• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作華やかなロマンス

日下崇文 ホテルグループ経営者
椎堂和泉 花屋の店員 24歳

その他の収録作品

  • 高慢なロマンス
  • 薔薇色のロマンス

あらすじ

「可愛くて才能があって、わたしを虜にした。君はもう少し、自分の力を信じる必要がある」それは和泉を勇気づける魔法の言葉。両親を亡くし、花屋のチェーン店を営む伯父夫婦に育てられた和泉は、華やかな容姿で人気のフラワーコーディネーターである従兄弟・伸行の陰に隠れて生きてきた。しかし、ホテルグループ社長の日下に出会い、その日常は一変する。大人の余裕で甘やかされ、アレンジメントの腕にも自信を与えられた和泉。会うたびに日下に惹かれていくが、彼が伸行とキスしているところを見てしまい――。
出版社より

作品情報

作品名
華やかなロマンス
著者
橘かおる 
イラスト
高峰顕 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576081854
2.3

(3)

(0)

萌々

(0)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
5
評価数
3
平均
2.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

色々と意外性のあった作品でした

表題作の「華やかなロマンス」は、ちょっとひねくれ者のホテルグループの経営者・日下と、謙虚で純粋(ちょっと天然)な花屋の店員・和泉の、「プリティーウーマン(マン♂)」的な恋愛が描かれます。

和泉は両親を事故で亡くし叔父夫婦の家(花屋)に引き取られたのですが、その家の一人息子(和泉にとっては従兄弟にあたる)伸行の存在に押されがちで、自分の魅力に気付かずにおり、何事にも謙虚過ぎる態度で接しています。一方日下は黙っていても周りに人が集まって来て、媚を売られるような立場にあるため、物事に対して裏を考えてしまうところがあります。

そんな二人が出会う訳ですが、最初は和泉の純粋さを日下がめずらしがり、完全に面白がるつもりで関係が始まります。「お前は何様なんだよ!」と日下に対して苛立ちを感じてしまったのですが、徐々に面白がるだけではなく本当に和泉に惹かれて行き、また和泉も日下と接していくことで隠れていた才能や魅力を発揮していくことになります。

そしてお互いの気持ちを伝え合い二人はカップルになり、「高慢なロマンス」でその後が描かれるのかと思いきや、こちらは和泉の従兄弟・伸行の話でビックリしてしまいました。
「華やかなロマンス」での伸行はちょっとイヤな奴で、和泉に対して常に高慢な態度で接していたのですが、それはあくまでも好きな気持ちの裏返しで、結局モタモタしている間に大事な和泉を日下に盗られてしまった訳です。まぁ同情すべき部分はあっても、最初は伸行の話なんていらないよ!と思っていたのですが、読んでいるうちにそんな気持ちは薄れ、いつの間にか普通に楽しみながら読んでいました。

失恋して酔い潰れた伸行は誘ってきた男と一晩を共にし、その後も身体の関係を続けて行きます。伸行の相手について特に気にしていなかったのですが、途中でそれがある人物と同一人物であることが分かった時は「お前だったのか!」とかなり驚いてしまいました(全然予想していなかった人物だったので…)。

「華やかな…」カップルは和泉が恋愛(Hも)初心者ということもあり、ウブなやり取りが続いていたのですが、「高慢な…」ではちょっとすれた感じの伸行が主人公ということもあり、「華やかな…」とはまた違ったアダルトな雰囲気になっていて、違ったタイプの話が読めたのが良かったです。

「薔薇色のロマンス」は再び日下×和泉カップルの話になるのですが、もう完全に日下は和泉に頭が上がらなくなっていました(笑)。和泉を喜ばせようと日下はお風呂に薔薇を浮かべるのですが、花を愛する和泉からすればそれは嬉しいサプライズでも何でもなく、むしろNGな行動なんですね。それで日下は怒られて拗ねてしまうというシーンがあって思わず笑ってしまいました。

4

2カップル入ってるとこがポイントかな

帯『無垢な瞳が、欲情にとろりと溶けるところを見てみたい』

メインカップルとサブカップルと2カップルの話が入ってます。
メインはホテル経営者日下[攻]と、両親を亡くし伯父夫婦の元で育った和泉[受]とのシンデレラストーリー。
従兄弟の伸行によって、フラワーコーディネーターの才能も容姿も無自覚に抑えられている無垢で純粋タイプな和泉、日下は彼に興味を持ち己の手でその才能を開花させ自信を持たせるという王道パターン。
ただ和泉に虐げられているという自覚が全く無いのと、のんびりというか呑気な性格してるのでこのカップルだけだと読み応えは無いです。

後半のもう1カップル、和泉を虐げていたけれど実は彼を愛していた伸行の捻くれ愛が気の毒なんだけど読んでてなんか微笑ましい。
和泉を日下に取られて、失恋して酒に酔った伸行の前に現れた男。
後腐れのない一晩限りのセックスの筈が、2度になり3度になりと回を重ねる様になり定期的にセックスする仲に。
最後まで素直じゃない伸行ですが、こちらはこちらでくっついて2カップル誕生。

自分は本来、純粋健気受が好きなので好み的には本当なら和泉がタイプの筈なんですがどうも彼にはさして萌えを感じず、好みからやや外れた伸行の方が楽しく読めました。
純粋受と、ツンデレ受との王道が2パターン読めるのとその組み合わせはいいです。
話的にはどちらも王道でサクサク読めて目新しさはあんま無いです、ただこの対照的な2人の話が1冊に収まっていた所はバランスいいとは思う。
そういう意味では萌、話的にはイマイチなんで中立。

0

三角関係?

 両親を亡くし、花屋のチェーン店を営む伯父夫婦に育てられた和泉。
 和泉は、華やかな容姿で人気のフラワーコーディネーターである従兄弟・伸行の陰に隠れて生きてきた。
 けれど、和泉はそのことに何の不満も抱いておらず、ただ花を触れることを幸せに感じていた。

 しかし、ホテルグループ社長の日下に出会い、その日常は一変する。
 最初は、和泉が自分のコネやカネを目当てに近づいてきたのだと思った日下だったが、そうではないことを知り、また、和泉も気がついてない和泉の魅力に気がついた日下は、和泉を磨こうとあれこれ和泉を構い始める。
 洋服を変え、少しでも自信を付けられるように甘い言葉をささやく。

 そうやって日下に大人の余裕で甘やかされ、和泉は少しずつフラワーアレンジメントの腕にも自信を手に入れる。

 会うたびに日下に惹かれていく和泉だったが、日下が伸行とキスしているところを見てしまい――という話でした。

 伸行にわざと似合わない地味な服を着せられ、自分のやったフラワーコーディネートさえも、ちょっとだけ変えて、伸行の作品として発表されても文句の一つも言わない和泉。
 伸行が自分にまさか間違ってることを言ってるなんて、一つも思っていない純粋で天然でおっとりさん。
 そんな和泉の目を開かせたのが日下で、和泉はちょっとずつ見た目も華やかに、中身も前向きに変わっていく。

 そうなっていくと面白くないのは伸行で。
 実は今まで自分の才能だと思っていたのがしょうじゃないことがばれる恐怖。
 おまけに自分にはちっともなびいてくれなかった日下が、あっさり和泉になびいたことに対する嫉妬。
 そして何よりも、和泉を手元にとどめていたかった少しねじれてしまった想い――。
 全部がぐちゃぐちゃになって、伸行は和泉につらく当たってしまうのだけれど――と。

 個人的には、一番よくわかるのは伸行の想いだったりするのかな……と思います。
 一番かわいそうな役回りでしたが。

 まぁ、割とBLによくある感じなので、こんな三角関係(?)がお好きな方にはオススメしておきます。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP