転じて恋と生き

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転じて恋と生き
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神32
  • 萌×210
  • 萌1
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

86

レビュー数
5
得点
205
評価数
47
平均
4.4 / 5
神率
68.1%
著者
 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
シリーズ
アイズコミックス.Bloom(コミック・ホーム社)
発売日
価格
¥689(税抜)  ¥745(税込)
ISBN
9784834264029

あらすじ

校内新聞に載っていた小説の作者「春沖洋介(はるおきようすけ)」。
高校教師の吉武(よしたけ)はある日、それと同じ名前を、旧校舎に残されていた昭和30年代の論文から見つける。
さらに小説の登場人物である「坂上三雲(さかがみみくも)」の名前もそこに書かれていた。
現在の小説と、過去の論文――…。
このふたつの奇妙な一致に、吉武と、そして小説の作者である吉武の同僚・八尋(やひろ)はかつてこの高校に在籍していた生徒、春沖と坂上が自分達の前世なのでは、と疑い始める……。
過去と現在が交錯する、感動の転生BL。

表題作転じて恋と生き

八尋達彦(高校の国語教師)=春沖洋介の生まれ変わり
吉武伊織(高校の数学教師)=坂上三雲の生まれ変わり

その他の収録作品

  • 転じて恋と生き その後

評価・レビューする

レビュー投稿数5

この作品に出会えてよかった

2冊目のコミックス、とても楽しみにしていました。
前作の「半壊の花」は短編集で、それもとても読み応えがありましたが、今回は1冊同じお話ということで、期待半分(不安半分)という気持ちで手に取りました。
一冊で「転生」というものが描ききれるのだろうか…?という思いもあり…。

しかし、読み終わったあと、本当にこのお話と出会えてよかったと心から思いました…!

今作の「転じて恋と生き」はタイトルにも入ってるように「転生」のお話です。
以下、ネタバレがあります。



私は今まで、転生ものというと、前世の想いを抱えたまま、現在のふたりが幸せになるというものだとなんとなく思っていましたが、今回のこのお話は少し違いました。
もちろん過去のふたりの恋愛感情も引き継いでいるし、攻めの八尋が一時的に前世の人格にとってかわられるシーンもあります。けれど、最終的に現在のふたりが、自分達は自分達で、過去のふたりとは違うんだ、それぞれの人生があるんだ、と決別を選んだことに、驚き、そして感動しました。
過去のふたりも、長い時間を経て、現在のふたりの身体を介し再会したのち、彼らは彼らで手を取り合い、去っていくんです。
前世のふたりは、幸せな結末をむかえたわけではなかったですが、それを受け入れ「もう一度会えてよかった」とふたりで一緒に去っていくーーこのシーンに自然と涙が出ました。

現在のふたりも、とても好感が持てるふたりでした。
攻めである八尋が、受けの吉武を好きになったきっかけが「自分が弱っているときにアイロンをかけてくれたから」というのがなんともかわいらしかったです。相手からすると些細な事でも、本人にとってはとてつもなく大きなことで、感情を揺すぶられることがある、というのがうまく表現されていました。現代のふたりが惹かれあうのもとても納得できました。

一冊を読み終わるのがあっという間で、世界観に引きずり込まれていました。
最後のほうはページをめくるのがもったいないと思えたほど。


早寝先生は、人の「ひたむきさ」や、ひたむきさがあるからこその「不器用さ」を描くのが本当に上手い方だなと思います。人を好きになることって素敵なことだなぁと思わせてくれるといいますか…。
登場人物がみんな、ちゃんと「生きている」という感じがするので、悩んでいる彼らのそれぞれの選択や、人生に感動するだろうな、と。


本当に、本当に素敵なお話でした。
(言葉にすると弱くなってしまうのが悔しい…!)
いろんな人に読んで欲しいです!
転生ものだからわかりにくいのかなとか思われるかもしれないですが、
全然そんなことはないと思います。
(最初、名前がどっちだったかな…?とは思いましたが、わかってしまえば混乱することはなかったです)


卒業式の日の青空に、桜の花びらが散っているような、爽やかな読後感のある作品でした。
(読み終わったあと、カバーをはずしてカバーの下を見たとき、私はもう一度泣いてしまいました…)

きっと何度も、今後読み返す作品になると思います。

5

不思議、だけれど温かいストーリー

作家買いです。内容はすでに書いてくださっているので感想を。

若干のネタバレあります。







早寝電灯さんてすごく不思議な空気感を持った作家さんだな、というのが読後の感想。テーマとしては「輪廻転生もの」なわけですが、早寝電灯さんらしい、というのかな。切ないのだけれど、さわやかさもある。でも、なんか懐かしい。っていう感じ。色で言うと「セピア色」という感想を持ちました。

現世と前世。
この二つの時間軸が融合してストーリーが展開していく、という構成が斬新でした。

かつての恋人たちが、現世で出会い、記憶を取り戻していく。
今、感じているこの想いは、前世のものなのか現世のものなのか。
時間軸は歪むけれど、でも、彼らの想いがゆがむことはなくまっすぐなので読んでいてブレがなくするんと読み手の気持ちに届いてくる。

少しずつ思い出していく記憶。
かつての恋慕の想い。
お互いが唯一無二だったこと―。

謎だった部分が少しずつ解き明かされていき、そして最後にパズルのピースがぴたりとはまるように収まるべきところに収まる。

ストーリー展開が非常にお上手で、彼らの気持ちとリンクしながら読み進めました。

派手派手しさはない。
けれど、気づけば落涙している。
優しくて、温かいストーリーでした。

過去の後悔とか、思いとか、それをきちんと現世で解消しているのも素晴らしかった。

あと、絵柄がとってもいいんじゃないかな。
「上手」とか「絵柄がきれい」とかそういう誉め言葉に収まらず、早寝電灯さんの描かれるストーリーに非常にあっている、という感じ。
だからこそ、早寝電灯さん独特の世界観が作り出せるような気がします。

文句なく、神評価です。

5

今と昔とこれからを丁寧に描かれた意欲作

難しい世界観や心理描写を上手に描かれた意欲作だと思います。
前作が神作品だったので、今作も期待して読みましたが、オリジナリティある心に響く作品でした。
後半はウルっとくる場面も多いです。
教え子の卒業式で過去の友人が重なったシーンにも、よく考えられてるな!と感服。
ただ、ところどころ、ん?と思うシーンがあり、回収されている伏線に私が気付いていないだけなのか、少し繋がりが悪いと思う部分もありました。
小説のくだりとか2人の気持ちがいつから恋に変わったのかとか。。
あと三雲と八雲の名前が似てて、途中でどっちのこと言ってたっけ?となりました。
普段は飄々としてる攻めの焦った姿が大好きなので、その後の攻めの初めてのささやかな嫉妬には思わずキュン。
黒髪攻めも新鮮で、余裕綽々なところや受けのことあんた呼ばわりするのもツボでした。
よく破綻なく1冊にこのお話をまとめられたと思いますが、中盤以降シリアス展開が続いていたので、欲を言えば2人のラブラブな様子がもっと見たかったです。

3

現世の二人の物語!

早寝電灯先生はデビュー作『半壊の花』が読ませる話ばかりで、2作目も楽しみにしていました。デビュー作より絵も洗練されて、ストーリー運びは淡々としているのに、そこかしこに切ない想いが隠れていて、読めば読むほど心に沁みてきます。

高校教師の八尋と吉武はとくに仲が良いわけではないけれど、吉武は八尋の触れた手に懐かしい何かを感じて…
そして校内新聞に掲載された小説をキッカケに、八尋と吉武は前世のことを少しずつ思いだしていく。
前世の記憶が流れこんで不安を感じる吉武に、八尋は「振り回されないようにしましょう。前世があったとしても今の現実の方が大事だ」と言って落ち着かせる。
この言葉は物語のキーワードです。

八尋の前世・洋介と、吉武の前世・三雲は、戦後の学生で卒業間近。
八尋は進学したかったけれど親に認めてもらえず、三雲と一緒に炭鉱で働くことになった。それを残念に思いながら、一緒にいられることを喜ぶ三雲。
二人の過去は旧友が弾くピアノで一緒に踊ったり、学生生活のシーンしか出てこないけれど、明るくない出来事で命を落としてしまったことが想像できます。

そして生まれ変わっての再会。八尋は「今の現実の方が大事だ」と言っていたくせに、前世と現世の境が曖昧になって、洋介となって吉武を「三雲」と呼ぶ。
そして吉武は八尋を取り戻すために…

ずっと一緒にいたかったのに叶わなかった二人が生まれ変わってその願いを叶える。それは転生物の典型で、読者としても望んでいる展開だけど、本作はただ前世をやり直すのではなく、現世に生きる八尋自身と吉武自身がどこに惹かれてどう感じたのかがちゃんと描かれています!
もし前世で出会っていなくても、記憶を思い出すことがなくても、現世で二人は関係を紡いでいくだろうと思えるのが今作の素晴らしいところです!

ちるちるのインタビューで早寝電灯先生が「人と人とのつながりと愛情があって受け継いでいく」と仰ってました。
前世では学生だった二人が、現世では教師になっていること、そこには過去の二人の願いが無意識のうちに受けつがれていて、現世の人生は八尋と吉武のものだけど、洋介と三雲の想いはこうして続いていくんですね。
(※私は本編を読んだ後でちるちるの作家インタビューを読みましたが、作家本人と編集が答えていることとはいえ、読者が読んで感じ取るべき所まで語りすぎている気がしました。そこまで言わなくても読者は物語から早寝電灯先生の描きたかった想いをちゃんと感じ取りますよ…)

人と人との関わりは、小さなエピソード一つ一つの重なり合いで、その中で想いが生まれて続いていくんだと、あらためて思うストーリーでした。
想いが心に沁みてくるストーリーを描く早寝電灯先生。次回作も楽しみです。

7

素晴らしかった!!

早寝電灯 さんのデビュー作「半壊の花」(特に稲穂シリーズ)が本当に素晴らしくて二作目を待ち望んでいました。しかし「半壊の花」が本当に気に入っていただけに、二作目の出来が楽しみでもあり怖い気持ちもありました。ガッカリしたらどうしよう…と。

結論から言います。素晴らしかったです。この作家さんは読者に伝えたいものがしっかりあって、それをきちんと損なう事なく伝える事が出来る方なんだなと改めて思いました。
ストーリーも前世と現世が登場するものでしたが伏線回収もしっかりしてて、え?どうしてそうなるの?とか、突っ込みたくなる箇所もなく見事にまとまっていました。

前世と現世が入り混じったストーリーです。
高校教師の吉武が読んでいた校内新聞の連載小説の作者名「春沖洋介」。その名前を旧校舎にある書庫に眠っていた昭和30年代の論文に見つけます。偶然の一致にたじろぐ吉武。
連載小説を書いていたのは同僚の教師、八尋である事が判るのですが、その論文の共著者である「坂上三雲」は、連載小説の登場人物名である事も判明し…。

高校教師の八尋と吉武の前世は昭和30年代に生きていた春沖と坂上だったという事が明らかになります。前世の二人は恋人同士で「ずっと一緒にいたい」と願う仲であり、吉武にも前世の記憶の断片が少しずつ蘇り始めます。
しかし吉武よりも、早く前世の記憶が蘇っていた八尋は前世の記憶と現在が反転して前世の記憶のはずだった春沖が主体になってしまい…。

ところどころで前世の二人の記憶が描かれるのですが、「ずっと一緒にいたい」と願っていた気持ちがすごく伝わって、泣けるのなんのって!瞼が腫れたわ。

私がいいなぁと思ったのは、彼達の前世の意識が戻ってきたのは愛しい人にもう一度会いたかったからというだけではなく「俺たちの分も学んでくれ それを次の世代へ、次へ次へと繋いでくれ」というメッセージを伝えたかったからという点でした。
そして春沖や坂上は転生という形で現在に繋がっていただけではなく、彼らの友人達が繋げてきた縁が現在の八尋と吉武にも繋がっていたというところ。
八尋と吉武は子供を作って次世代へと繋げることは出来ないけれど、教師として生徒達に知識を与え繋げることができる。その知識がまた次の世代へと繋がっていく…。
そういった点が、ただの転生恋愛ものにとどまらない深みを作品に与えていたと思います。

それと描きおろしは、前世ではなく今に生きる二人の様子・現代物でしてそれも良かったです。

デビュー作に続いてこちらの二作目も間違いなく私の琴線に触れました。文句なしの神です。半壊の花で泣いた人は、間違いなくこちらの作品も泣きますのでタオルのご用意をどうぞ。

7

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