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表題作おかえりさんかく

後藤丈,紘記の元彼で料理人
桐沢紘記,喫茶ミチクサのオーナー

同時収録作品おかえりさんかく

園田英征,ミチクサの客で会社員
桐沢紘記,喫茶ミチクサオーナー

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • 書き下ろしイラスト(カバー下)

あらすじ

喫茶店店主の紘記は、初めてできた恋人と別れてから静かな日々を送っていた。しかし、元恋人・丈との再会と、謎めいたお客・英征との出会いによって止まっていた時間が再び動き出し……!?

作品情報

作品名
おかえりさんかく
著者
早寝電灯 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784403667800
3.8

(110)

(42)

萌々

(32)

(23)

中立

(6)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
17
得点
413
評価数
110
平均
3.8 / 5
神率
38.2%

レビュー投稿数17

ありがちじゃない三角関係

いや、さすが今回も切なくじんわり
素晴らしかったです。
早寝先生は大好きな作家買いの先生なので
本当に新刊楽しみにしていました。
先生の新刊が
三角関係ってことでどんなお話かと思っていましたが
やっぱりすごくすごく良かった。。
初めての元カレを忘れられないカフェ店主と元カレ+カフェの客リーマンの3人のお話で
ああ、ほんとうまいなあって、、
3話目でノンケだと思ってた客リーマンが
本当は、、って展開でぐんと話を動かすんだけど
こちらもそこで
えっ?とぐぐっと引き込まれました。
まあネタバレですが
客リーマンと受けのカフェ店主の紘記は関係するん
だけどそのシーンがねいいんですよ。
やっぱり第三の男が物語を動かすのね。
私はこの第三の男、客リーマン英征さんすごい好きで
読んでいてこっちの男がいいなって思ったり
してしまってました。
真面目な受けが
どちらともくっつかないもアリか?と
ちょっと思ったけどそこはちゃんと結果が出ます。
ちゃんと以前と違う踏み込んだ関係に進むエンド。
しかしこんな心に響く優しいお話で
三角関係ものって早寝先生すごいなあって
早寝先生の名作コミックスが
またここに爆誕してしまった、、なんて
3人がファミレスで会って
どっちを選ぶの?みたいになったとこで
いやいや気持ち悪って
そんな話じゃないでしょってとこ
全くだよって感じでツボでした。
単純に三角関係だとそんな風になりがちだけど
そんな簡単じゃないって話。
ありがちなようでありがちじゃない三角関係で
それぞれの背景が深くて
とっても読み応えありました。
エロは少な目だけど
この方のお話はエロなくたって
ストーリー重視の方にはすごく響くかと思います。
今月はもう一冊ホーム社の単行本が
でるのでそちらも楽しみです。

18

二重のトライアングル

作家買いの早寝電灯先生
毎回テーマを先生独自の味付けで料理されますが
今回のテーマはタイトルからズバリの三角関係
今まで三角関係的なお話も書いていらっしゃったことがあるけれど今回はズバリと三角関係
早寝先生が描くとこうなるのですね

男3人の三角関係でもあるんだけど
このお話は気持ちと体感と体験のトライアングルでもあるなと読み終わって思った
自分の気持ちを正確に言い表す難しさはよく描かれるけど
今回はもう一つ自分の気持ちを感じ取る難しさもあるという事を描かれてる
なんだか自分の感情がわからなくて掴めなくて茫洋としているから
分からないから
嬉しいことなどわからない時は長く感じる
気持ちが体感できないでいるのを繋ぐのが体験として描かれているように思う
食べることセックスそして愛する人とのセックスの時の噛む事もしかして火傷もかな
ガジガジと真顔で肩を噛み続けるとこが胸をくすぐりました

自分の気持ちが分からないのに相手の気持ちがわかるはずもなく
でも自分がどうしたらいいのかわからないから立ちすくむ
分かるのは今彼がそばにいるか居ないかだけで
その距離を体感することで気持ちがついてくる
おかえりさんかく
と言うのは最終的に三つの感覚が一致した状態に戻った事をいうのではないかな
と深読みしすぎかな

感情と感覚と体感とあえて別々のものとして捉え
それを自然な流れで漫画で描こうとしたんだろうと思うし
それが漫画だから成功してると思う
前述したけど早寝先生の作品は同じテーマでも料理方法が違う
和食が出てくると思ったらエチオピア料理が出てくる感じです
一筋縄ではいかないです
でもだからこそ読みとく楽しさがあると思う

10

ミチクサ

大好きな早寝電灯先生の新刊

先生の作品では「化け猫〜」以来の、自分の生活とやや照らし合わせて読んだ本でした。勿論面白かった。

面白かった前提で思うところ、早寝電灯先生の作品の受け=主役って思考の傾向が似ているような気がする。それは先生から生み出される故仕方ないところだろうけれど。壁があった時に避けるタイプというか。

毎日に繰り返しを求めてる絋記が、園田と寝ることはかなり大きな意味があるので、そこはこの作品で外せないところだし私は好きです。大人になったら"別の日"はとても大事だ。園田と寝たことは道草かも知らないけれど、大事な寄り道よ。

先生の攻めが主役の作品が見たいなぁ…あ、園田さんが主役のスピンオフが出ればそうなるのか?ただ園田さんもやや壁があったら避けそうではあり、それでいて受けに回ることが出来そうなんだよね。今作の刺激がきっかけで壁に対して違うアプローチができる園田さんになったかもしれない。
園田さんがひとりで食事をするシーンが見たかった。丈の働くレストランで何を頼んだんだろう。欲を言えば夕飯がいいな。

丈の魅力が(少なくとも自分には)伝わりづらかったことが惜しい。ともすると絋記と話す丈より、園田と話す丈の方が魅力的に見えた。「俺の良い面を見て欲しいのに」と言っていたけど、絋記にももっと「みっともない」ところを出すんだろう。「前と同じだけの関係にする気がない」ならより一層。

7

終着点は予想できても、いい意味で裏切られる。

早寝電灯先生の優しくて温かい世界が広がっていて、何回も読み返したくなります

主人公の『横断歩道の白線だけを歩く』こだわりや、丈くんの『好きな人の前ではカッコつけたい、大事な話の前ははぐらかしちゃう』癖や、園田さんの『安全にいるために笑って過ごす』姿は人間らしく、優しいんだけどそれだけじゃない3人の個性が現実的で実在するんじゃないかと思えるくらいです。


三角関係だからドロドロ系かと躊躇しながら読んでみたらなんと誤読感はスッキリ。
個人的な意見だけど、うまくいかないとき第三者のてこ入れが必要だったりするよな~と思えてしまう。
主人公の頑固さ、好きなのに踏み込まず手を離してしまう所にはモヤ~としてしまいますが初めて付き合うときってそんなもんかなと。
園田さんの申し出を受けてる主人公に対して『裏切り』とは思えなくて、ルーティンを崩してでも現実を受け入れようとする強さを感じました。
体感しないと信じられないってあるよなぁ。


早寝電灯先生独特の、時々台詞を反復するような、詩を朗読するような描き方も好き。


日常的な日々の中で、人間の心情の変化に重きを置いた話が好きな人にオススメです。

7

ままらない、心の揺れ動き

作家さん買い。

ゆらゆらした、不安定で定まらない感じ、
自分でも気持ちの整理がつかないモヤモヤとした葛藤、
そういったどうにもならない、厄介で、めんどうな心のひだひだが丁寧に描かれていました。

こんなひだひだなんか無い方がずっと楽なのに、
すっきりさっぱり無かったら、人生ってなんて味気ないんだろうって、読んでて思ってしまうというか。

園田が単なる当て馬枠ではなかったところが、この作品の一番いいところだと思う。
紘記と園田が「寝る」ことで、自分でも気づいていなかった本質や本心に気づく。
単なるエロシーンではないんです。

ちなみに園田は、紘記のことが気になるとか、男なのに何故か目が離せない……みたいな感じじゃ全然なかったんですよね。
ただの客でしかない自分に、同性愛者であることを隠さないとこにガツーンときたっていうのかしら。
ガツーンとさせられて目を開いたら紘記がいたみたいな、上手く言えないけど鳥のヒナの刷り込みみたいなものと恋が混じってしまったというのかな。

つまり園田は、ゲイを自覚したばかりのゲイとしてはヒヨッコ状態だと思うんですね。
だから「君らと会えて結構収穫だった(傷心だけど)」「俺は別にこの二人がうまくいっていることが嫌なわけではない(いや、すげー傷つく)」って、別に負け惜しみじゃないと思うんです。
紘記の側に自分じゃなくてアイツがいるのがくっそムカつく事実ではあるものの、一人ぼっちじゃないんだ、お仲間が他にもいるんだ(片割れがアイツなのはムカつくけど)と、ホッとするところでもあるんじゃないかな。
紘記も、そういうところをもしかしたら無意識に汲んで、「客として来たら普通に接したい」と言ったのかもしれないなと思います。
(絶対に、自分に気のある男は手元にキープしておきたい、みたいなやつではない。)

その園田が、元サヤに戻ったからお役御免で遠ざけてバイバイではなく、最後まで繋がってるところも好きだなぁ。
寝たことも含めて、無かったことにはできないし、したくない。
丈にとっては、園田の存在は不本意の極みでしかないんだろうけど、仕方ないよね。
「自分が戻るまで紘記は一人だと思ってた」という思い上がりが愚かなんだけど、なんかそういう愚かなところも含めて、憎めないアホたれって枠にとどまっていると思う。

人生に迷子状態の人たちが出会って、繋がって、動き始めて……これからも何らか繋がっていく……そういう揺らぎや曖昧さが好みでした。




ーーー

「俺がずっと一人ぼっちなのは 俺のせいかよ」と言って泣いてた園田だけど、多分、これからの園田にはいい事が待ってると思いたいなぁ。

とりあえず、再び紘記の店を訪問することしたっぽいけど、あくまでお客さんという一線を超えさせない紘記と、何かとガルガルしてくる丈の姿に、ちょっかい出すのもアホらしくなってきて……。
そんな園田に恋のチャンスが……!!
以前の園田だったら恋のチャンスがそこらじゅうに転がっていたとしても、けっして気づかないし見えなかったはずだけど、今の園田なら大丈夫だと思います!

7

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