小説

  • つがい知らずの獣たち
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27

つがい知らずの獣たち

tugaishirazu no kemono tachi

  • 電子単行本

あらすじ

――“つがい”を知らないふたりが、愛の意味を見つけるまで。


かつて世界には、アルファ・ベータ・オメガと呼ばれる三つの性が存在した。

あるとき、それぞれの性だけが生きる世界へと分かたれ、“番”という絆は、誰の記憶からも消えていった。

獣人の街・トドレーンで働く虎の獣人オズ。

疲れ果てた彼が、唯一心を取り戻せるのは、森で“獣の姿”に戻るときだけだった。

そんなある日、森で倒れていた青年・タクマを拾う。

異世界から迷い込んだ“ニンゲン”――耳も尻尾も持たない、不思議な存在。

それぞれまったく違う世界で生きてきたオズとタクマ。

――これは、世界が愛を忘れたその先で、“つがい”になったふたりの物語。

作品情報

作品名
つがい知らずの獣たち
著者
サブロー 
イラスト
うごんば 
媒体
小説
出版社
aito
レーベル
ラヴィノベルズ
電子発売日

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萌々

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レビュー数
1
得点
14
評価数
3
平均
4.6 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数1

このオメガバースはひと味違う

かつて共存していた、3つの性…α、β、Ω…が、それぞれに生きる世界を分け、つがい関係が実質結べなくなってしまった世界観のお話。そこに、異世界トリップと獣人設定も加わって、これまで慣れ親しんだオメガバースとは毛色の違うオリジナリティをたっぷりと味わうことができる物語でした^ ^

設定的にはオメガバースですが、何せとうの昔に3つの性の概念が失われてしまったという世界なので、主人公2人には明確に示されたαとΩの性差がありません。ただ、本能的のままに番ってしまったことから、2人が確かにαとΩであることは間違いのない事実です。
なので、タクマに発情期が訪れるのも何でって感じだし、お互いの匂いに惹かれ合う理由も分からない。厄介なのは、その症状を誰にも相談できないってことでしょうか。オズとタクミの身に起きていることは、皆が知り得ない未知の状況だからです。

そもそも、タクミが異世界からいきなりやってきた"ニンゲン"ってところも、この世界でのイレギュラー案件なわけです。
バース性の知識がない。種族も違う。自由が制限された2人だけの狭い世界。無知な2人が本能に抗えずに突き進むしかないのは一目瞭然です。
でも、全てが分からないというのはそんな悪いことでもなくてですね、発情期にはリミッターが外れやすく、2人の関係が急速に縮まっていきやすい展開は、恋愛の進み的には優位に働きます。特に攻めのオズはヘタレの慎重派さんなので、本能が手助けしないと一歩も前に進めなさそうなんですよね(笑)
告白もうまく締まらないし、モタモタしてる感じはちょっと頼りないけど、αだからスパダリでなきゃならないことでもないし、オズの気弱な陰キャ性格はよくあるα像っぽくなくて逆に楽しめました^ ^

オズの親友たちをも巻き込んでの2人の恋愛劇は、誤解やトラブルもありましたが、タクミのコミュニティが広がっていく和やかな雰囲気作りにもなっていて、いい読後感に繋がりました。
そんな2人にはいつか家族が増えるかも知れませんね^ ^
そんな先の未来を妄想するのも楽しく、読み終わっても続く余韻にホッコリと浸りました。

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