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表題作銀のレクイエム

ジオの若き帝王:ルシアン
吟遊詩人:キラ

あらすじ

二年ぶりのジオに帰って来たキラ。懐しい故郷--そこには愛しい男がいる。男の名は、若き帝王ルシアン。二年前、愛しあうふたりをある出来事が引き裂いた。愛と憎悪が錯綜する、めくるめく愛の鎮魂歌。

作品情報

作品名
銀のレクイエム
著者
吉原理恵子 
イラスト
波津彬子 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784044342029
4.8

(17)

(15)

萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
82
評価数
17
平均
4.8 / 5
神率
88.2%

レビュー投稿数5

ひたすら美しく、儚い物語

『間の楔』で有名な吉原理恵子さんのファンタジックな名作。
情念・執着をハードに書かせたら天下一品な作者には少し珍しく、
儚げで抒情的、少女マンガ的な作品です。

相手を思うあまりに起こる悲劇が、静かに美しく描かれていて。
ふと気がつくと、ラストで涙がボロボロ。
愛というのは愚かで悲しく、なんと美しいものかと。感動しました。

私は「小説JUNE」で掲載されたものと、
今回レビューを書かせて頂いたルビー文庫版を読んでいますが。
やはり一番初めに読んだ印象が強くて、小説JUNE版が好きです(文庫は加筆修正有)。
実はこの作品は、私が初めて泣いたBL小説でした(笑)

昨年KAREN文庫から復刻版も発売されて、手に入りやくすなりました。
これを機会に色んな人に読まれて欲しいと思う作品です。
あと、この作品はドラマCD化もされています。そちらもおススメです。

10

まさに名作中の名作。

国王ルシアンと吟遊詩人キラとの愛憎話。
愛と憎しみは表裏一体で、憎しみを激しくするのは愛であり、それを払ってしまうのも愛。
最近CDと文庫を手に入れたのですが、レビューでは何処も大絶賛。涙でバスタオルが必要だとも書かれてあったので、名作として有名だったのですね。

いやー…読んでいる間はルシアンが許せなくて、キラがあまりにも可哀相で…辛い事の連続なのですが、泣く事はありませんでした。
一体何処で泣くのだろう…???と読み進めてラストシーン。

ええええええええええっ!!!!!!!?と驚いてしまいました。。。
今まですれ違い続けた関係をルシアンがそんな形で愛を表現するとは思いもよらず…。
大 号 泣 で す。バスタオル程ではありませんでしたけど…。
背筋がゾッとしたりしました、あまりに衝撃的で…。
これは当時としても物凄いんじゃ…。凄い、凄いよ!!
耽美…いいですね耽美…。
みんなに是非読んで欲しい…。

9

大号泣です

名作との噂があったので読んでみました。
ファンタジー系は苦手なので不安だったんですが、ガッツリやられました。苦手といってもやっぱり作品次第なんだなァと改めて思い知らされました。
ストーリー自体は平坦で分かりやすいです。ひねった部分はなく、そうなる場所へと真っ直ぐに進んでいく。
耽美な文章に酔いながら読み、分かってたはずなのに、最後はもう涙が止まらなくなって、エライコッチャでした。
間違いなく名作です。

4

目から涙の大洪水

BLという枠組みからはちょっと外れそうな感じです。
本を読んでいるというよりは、良質の舞台のお芝居でも観てるみたいな錯覚を起こします。

愛と憎しみは紙一重

と使い古された言葉のようによく言われますが、まさにその紙一重を体現しております。それも徹底的に容赦なく。
ここまで容赦ない攻って、BL界広しといえどそういないかと……。
おまけに究極の勘違いとすれ違い。
受の流転の末の結末が、もう涙無しには読めません。
攻の心情を思うと、これまたやりきれません。
安易な○ネタはどうかと思いますが、ここまでこじれてご都合エンドだと、逆に白けたと思うので、これはこれで最善の結末だったと思います。
読み返すには勇気がいりますが、なかなか手放せない本のひとつです。

1

深い情は凶器にもなる

中古本の価格に驚いた
銀のレクイエム (角川ルビー文庫) を購入しました、350円
Amazonの中古本を探したら、銀の鎮魂歌(レクイエム) (KAREN文庫Mシリーズ:イラスト小島文美 )の価格にびっくり。1万円以上の値がついている。。。はやく電子書籍を出して欲しい。買占めはティッシュだけにとどめて欲しい。
内容に応じた価格が付いているのなら、仕方ない。名著なんでしょうね。

★まず、あとがきから先に読みました。
著者が「少女漫画だ」、と書評しています。誰かに漫画化してほしかったのだそう。
たしかに絵的な描写が多いので、キラの哀れさが増して感じます。

★あとがきの、「二か所どうしても見たかったシーンがあり、そのために字を埋めた」という、そこから読みました。

一つ目は、
余命いくばくもない弱ったキラをルシアンが馬に乗せて、キラがルシアンの手に自分の手をそっと重ねる場面。
・・今更ゴメンじゃすまない、ルシアンを思い切り泣かせて苛めて欲しい所。

二つ目は、
キラが逝ったあとの、ルシアンとの幻の逢瀬の場面。
・・ここの幻は魂魄と捉えた方が良さそう? ルシアンの妹もキラを目撃したことになってます。

・・確かに、この二か所は書き込みが丁寧で、がっつり泣ける。そして、この二か所の為の序章が本文、と捉えて読むと、ナルホドな展開。

キラ:父親不明が気になるルシアンの乳母兄弟。お人よし過ぎる主人公。ルシアン一筋。
キラが好きな花=ナイアスは、桜のような花でしょうか?

ルシアン:情が深すぎて重たい人。ルシアンは、真実を見る目と聴く耳を持っていなかった。悲劇によくあるキャラ。

イリヤ:ルシアンの妹。恋人の逢瀬の仲介を頼んだ事の誤解だと、直ぐに説明をしなかった酷い人。全部は、お前のせい!

禅問答で、和尚に「この世から争いをなくすことはできるのか」と問うた時、
師匠は「人に愛がある限り、争いは消えない。愛と憎しみは背あわせの一つのもの」と「自分を知り、自分の心を御する事が大事」と諭されたことを思い出しました。
ルシアンは、自分の心の中の暴走する牛を制御できなかった為に、掛買いないキラを失ってしまった。

JUNEには悲恋、バットエンドが多いです・・無常な不条理に対処する方法を考えさせる良いテキストになっていると思いました。

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