イラスト入り
――身代わりの恋。
出版社によるあらすじや帯の文言からは、過保護で甘々な年上の男にロックオンされちゃった学生くん危うし!みたいなストーリーを想像すると思う。
実際…
恋に奥手な主人公の愁が逆ナンデートで女の子を待っている場面から始まります。
ところが、突然その子の兄だと名乗る男がやってきて、妹は渡さん!と急に殴りかかってくる。
愁は何が何だかわからない殴られ損。
ところが、その妹本人は兄に隠れて本物の恋人と駆け落ちするために何の関係もない愁をダミーに使っていたのです。
そんな最悪の出会いなのに、後日謝りに来た高宮に憧れの気持ちを抱き…
…と展開する。
ここで正直、こんな簡単なBL展開じゃつまんない話だなぁ、と感じました。
高宮は若いけれどアンティークジュエリーの会社社長で、愁はオフィスに招かれてついていきます。
そこで、地味なのに何故か目を引く指輪をふらふらと指に嵌めてしまうのですが、指にピッタリ密着してしまい何をやっても抜けなくなる。
その指輪は、持ち主に不幸が降りかかる、という言い伝えがある不吉な指輪だった!
ここまで読んでもまだコメディかしら?なんていう気でいました。
しかし…
ふと気付くと愁と同様、高宮の奇妙さに取り込まれ、蟻地獄から出られない恐怖を感じると思います。
これは、いわば愛の恐怖。いや、愛なのか?
ゾクっとくるストーリーがお好きな姐さんに大おすすめいたします。
気がつくと戻れない…このザワつきを体感していただきたいのでレビューはここまで。
一言でいうと、攻めの過保護の度がすぎていて…って感じです。
この作品は人によって評価は変わると思います。
いままで天涯孤独で他人に頼ることがあまりなかった愁は「和宏と長く付き合うほど別れが辛くなる」とずっと悩んでいるのに…。
気持ちを伝えるのが不器用な攻めと執着しないように距離をおこうとする受けっていう設定はよかったです!!