フリーター×お笑い芸人の夢に懸ける恋!

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表題作夢で逢えたら

白瀬大河・飲食店アルバイト店員・27歳
鈴木律・お笑い芸人で放送作家・27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

相方に報われない恋をしている若手芸人の律。 一昔前は一世を風靡した「サトスズ」も相方の佐藤が人気俳優となり解散寸前。 先のない仕事に不毛な恋・・・袋小路に陥った律を救ったのはラーメン屋開業を目指して努力するフリーターの白瀬だった・・・!!

作品情報

作品名
夢で逢えたら
著者
谷崎泉 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784796400626
3.7

(10)

(2)

萌々

(3)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
37
評価数
10
平均
3.7 / 5
神率
20%

レビュー投稿数3

想いは重い。

電子書籍版を購入。
挿し絵あり、あとがきあり。

「神」評価です。

久しぶりにガツーンとくるものを読ませてもらいました。
いやー、何度も泣きました。

受けの律の想いに泣き、
攻めの白瀬の想いに泣き、
コンビの相方の賢介の想いに泣き。
そして、コンビに対する想い、お笑いへの想い。

想いって、重い。
前半はひたすら重い。
八方塞がりで閉塞感漂う前半。
登場人物だけではなく、読者の私達も、この重さにつぶれそうになります。

それが、後半にガラリと変化します。
前半の重さが嘘のように、動きます。
目標にむけて、ひたすら疾走します。
それが、よかった。

賢介サイドの話も読みたい気がするけど……やっぱり、いらない。
これはこのさじ加減が神だと思うのです。

報われないとわかっていて、それでも諦めることのできない長い長い片想い。
相手にもこちらの気持ちが届いているのに答えてもらえない。
かといって離れることも出来ない。

こんな話、そういえばありました。
樋口美沙緒「愛はね、」
この作品にも神評価をつけたんだった。
こんなシチュエーションに萌えるあなたには、こちらも、オススメです。

2

お笑いの世界を舞台に、手堅く読み応えのある良作

谷崎さんの描くお笑いもの。
今まで読んできた筆者の作品とは世界が違うのだが
安定感のある筆力は健在で、気持ちよく読める。

舞台は芸能界。
高校の同級生で、お笑いコンビを組んで8年になる賢介と律。

ツッコミの律は、高校時代から賢介に片思いをしているが
ブレイクした時期を過ぎ、二人はコンビとしても微妙な時期に来ている。
ボケの賢介は、お笑いではなく俳優として売れっ子で、解散の危機。

そんな中出会った白瀬くん。
財産は大鍋、何か夢を抱いての貧乏暮らしの模様。
丁度住処を失くした彼を、ひょんな経緯から居候させるのだが……。

彼の新しい恋と、コンビの再生とその後が
絡まり合いながら同時並行に進んでいく。
お笑いコンビとしては風前の灯火だった彼らが
息を吹き返してコンテストに挑んでいくさまとその後は
都合がいいと思わなくはないが、なんともテンポも小気味もよく
ワクワクと気持ちよく読める。

相方とか、同級生とか、長年の思い、とかがツボなのだけれど、
そこで相方が振り向いてくれて、とならない所が
この話のいいところだろう。
苦しい片思いの果てに古い恋を諦める様も、新しい相手と近づく様も
丁寧に描かれていて、彼の気持ちに寄り添いながら
納得して読む事ができる。

お笑いの世界の雰囲気はあるんだけれど、
実はネタはなんにも出てこないのも面白い。

最後に一言、ラーメン食べたい!(笑)

4

あれは究極のプロポーズの言葉だと思いました。

いつもの書店で特典つきフェアがあり、その時に初めて知り、
その機会に購入しました。

この作品は280ページほどあるのですが、そのうち約半分、
160ページくらいまで受けの律くんの辛く苦しい思いばかりが
書かれていて、もう律くんの辛さや苦しさがヒシヒシと
ずっと伝わってきて、もう痛々しくて見ていられなくて、
こちらの読み手が耐えきれないくらいでした。

律くんの長年の想い人で相方の賢介くんについて、
やはり攻めの大河くんの言うように残酷だと思いました。
賢介くんの本心が全く書かれていなくて、律くんの解釈でしか
賢介くんを知ることが出来ないため、賢介くんの本性が分からないので、
律くんの解釈だけで捉えると、賢介くんは悪い人ではなく
無自覚の罪作りな人だと思いました。
しかし、それでもやはり最初から律くんの想いを知っていて、
律くんに対して今まで行ってきた行動や言動は、
やはり酷い人だと思いました。
賢介くんが良い人であれば良い人であるほど、
その残酷さがより際立つように思いました。

後半は「マンパチ」と呼ばれる漫才コンテストが中心の内容で、
実在したM-1グランプリがモデルになっています。
そのため、律くんや周りの人たちとコンテストの関わりや方向性が
とても分かりやすくなり、読みやすかったです。
M-1グランプリを観ていた記憶が鮮明に蘇り、懐かしみながら読みました。

前半の苦痛の反動からか、律くんと大河くんの遣り取りが
とても仄々としていて、安心できました。
三池先生の挿絵の温かさがとても心に沁みました。

最後に律くんが大河くんに「○○杯、先払いさせて」と言った台詞が
一番、印象に残っています。
毎日、一日一杯ラーメンを食べたとしても約20年は掛かるということで、
本人はプロポーズのつもりは全くなく言ったと思いますが、
これは究極のプロポーズの言葉だと、名台詞だと思いました。

今回の評価は、あまり迷うことなく「萌」です。
やはり律くんの苦しい思いが作品の半分以上を占めているのが
一番の要因です。
50ページくらいまでならまだしも、100ページ、150ページ以上も続くと
精神的だけでなく体力を非常に消耗してしまいます。
また、律くんがようやく幸せになれたところで終わっているので、
二人の幸せな様子をもっと見てみたいと、物足りなさで一杯です。
その二点 以外は、物語の内容や展開、人物設定や挿絵など、
基本的には良かったので、この二点のバランスが良ければ
「萌×2」評価にしていたと思える作品です。

3

霧島伊都

snowblack 様

コメントありがとうございます (^^)
私のレビューで共感して頂けた箇所があったようで、
とても嬉しいです。

同人誌については思い浮かびませんでした。
私も気になったので、谷崎先生のブログや某書店などを
大まかに探してみましたが無いようでした。
もし同人誌が出たら(出ていたら)ぜひ読んでみたいです。

snowblack

霧島伊都さま

こんにちは、snowblackと申します。
今までレビューの入っていなかったこの作品、
たまたま丁度私も読んだところでして
近いうちにレビューを書こうかしら?と思っておりましたら、
霧島さまのレビューが……
奇遇と思いましてコメントしたくなりました。

私はもともと谷崎作品が好きですし、片思いも大好物ですので、
期待以上に楽しんで読みました。
確かに、幸せになったその後の様子は読みたいですね。
同人誌で出ているのかしら……

そして。
「○○杯、先払いさせて」は究極のプロポーズ!
本当にそうですね。
霧島さまの一文に言い得て妙と深く頷いたのでした。


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