待して読み始めたんですが・・・もうかなり冒頭から気乗りしなくなってしまいました。
とにかくキャラクターに魅力がないんです。医師一族でひとりだけ病弱のために医師を諦めた裕孝(受)という設定はいいんですよ。でもこの裕孝があまりにもいい子ちゃん過ぎてどうにもダメでした。高校生ならまだしも、一応でも社会人なんだからさぁ・・・考えも言動も幼すぎ。
裕孝のために作られた部署である健康管理室は、病院においていろんな意味で問題のある医師の左遷先になっているんですが、そこに上司の妻と不倫したらしいという噂の三条(攻)がやってくるんですね。それが2人の出会いになります。
健気受は大好きですし、病弱受も別に苦手ですらない。でも、裕孝は健気ではあるんでしょうが何かが私の好みとは違いました。少なくとも私の中では『健気』と『弱い(肉体的なことではなく)』のとはイコールではないんですよ。あまりにも卑屈というかネガティブな裕孝に、ネガティブ受が苦手じゃないはずの私でもいい加減うんざりしました。
それこそ(『とまどい~』までは行かなくとも。あちらは20歳差で医師×高校生)年の差ものならまだ受け入れられたかもしれません。というかツボだったかもしれない。でも、双方社会人でコレは無理です、私は。
裕孝の長兄・佳隆が、弟に無自覚にしろ特別な意味で執着し、結果としてつらく当たる(裕孝はそう感じている)キャラクターとして活躍(?)していますが、こちらではなんとも可哀想な言い方ですが、途中は悪役・最後は負け犬で終わってます。←ゴメン・・・
この佳隆をメインにした続編も出ていますが、私はツン過ぎる受がすごく苦手なので、この続編は持ってるけど読んでません。佳隆が受だというだけでもう読む気がおきないんですよね。
あさとさんのイラストはよかったんです。でも正直それだけでした。多分、好きな作品の関連ということで、読む前から期待値が上がったのも敗因かも。