半壊の花

hankai no hana

半壊の花
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神39
  • 萌×214
  • 萌5
  • 中立2
  • しゅみじゃない3

194

レビュー数
11
得点
268
評価数
63
平均
4.3 / 5
神率
61.9%
著者
 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
シリーズ
EYE'S COMICS BLink(アイズコミックスブリンク・ホーム社)
発売日
価格
¥690(税抜)  ¥745(税込)
ISBN
9784834262841

あらすじ

どんなに長いこと会わなくても、俺はおまえらのこと絶対に間違えたりしない──。
高校時代、そっくりな双子の兄弟・ハルとユウを唯一見分けることができた豊樹。三人の関係はうまくいっているように見えたが、高校卒業と共になぜか双子と連絡が取れなくなってしまう。そして数年後、豊樹が彼らと再会したのは、ユウの葬式だった──…。
切ない約束を巡る三角関係を描いた表題作ほか、三編+描き下ろしを収録した早寝電灯デビューコミックス。


表題作半壊の花

瑞穂遥, 高校生~数年後
芦原豊樹, 高校生~数年後

同時収録作品扉の向こうの凪いだ海

凪, 大学生, 攻め?
緑, 大家, 受け?

同時収録作品嘘つきたちの食卓

料理人の男
物書きの男

同時収録作品稲穂に帰る道

間宮櫂, 高校生, 攻め?
水落幸助, 高校生, 受け?

同時収録作品稲穂につづく道

間宮櫂, 絵描き
水落幸助, サラリーマン

その他の収録作品

  • その後(描きおろし)

評価・レビューする

レビュー投稿数11

心に深く刻みこまれる物語。

表題作「半壊の花」はお葬式から始まります。
短編2つは可もなく不可もなくですが、強いインパクトから始まったこの本は、最後の「稲穂に帰る道/稲穂につづく道」で大きな余韻となって締めくくられます。

●「半壊の花」
主人公の豊樹は、ユウのお葬式で、ハルと久しぶりに会う。
ハルとユウは親でさえ見分けがつかない双子で、時々入れ替わって誰も気付かないことを楽しんでいた。
でも豊樹だけは二人が別人に見えて、ハルとユウは見分けられたことをキッカケに髪色と髪型を変えて、同じ二人ではなく個人になった。三人は親友として高校卒業まで一緒にいたのに、卒業後、豊樹は双子と連絡が取れなくなる。
そしてユウのお葬式が双子との久々の再会…

ハルとユウは同じ二人なことに安心感があったのだと思う。それが豊樹に出会って個人になって、自分を見てもらえることが嬉しくて、もっと自分だけを見て欲しくなる。
でも今まで二人だったのが個人になることは、嬉しい反面、不安もあった気がする。だからハルはユウの提案「豊樹にどちらかを選ばせない=豊樹に会わない」を受け入れたのだと思う。豊樹がどちらかを選んで、豊樹に見てもらえなくなることも、個人であることが確定してしまうのも怖かったんじゃないかな?
臆病な双子と豊樹の三角関係はユウの死によって終わり、ハルと豊樹の新たな関係が始まります。
半身が消えてしまったハル、豊樹の気持ちに気付いていたユウ、ハルと気持ちが通じても豊樹にとってもユウは大事な親友だったわけで…三人の気持ちを想像すると胸が締めつけられます。

●「扉の向こうの凪いだ海」
一人で居る時は怖くて仕方がなかった音が、誰かの腕の中で聞くと違った風に感じる。”音”で関係や信頼を表現するのが斬新でした。

●「嘘つきたちの食卓」
はじまりは恋だったのに、ちょっとしたすれ違いで、セフレ関係を続ける二人。攻めは健気に受けの食事を作り続け、受けも好きだと言えなくて…
焦れったい話だけど、本気だからこそ臆病になってしまう気持ち、すごくよくわかります!

●「稲穂に帰る道/稲穂に続く道」
2話構成。高校生の櫂と幸助は田舎だから恋人らしいことは何もできなくて、稲穂とススキが隠してくれる秋にだけ手を繋げる。櫂が描く稲穂の風景の中には幸助がいる。もう、なんて幼くて初々しくてかわいいの!
でも進路が別れて離れ離れになるのが不安で幸助は別れをきり出してしまう…
そして大人になって、幸助は東京で働くようになり、櫂の絵を見かけて昔を彷彿させる懐かしさから、別人を装ってファンメールを送り、櫂は幸助とは知らずメールのやり取りを続ける。
櫂が描き続けていたのは幸助の手を離してしまった「懐かしい後悔の絵」。ずっと気持ちが続いてきた絵。
幼い恋のやり直しというより、幼い気持ちが続いたままの恋人としてのリスタート、すごく切ないけれど、淡い幸せが胸いっぱいに広がっていくような余韻がいつまでも続く物語でした。

コマ割り線は幅が微妙に違ったり、黒ペンの置き跡も残る、最近では珍しいアナログらしい漫画です。
絵にところどころ拙さを感じますが、コマの見せ方がうまくて、ここぞってシーンが深く印象に残ります。
そして秀逸なストーリー展開!「ストーリーテーラー」って言葉を軽々しく使いたくはないけれど、早寝電灯先生のデビュー作は心に深く刻み込まれ、「ストーリーテーラー」って言葉しか思い浮かびません。
(『半壊の花』を読んだのはだいぶ前ですが、2作目『転じて恋と生き』を読んでからこのレビューを書いてます。今作で頭をよぎった「ストーリーテーラー」、2作目も期待を裏切ってません!)

2

神以外考えられないくらいいい。初めてBLでウルってきました。

短編なのであまり期待していませんでしたが、これは凄くいいです。
かなりオススメします。絵はあまり好みではありませんが内容がよくて全くきになりません。というか、読んでる内に絵もすきになります。

四つのお話が入ってます。短編ものでも満足できるんだ!!と初めて思った作品であり、未だこの本以外で満足した短編集はありません(まだ私が未熟なだけかもしれませんが^_^;)これ短編なのか?と思えるほど内容がよくて、胸にのこります。

一番お気に入りは一番最後の稲穂に帰る道という作品。これ、かなり好きです。田舎の高校生カップルが進路で片方の子が上京し離れ離れになることが怖くて耐えられずお別れするものの、数年後再会する話ですが。描きかたもいいし、切ないけどあったかいんですよ。ハピエンです。短いページ数でよく描けるなぁー凄いなぁと思いました。
いろんなBLよんでますが、泣いた事一度もありませんでしたが初めてウルってきました。悲しくてではなく、なんか、説明しにくいのですが胸にぐっって、きてしまいました。
じわーっとくるいう感覚というか。

改めてページを見ると一つ一つかなり短いのに話をよくまとめられていてこの作者さんは本当に凄いなって感心しました。
短編て大概、なーなーで終わるというか、後は自分で解釈してね、みたいなのとか余韻重視とか綺麗にカッコつけたやつとか物足りないモヤっと感を残すものが多いけど、これはうまくまとめられてます。もちろん続きがみれるなら尚いいとは思いますが
何度も読み返したくなりますし、何度も胸にじわーっときます。
短編集は一冊に一ついいのが、あればいい方と思ってきましたが、これは一冊まるまる全部いいです。
短編のオススメを聞かれたらこれしか思いつかないくらい好きな作品。

デビュー作だなんて信じられない。読んでいて、この方は小説もかけるのではないなかぁと思ってしまう

3

長編映画のよう

絵が男性っぽいのであんまり期待してなかったのですがどれも短編なのに長編を読んだような満足感のある作品でした。
特に私のお気に入りは最後のカップル櫂と幸助。
綺麗な田園風景の広がる田舎でまだまだ幼かった高校生の二人が手を繋ぐのがやっとと言う初々しい描写や都会に出て偶然見かけた櫂のポスター、そこから始まるSNSでのやり取り、映画を見ているような時の流れとかこれがたった60ページ足らずの作品だとは思えないような充実感でした。よくレビューで「短編なのが惜しい!」と書いてしまっていましたが、短編でも時の流れや心理描写など深く書くことができるんだなぁと感心してしまいました。

2

何気ない描写・一文が心の琴線に触れる

2017年度入って初めての神です。文句なしの神。神を10個くらい差し上げたい気分。
自分でも訳のわからない感情に襲われて、瞼が腫れるほど泣いてしまいました。
断っておきますが決して悲しい話ではないんです。バッドエンドでもありません。

これがデビューコミックスとは末恐ろしい作家さんですね。
今後も絶対に追い続けようと思いました。このような作品に出会えた事に心から感謝したいと思います。

全部で4カップルのお話と、書き下ろしでそれぞれのカップルの続きが入っています。
通常短編集だとどれかは流し読みで終わってしまったり、興味をひかないものが一つくらいはあって当然なのですが、こちらの短編集にはそれがありませんでした。
そしてもっと続きがよみたいなぁ・・・、この設定や内容ならもっと長編で描いて欲しかったなぁ・・・といったモヤモヤ感もありませんでした。
短編という制約の中でしっかりと収まるように、過不足なく100%描ききっていらっしゃいました。

心の琴線に触れてしまってボロボロ泣いてしまったのが【稲穂に帰る道】
人の噂が一瞬で広まるような田舎に暮らす高校生カップルのお話です。
切実に惹かれあって求めあっているのに、周囲の目と両親への罪悪感から恋人らしいことが殆どできない二人。

秋になり辺り一面の田んぼが黄金色に輝く季節になった時、それを背景に笑う恋人(受け)の姿を
「その小さめの姿で 振り返って 稲穂の金より明るく笑う」
と書いていらっしゃるのですが、この文章だけで泣けて泣けて・・・
なんなんでしょうね。
なんでこの一文に心が動かされてしまうのか。
一体どういう仕掛けがこの作品には施されているのか。

そして秋になると背よりも高くのびたススキに隠れて、外で手を繋いで歩けることが嬉しかったという彼らのいじらしさ。
そんな彼らが別れてしまって、大人になってからの再会を描いた【稲穂につづく道】
こちらも読み手の希望を余す事なく描ききっていただいたので、ただただ満足です。

短編集でも長編を読んだ後のような心地よい疲労感。
そして泣いたせいで瞼が重い。
しばらくこの余韻に浸っていたいと思います。

3

恋の成就の物語

2017アワード直前企画で、新人部門にストーリー重視センシティブBLとしてオススメされていた作品。
4編の作品が収録されていて、どの作品も確かにセンシティブでいいけど、その中でも、最後の「稲穂に帰る道」と「稲穂につづく道」の連作が一番好き。
ザックリまとめちゃうと、高校生の頃、ちゃんと想いは通じ合っていたのに、同性であることと遠距離に離れてしまう事に怖じ気づいて手を離してしまった二人が、大人になって再会するだけの話。
高校生時代は、田舎なので人目を忍んで、背の高い稲穂にかくれて手をつないで歩くのが精一杯の関係だし、大人になっての再会シーンも、再会しただけで終わっちゃうしで、絵柄も地味だし、激しい展開でもないし、具体的なエロ描写だってほとんどない。
でも、モノローグのひとつひとつに、ジーンときてしまう。
伝えたい言葉がちゃんと伝わってくる作品です。

4

短編集ですがどれも心に残る素敵な作品です

この作品大好きです!
早寝電灯さんは電子書籍のBLinkで「嘘つきたちの食卓」を読んだのをきっかけに知ったのですがコミックを見てどの作品も読み応えがあり素晴らしいのでますます好きになりました。
これから早寝電灯さんの作品が出たら迷わず購入します!

表題作は双子と双子を唯一見分けられる同級生のお話です。 三人の中の誰の視点に立っても切ないお話です。
双子のハルとユウは自分たちをちゃんと見分けられるトヨに惹かれ次第に執着していきます。
トヨがハルに惹かれていると気づいたユウはハルに抜け駆け禁止を持ちかけ二人は高校卒業と同時にトヨとの連絡を断ちます。
交通事故で帰らぬ人となったユウのお葬式で二人は再会するのですが…。

読み終えるまですごく不安でした。
二人がユウを気遣って恋人になり幸せになる事を拒むのではないかと思ったので…。
ハルは双子の片割れを失った喪失感、自分だけ幸せになる事への罪悪感から躊躇いがちでしたがトヨが男らしい性格なのでこの二人は大丈夫だなと思いました。

「嘘つきたちの食卓」も大好きな作品です。
二人ともちゃんと相手が好きでこれは絶対に恋なのに身体だけの関係から一歩も動けない。
傷つくのがこわい、友人としても失ってしまうかもしれない、すごく共感できて切ない気持ちになりました。
「強がりを看破してくれ」がとても印象的でした。
攻めに恋人がいると思い込んでいて本当は傷ついてるのに強がっている受けがかわいそうでした。
攻めは受けのために料理を作ったり洗濯したりすごく尽くしていて優しいのですが、早く彼女と別れた事言ってあげればよかったのに!と思いました。

どの作品も書き下ろしでその後が読めて嬉しかったです。
電子書籍で購入したのですが紙でも欲しいので購入しようと思います。

2

繊細で美しい言葉たちが綴るあたたかな短編集

短編集ですが、どの作品も読みごたえがあり、まるで良質な短編映画を観ているような気持ちになりました。短編なのに、そう思わせない濃密な時間が詰まっている、という感じで…。

繊細で美しいモノローグやセリフの数々、丁寧なストーリー展開、登場人物たちの人間らしい不器用さ…。派手な作品ではありませんが、読み終わったあと心がじんわりとあたかかくなり、優しい気持ちになれます。

特に私は、最後の「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」のお話が好きでした。
「稲穂に帰る道」では田舎の高校生の健気な恋が描かれています。噂になるのことへの恐れや、親への罪悪感から恋人らしいことはできなかったけれど、秋になると稲穂とススキに隠れてこっそり手をつなげるのが嬉しかった、という幼くもまっすぐで純粋な恋心に胸が締め付けられました。

そのふたりは一度別れてしまうのですが、大人になり再会するまでを描いたお話が「稲穂につづく道」です。
バラバラに東京に出てきていたふたりが、とあることをきっかけにメールでやり取りするようになり…という、一途な恋心が再び実を結ぶ様子は、一度別れを見ている分、よかったね…!と心から思える展開で、最後のシーンでは涙してしまいました。本当にいいラストでした…!
描きおろしのその後も、とてもよかった。

モノローグやセリフの言葉が、胸に響く美しさで、絵はまだ少し粗削りな感じもありますが、雰囲気に合っていると思いました。

一話一話が丁寧に作られていて、何度も読み返したくなる(実際に何度も読み返している)作品です。

4

切ないのとキュートなの、どっちも有り

高校に入学した豊樹(受け)は、ある人気者の双子と出会う。その双子は、親からも間違われるほどの同じ顔をしていたが、豊樹が2人を見分けられることに気づき、懐いて付きまとってくるようになる。双子のハル(攻め)とユウは豊樹に執着していたが、高校卒業後に連絡が途絶え…。


親でも間違える双子を完全に見分けられる唯一の存在、というのは鉄板の萌えだと思います。
誰も自分たちを見分けられないので、見分けられる人が現れるのを待っていた双子。受けが完全に自分たちを見分けられる、と気づいた時の2人のテンションの高さが微笑ましいです。
そのまま友達づきあいをしていた3人。なのに高校卒業後に双子からの連絡が途絶えます。そして数年後、受けは双子の片割れ・ユウが死んだと知らされます。(片割れの死はかなりのネタバレだと思うのですが、本の裏表紙のあらすじに明記されています)

とても切ないお話でした。
自分たちを見分けてくれる受けを見つけて、子供のように喜んだ双子たちの微笑ましさと、その後受けに対する恋愛感情が双子双方に芽生えてしまった切なさとのギャップが大きく、可哀想でなりませんでした。
受けくんの方も双子だったら良かったのにな、とアホなことをつい考えてしまいました。或いは3Pじゃダメだったのかな、とか。

受けが双子を見分け、その内のハルに惹かれた、という流れなのですが、そのハルに惹かれたシーンがワンエピソードしか描かれていなかったのが少し残念ではありました。ハルじゃないとダメだという理由があまりハッキリしなかった。
あと、ユウが可哀想で切なかった。


他にも短編が3本収録されていましたが、どれもとても良かったです。
怖がりなアパート管理人と店子の話、セフレ関係の料理人と物書きの話、田舎の高校生たちが進学を機に別れ、のちに再会する話。
個人的には料理人×物書きのお話が可愛くて好みでした。大人同士のセフレなのですが、最初に関係ができた時にボタンを掛け違ったせいで両片想い状態に陥っている2人。
受けが好きでせっせと料理を食べさせ、世話を焼いているのにちっとも気持ちに気づいてもらえない攻め、天然で生活能力に欠けまくりのちょっと抜けた受け、どちらも大人ならではの可愛らしさで、ニヤニヤしながら読んでしまいました。
描き下ろしの、くっついたあとに同居することになるエピソードにすんごく萌えました。

3

良作ばかりの短編集

短編集。どの作品もとても良かったです。

「半壊の花」
双子x同級生。
親でさえ見分けのつかない双子のとりかへばやゲームを終わらせたトヨ。
ハルとユウは「抜けがけ禁止」のルールを勝手に作ってトヨとの連絡を絶つが、ユウが事故死してしまう。
三角関係、とあるけど決して三角などではない。当時からトヨはハルに惹かれてて、トヨにとってはユウとハルはちゃんと別人だった。
2人を同一視してたのは彼ら自身。喪失感は、トヨを得るハルの罪悪感。

「扉の向こうの凪いだ海」
すごく雰囲気のあるお話。設定が良い。
ざっといえば、大家さんの青年と、部屋を借りている大学生のお話。大家さんの緑はお化けの怖がりさんで、大学生の凪はお化けより怖いオオカミさんじゃないの?という…

「嘘つきたちの食卓」
料理人xライター。セフレ?
始まりの時の行き違いから、どうも心がすれ違ったままきてしまった2人。
『潮時だ』と心で思ってるモノローグからのハピエン。もっと早く言えば良かったのに!

「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」
高校時代の淡いけれども真剣な恋心。進路が違って別れてしまった。
何年も経って片や新進画家、片や結局自分も上京した会社員。偽名を使ったメールのやり取り。
そして…
高校時代のほんっとに人目を気にした付き合い、好きだけど別れる気持ち、大人になってからまた思い出すときめき、あの頃個展開いたら行くよ、って言った約束…それは自分自身への約束でもあったんですね。読んでて胸が一杯になりました。

「その後」
各話のその後が、描き下ろしにて少々コミカルに。

6

味わい深き珠玉の作品集

早寝電灯さんのデビューコミックス。
表題作を含め4つの物語と、巻末にそれぞれの”その後”が描き下ろしで収録されています。

〇半壊の花(前後編)
入れ替わりをゲームのように楽しむ双子と、それを見破った同級生の物語。
双子の片割れの”死”を起点に、3人が出会った高校時代に遡ることで、現在の痛みや切なさを伴う喪失感が非常に巧く描かれた良作。
特にクライマックスからエンディングにかけてがすごく良かった。

〇扉の向こうの凪いだ海
下宿人大学生と、怖がりの大家さんのお話。
こちらは早寝電灯さんのデビュー作で、眠れない夜に読みたくなるような、絵本のような物語BL。この雰囲気、好きだなあ。

〇嘘つきたちの食卓
料理人と物書きのお話。
男同士のデリカシーのない体の関係。気持ちはあるのに中々踏み込めなくて…
不安な気持ちを表現した物書きのモノローグや泣き顔がとても良い。料理人らしい攻めの最後の台詞もじんわりキュン!『その後』も含め、一番好みのお話でした♪

〇稲穂に帰る道 / 稲穂につづく道(稲穂シリーズ)
『稲穂に帰る道』では高校時代、『稲穂につづく道』では大人になってからが描かれた、切なく瑞々しい田舎の同級生BL。
田舎の噂話への恐れ、両親への罪悪感、そんな中で精いっぱい育んだ淡く幼い恋心。稲穂とススキに覆われてできた、”恋人らしいこと”があまりにも健気で初々しくて涙が出ました。『その後』がめちゃくちゃ可愛かった♡

--
先のレビュアー様も書かれていますが、どの作品も引き込まれる物語ばかり。
キャラクターやストーリーが本当によく練られているし、心理描写も非常に丁寧で、それに伴うキャラクターの表情もとっても魅力的。

個人的に最も惹かれたのは、作中のモノローグです。時に抒情的に、また時に恥ずかしい程ド直球。でも、だからこそ胸に響き、熱を灯してくれる。
あと、タイトルセンスがもう、すごく好きです...

奇をてらうストーリー展開や刺激的なベッドシーンはないし、画が少し粗削りに感じる部分もあるけれど、読後じんわり温かな余韻をもたらしてくれる味わい深き珠玉の作品集。おすすめです!

追記:当初”萌×2”と評価しましたが、繰り返し読み作品と向き合った結果、”神”に変更致しました☆

10

心揺さぶられる作品の数々

凄く良かったです!!
デビュー作とは思えない完成度の高い作品でした。
とにかく心が揺さぶられました。
絵柄も表紙から受ける印象とは違い、味があって感情豊かに描かれていて好きです。
特に受けがどれも目つきが悪くて男前で真っ直ぐな気性で好き。
表題作は前後編の短いお話なのに、ぐっと世界観に引き込まれてしまい、思わず泣いてしまいました。
短編の田舎の高校生同士のプラトニックな関係性も情景描写が目に浮かぶようでした。
なんて青くて切なくて懐かしいような焦がれるような気持ちになるのでしょうか。
短編でここまで心揺さぶられるのは珍しいです。
その他のキャラクターもそれぞれに生きていて、感情がよく分かるからこそ、一緒に切なくなったり嬉しくなったりできました。
あらすじを書くと陳腐にしか表現できないので、ぜひ手に取っていただきたいです。

9

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