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表題作スパイラル・ゲーム

ウラジミール・ロドノフ(ワーニャ)・鋭治のコーチ
片倉鋭治・16歳・高校生

あらすじ

ロスに住む片倉鋭治は、ビーチでローラースケートに興じるごく普通の少年。だが、ある日突然、元世界チャンピオン・ウラジミール・ロドノフによって、フィギュアスケートの選手としてスカウトされる。ロドノフに個人レッスンを受け、瞬く間に才能を現す鋭治。レッスン仲間との恋のいざこざはあったものの、ただロドノフの望むように懸命に走ってきた鋭治だったのだが…。実力派・有田万里が描く、美しくも官能的な愛の世界。

作品情報

作品名
スパイラル・ゲーム
著者
有田万里 
イラスト
まつざきあけみ 
媒体
小説
出版社
ワニブックス
レーベル
Kirara novels
発売日
ISBN
9784847031991
4

(2)

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萌々

(2)

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
8
評価数
2
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

色んな意味で深いと思った作品

フィギュアスケートを題材に扱ったBL作品。主人公が作中で目指しているのは長野五輪なので、だいぶ時代を感じるし、採点方法も今とは違うのでこれから読まれる方はちょっとあれっと思うかもしれません。
スケートについてもしっかり書かれていた上に、16歳という年齢の破天荒さも面白く、こなれたしっかりした文章もよかったです。

主人公の鋭冶はカリフォルニア在住の高校生。
フィギュアスケートなんて一度もしたことないのですが、ロシア人でもと金メダリストのワーニャにスカウトされ、養成所に入ります。
そこからあっという間に上達していくのはお話的にはお約束なんですが、人間関係は一筋縄ではいきません。
ライバルにレイプされたり、同室のダニーに言い寄られたり、人種差別にあったり…。

ワーニャとの恋愛ものだと思っていたので、そこまでなかなか行き着かずかなり回り道をしてあれれ、という感じでした。
同室のダニーと鋭冶は恋人になりますが、鋭冶が自分が同性愛者だったと気付くシーンがよかったです。
無理やりでない、自然と気がつく、ダニーを愛するようになるのも自然な感じできゅんとしました。でも若いから、というか、若さゆえにこうなったんだという危なっかしさも十分伝わってきます。
途中はけっこうドロドロしているのに、最後のほうは展開が速く、前向きで明るかったです。

肝心のワーニャとの恋愛がかなり最後のほうにきてやっとなので「コーチとしての尊敬」はけっこう前からわかるのですが、「あなたが好きだ」というのが後半で急にきたような気がして、恋愛物としての満足感はそこまで得られなかったかもしれません。
私はどちらかというと、前半から中盤までのダニーとの恋愛のほうがしっかり書かれていてそちらのほうに感動と共感を持っていかれました。
じっくり主役二人恋愛を堪能できるものでなかったのは残念ですが、ダニーとの恋愛話がよかったのでいいのかなぁ・・・。

海外を舞台にして、国の政権とスポーツとの関係を書くって簡単なことではないと思います。素直に感動して感心もできるお話でした。

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