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表題作コンティニュー?

藤堂克己,ゲーム会社社長
麻生絢人(26歳),リストラリーマン

同時収録作品みさとのにっき

その他の収録作品

  • リロード!
  • エンディング。
  • あとがき

あらすじ

勤務はおもに夜間。
週に一、二回のわりでデート―。
妻に逃げられ、赤ん坊を抱えてリストラされた絢人。
再就職もうまくいかない中、ゲームソフト会社を経営する藤堂から「月三十万でどうだ」と誘われたのが、彼の愛人になることだった。
生活のためやむなく契約した絢人だったが、いつしか藤堂のカラダに慣らされてしまう。
そんなある時、絢人は藤堂の会社で思わぬ仕事をすることになり…?恋愛ダンジョンRPG。


作品情報

作品名
コンティニュー?
著者
いつき朔夜 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403521331
4

(22)

(9)

萌々

(6)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
90
評価数
22
平均
4 / 5
神率
40.9%

レビュー投稿数7

心がポカポカ、珠玉の読後感

デビュー作だけあって現在と比べるとやや荒削りな印象ですが、いつき作品の中でかなり好きな話です。
家族愛っていうのがツボどストライクだったっていうのもありますが、本を閉じた後の心がポカポカと暖まるような読後感がとにかく大好きで、その幸福感に思わず神評価を捧げちゃうほど。時々発作のように引っぱりだしてしまいます。

ゲーム会社社長・藤堂×嫁に子供を置いて逃げられ無職になった青年・絢人の、愛人契約から始まる恋。
ある日突然嫁に逃げられ、まだ9ヶ月の赤ん坊と二人きりでとり残されてしまった主人公・絢人。
頼れる親族もなく、慣れない家事育児に追われ、あげくリストラされ追い込まれた彼は、生活のために、偶然出会った男・藤堂の「愛人」になることを決意してしまいます。

愛人契約だなんて実にBL的な始まりですが(苦笑)、少し趣が違います。
しようと思えばいくらでも色っぽくできる設定なのに、実際の二人のやり取りは何だか地味。地味というよりか色気がないと言った方が正しいかも。
慌ただしい逢瀬の合間に合間に、セックスシーンにすら漂う生活臭。主人公が子持ちであることを、しっかり優先されているのがすごく良いんです。
勝手の分からない育児への疲れや、自分の時間が食いつぶされる不自由さ、でもそれを上回る新米の父親としての喜びが、ひとつひとつ具体的なエピソードで語られていて、子育てに追われている絢人の姿丸ごと、藤堂が惹かれているのがよく分かります。

絢人に事情があるように、藤堂にも事情があります。それが絢人との諍いの元になったりしてしまうんですが、彼の心の隙間にもちゃんと触れていて、藤堂の人となりが伝わってくる。だから、絢人が藤堂に惹かれるのも、藤堂が絢人に惹かれるのも無理がない。
最初は単なる愛人契約でしかなかった相手が、やがてかけがえのないパートナーになっていく過程が自然に見えるのは、しっかりと心の交流があるからだと思います。
恋愛だけで生きてるわけではなく、相手との恋に落ちるまでもそれぞれに人生はあり、想いが通じ合った後も人生は続いてくってこと。それを感じさせてくれます。

どんな題材で書かせても、BL界でいつきさんほど地に足着いたという言葉が似合う作家さんはいないんじゃないかなと思います。デビュー作でこの安定感は凄いと思う。
反面、もっとBL的なロマンを求めている方には物足りない?
色気たっぷりのキスシーンもいいけど、風邪でガサガサになった唇にチョンと落とされる口づけ。そんな飾らない温かみを愛する、日常系の話が好きな人にはとてもオススメします。

あとがき後ろの「みさとのにっき」は見逃しちゃだめです。(←しばらく気付かなかった)
ほわほわな気持ちになれます。

4

対等とは

最近電子化されたデビュー作。好きな作家様です。既刊全て電子化してくださらないかなぁ、新書館さん…(先日要望を送ってみました)

妻がまだ乳飲み子の娘を置いて家を出てしまい、それまで勤めていた会社を退職した絢人。求職活動中の面接後、ビルのエレベーターで一緒になった男からいきなりキスされて…。

キスってなんだよ!となるんですが、このキスしてきた藤堂はゲーム会社の社長で、面接に手応えがなくてしょげていた絢人を可哀想に思ってリクルートしてきたわけです。それも、愛人として…。

愛人ってなんだよ!(2回目)となりますよね、今じゃ、、。でも、体から始まって、女性と派手に付き合ってきたノンケが、絶賛子育て中のシングルパパに本気になっちゃうお話なんです。

前半「コンティニュー?」は二人の出会いからカプになるまで。「リロード」は2年後の二人の同居生活のお話。「エンディング。」で、二人は本当の夫夫になります。泣ける。

絢人はもともと絵を描くのが好きで、娘のために描いた動物のイラストを見た藤堂が開発中のゲームに採用して成功。愛人→キャラデザイン担当に移行していきます。ちなみに二人は社内では公認の仲。

娘の美里ちゃんも藤堂に懐いていて、絢人をとうしゃん、藤堂をパパしゃんと呼んでいます。(うさぎが好き。)この、美里ちゃんが可愛くて可愛いくて、金ひかるさんのイラストとともに癒されること間違いなし。

美里ちゃんを男二人で助け合いながら育てていく中で、子供ならではのトラブルに奔走したり、美里ちゃんを巡って妻が再登場したりと、パパ×パパ家庭の在り方を試されていくのですが…。

ところで、ノンケ同士なのになんで?ってなりますけど、藤堂は最初、絢人をゲームのサンプルとして関係を持ったわけです。それが後々二人を酷く傷つけることになってしいますが、それでも!いや、だからこそ!相手を二度と傷つけないための戒めとなっていくんですね。

次から次へと事件が起こるのでハラハラと先が気になる筆力、無理矢理説得されているかのような力業の部分、全部ひっくるめて作者様の魅力。BL的ラブがすごく生きてきて、揺さぶられてしまいます。

信じがたい出会いから山あり谷ありな同居生活を経て愛を育んでいくストーリーなんですが、ジェンダー・ロールとか同性婚とか、未だ議論が続くテーマがサラッと投下されています。それもノンケ同士の養子縁組なのですから、覚悟の深さがハンパないです。

皆さまも言及されておられますが、最後の美里ちゃんの日記がとっても可愛いです。二人の力関係が目に見えるようですね笑

0

子はかすがいモノの超良作

この「子はかすがいモノ」っていうジャンル分け、一度誰かが使ってるのを見て使ってたんですが、他に使ってる人をあまり見かけませんw
『子連れ狼』が有名ですが、子供を上手くストーリーに組み込ませてる作品、私、大好きなんです。
ただ、取り扱い注意で、舌ったらずで年相応に見えない子供とかだと萎えたりもするんだけど。
あと、子供や犬や障害者などを『無垢の象徴』みたく使うあざとい作品も、あんまり好きじゃなかったりする。

前置き長くなりましたが、いつき朔夜さんのこの作品は、子供を上手に使ってて、大好きなお話のひとつになりました。
相変わらず文章力があるし、いつき朔夜さんもハズレがない作家さんだなァと思います。

主人公は無職になってしまったリーマン。
妻に逃げられ、子供とともに取り残され、会社をクビになり、シングルファーザーで求職活動に励むんですが、なかなか上手く仕事が見つからない。
そんなとき、たまたま面接したゲーム会社の社長から、『愛人にならないか』と誘われ、迷いつつも月30万の収入に惹かれて、愛人生活に突入する。
主人公の性格が良かったです。よくよく考えると先の見えない最悪な人生へと突入するわけなんだけど、悲壮感がないのだ。いざってときの性格がオトコマエで、好感持ちました。
あと、ゲーム会社社長が、実はヘタレ攻めだったというのもポイントが高い。ヘタレ攻め大好き。

最後の最後に付録としてついてた『みさとのにっき』がめっちゃ面白かった。
三人の父親みんな、みさとちゃんが嫁に行くときは、さぞかしウザいパパになりそうだな~w

5

いつき朔夜さんの雑誌デビュー作品。

金持ちの色男に、生活に困った男がやむなく身を任せ、愛人に。
身体から始まった関係がいつしか……と。
おお!これぞBLの王道というエピソードですが。
一筋縄ではいきません。ベタな設定を面白く読ませてくれます。

絢人の元嫁は『こういう人、いるよね~』と。リアルでした。
BLに子供が絡んでくるのはどうなのかな?と不安はありましたが、
とても良かったです。この子供は幸せな子供だと思いました。

3

娘さんを僕に下さい!!

麻生絢人(受け)に似ている娘、みさとちゃんが、とにかく可愛いです!
あうあう~言っていたおむつ時代から、少しずつ成長して喋れるようになって、幼稚園へ行って、小学生へ・・・そりゃ藤堂(攻め)も親バカになるのも無理は無い・・!!
他のレビューの方も言っていましたが、みさとちゃんが彼を連れてきたら大変なことになりそうですね。
とりあえず3人目の父親ファータが、興信所で情報を調べ上げ、一番冷静そうな?お父さん絢人(受け)は、とりあえず親の気持ち(元奥さんも合わせて)4発殴るんじゃ・・。逆に一番暴れそうな、パパ藤堂(攻め)は、泣き出して絢人(受け)になぐさめて貰ってそうと想像しただけで、私も寂しくなりました・・(笑)可愛いよ~みさとちゃん。みさとの日記は、本編の中で一番萌えというより感動・トキメキました。

お話は、絢人がある日、家に帰ったらいつもいるはずの妻も娘もおらず。置き手紙で「娘は隣の家の方に預かって頂いています。」と。。。ええええ!!と子どもを残され、途方にくれるところに、ゲーム会社の社長藤堂から「俺の愛人にならないか?」と現実世界ならあり得ない展開から始まります。お金の為に愛人になるのですが、藤堂はもう一つ目的が有りました。
これは本当にきっかけに過ぎないのですが、その後優しい姿などを見てやっと藤堂のことを受け入れれるかも・・と思った段階でその目的を知る絢人(受け)。

ゲーム会社という設定をどう持ってくるのだろうと思っていましたが、ここで来るか!?と受け視点で読んでいたので一瞬、「藤堂・・お前・海に沈めてくる・・」とか思ってしまいました。(笑)
でもその前後の展開で攻めが受けにデッレデレなのを分かっていた分、バレた藤堂の行動も誤解を解こうと必死で、あーもう頑張ってくれ~!と私も必死でした。
他にもゲーム会社ならではの展開で、絢人の仕事が決まったり読んでいて楽しかったです。

元奥さんが出てきた時は、ドキっとしましたが、絢人が今まで家事を奥さんに任せ切りにしていたこと、こんなに大変だと思わなかった。と奥さんを一切責めず逆に今まで申し訳なかったという発言には、男前というか格好良かったです。奥さんも大変だったよね・・。と出て来る登場人物それぞれの背景に感情移入できる点も読みやすかったです。

その後、数年後ですかね?後半でみさとちゃんを引き取りたいという元奥さんの話が出た時も、
最後に「いつでも会いにくればいいよ。」みんなでみさとを大切にすれば良いという考え方。目から鱗というか、そういう考えは誰もが幸せになれる考え方だなぁと、きっとみさとちゃんは、いっぱい愛情を貰って、広い視野を持った優しい素敵な子になると思います。

BL小説を読んでるというよりも、家族愛のお話を読んでる様で、気持ちが暖かくなりました。
世の中の出来事に対して損得感情とか利己的な考えを抱きがちで、なかなか難しいですが、みんなで一緒に幸せになる。それぞれお互いに思いあって優しくなれる、素敵なお話だったと思います。

3

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