過去の男に惑わされる囚われの恋

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作彼は彼の唇に抗えない

須藤葵,大手企業会長の孫で宣伝部部長
川村瑞季,中堅広告代理店社員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「おまえは、やっぱり男に抱かれるのに向いてるよ」
 広告代理店に勤める瑞季は、大手取引先のオリエンテーションで、高校時代の初恋の先輩・須藤と再会する。当時、須藤に可愛がられ戯れにキスまでされた瑞季は、強く彼に惹かれていた。しかし、幼さから須藤に軽蔑されるような別れ方を選んでしまった瑞季。須藤は、お互い楽しもうと、あの頃のように瑞季を誘ってくる。彼の唇に、惑わされ翻弄される瑞季は!?

作品情報

作品名
彼は彼の唇に抗えない
著者
義月粧子 
イラスト
森原八鹿 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048918268
3.7

(28)

(6)

萌々

(13)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
103
評価数
28
平均
3.7 / 5
神率
21.4%

レビュー投稿数4

泣き虫瑞季、頑張る!

ストーリーとしては面白かったし、
瑞季のキャラも可愛くて好きだっんですが、
どうも展開についていけなかった。

瑞季の過去が切なくて、
須藤が好きなのに一緒にいられなかった高校時代とか、
再会してからもなかなか上手く歯車が噛み合わなくて
すれ違ってしまうところとか、
もうきゅんきゅんさせられました。

なのに、途中で中途半端に関係を持ったり、
優しくしたりつきはなしたりと、
須藤の行動がどうも大人気なくて、
私の琴線に引っかかりませんでした……

二人の誤解が解けて、めでたく想いを確認し合うクライマックスも
なんだかチグハグな印象で、
んんんっ?なんかあっさりしすぎてない?という感じ。

こじれあった二人が想いを確かめ合う過程に
もう一捻り欲しかったかなと。

前半にきゅんきゅんさせられた分、
後半のチグハグさとあっさり加減にドキドキが失速。
それでも泣き虫瑞季が可愛かったので、「萌×1」

0

健気で不憫で泣き虫受けが好きな方に

いっぱい挫折を味わって卑屈になっている泣き虫な主人公・瑞季と、過去に付き合っていた先輩・須藤が大人になり再会するお話です。

可哀相な受けが好きな方にはすごくオススメしたいです。
最後のほうなんてもう、不敏で悔くて惨めだって泣く瑞季に釣られてうるうるきます。瑞季が本当に泣き虫で誰の前でもボロボロ泣くので本当につられてしまう。

ただ健気でいい子なだけのキャラではなく、他人を妬む心や自分の事でいっぱいになって思いやりを忘れる身勝手さも持っています。
仕事と恋愛をごっちゃにし、上手くいかないとわかれば自分の仕事も投げ出しそうになり、幸せに暮らしている義理の弟に嫉妬する…そんな大人気ない…と思わなくもないのですが、そんな汚い部分も含めてうまく書かれていると思いました。

高校のころ須藤と瑞季は付き合っていましたが、瑞季は両親に捨てられて学校を辞めることになります。好きだったのに、須藤が瑞季と付き合っていたのは遊びだと友人に聞かされ、家庭の事情は一切話さずに、瑞季は須藤を振って、ドロドロのまま別れます。
互いの別れた時の印象は最悪で、仕事で再会したものの互いの誤解はとけないまま…もどかしいすれ違いのお話です。

その後瑞季は須藤に手を出され、体の関係をもつようになるのですが、
正直、タイトルとこの展開から書こうと思っているテーマと、実際の内容に差がある気がしました。
この体の関係のくだりそのものが、そもそも無くてもいいんじゃないか??とも。

瑞希が苦労して1人で生きてきて、今やっと手に入れた仕事で再び挫折しながらも頑張る様子、須藤は瑞希の身勝手で振られて自分の前からいなくなったんだと今も恨んだまま誤解していることや、瑞希も須藤に遊ばれていただけだと誤解しているすれ違いだけで結構テーマとしては面白く、そこに肉体関係(しかも無理矢理でない)が入ってきてちょっとぶれているような感じがしました。

それでもすごくすごく高く評価したいのは、この二人のすれ違いが本当に見ててもどかしく辛くて、でも非常に萌えたからです。
あと不幸な主人公は数いれど、ここまで釣られそうになる泣きっぷりには読み始めから終わりまでずっときゅんとしっぱなしでした。

今はもう大人になったのに、せんぱい、せんぱい、と瑞希が呼んでしまうところが可愛いです。
山場の、誰かがわざと当て馬になってくれるという展開も大好きです。
「別にそいつの事なんて好きじゃないから」て感じの攻めが、それでも他の人に連れていかれそうになったら「やっぱりちょっと待て!」てなるシーンがベタながら何故か萌えてしかたない。

ただ、作者さんがヒドイ攻めを書こうと思って書いたというほどには、須藤は性格が悪いとも思えませんでした。
本当は腹いせに瑞希を弄ぶつもりで近づいたらしいのですが、どの辺が??と思いました。

いろいろと詰めの甘い部分もあるかも、とも思いましたが、「早く2人に結ばれてほしい!」とラストまでドキドキできる作品でした。読んでよかったと思います。お気に入りの1冊になりました。

3

題名との関連が薄い

 主人公瑞季(受け)が高校時代に好きだった先輩(須藤・攻め)と社会人になってから再会し、色々意地悪やエロいことをされる経緯を経て、恋人同士になります。

 あらすじにすると、よくある話です。
 ですが、バランスが良いので、読んでいて楽しいです。

 もうこの仕事はダメだと思ったら別の仕事をもらえる。
 須藤がモデルと付き合っているとショックを受けていると夜にはベッドと共にする。
 誤解がとけ肉体関係を続けていてラブラブそうなのに、須藤の過去を懐かしむ言葉に「今の自分に興味が無いんだ」と嘆く。
 新しい仕事が順調だったのに、出演タレントが過去のトラウマに絡んだ相手で、それを気に須藤ともめて「(高校時代は)遊び相手のつもり」を言われて泣く。
 祖父母への送金依頼が届き憂鬱になっていると、仕事相手が送ってくれた写真集で感動して落涙する。
 そしてその後の飲み会で、迎えに来た須藤と話し合い、泣いたり叫んだりした結果、誤解がとけてハッピーエンドです。

 感情の上下が激しいのですが、それが主人公の特異な性格によるものでなく、当然なできごとが起こるというのが自然で良かったです。

 惜しむらくは、題名がインパクトに欠けると言いますか・・・読後、題名を見てぱっと内容が浮かんでくる作品ではありません。唇やキスにこだわった過去があるとか、「彼(須藤)のキスは魔性だ」という噂があるとか、もうちょっと関連が欲しかったですね。

3

過去と仕事と恋愛のバランスがよかった作品

義月さんらしい、逆境に耐え頑張る主人公、過去のこだわりとすれ違い、ちょっと酷い攻め、そんなものがお仕事ガッツリの中に展開されるいいお話だったように思います。
今回は、主人公と共に一緒に切なく辛くなったり、頑張れって思ったり、結構感情移入しちゃいました。

中堅の広告代理店に勤める瑞季が参加した大手企業のコンペで再会したのは高校時代の部活の先輩で、自分を可愛がってくれて慕っていたものの、周囲から聞かされた噂と家の事情から突っぱねざるを得なくなり、そのままもう二度と会わないと思っていた須藤だった。
その会社の専務が転んだのを助けたのが縁で、コンペは落ちたが別枠の仕事の依頼が来て、須藤と仕事をすることに。
しかし、過去にこだわりを持つ瑞季は素直になれず、接近してくる須藤に翻弄されながらも一つの仕事を成功させたことで、舞い込むチャンスをこなすはずだったのが、過去が邪魔をして…

瑞季の家の事情や、須藤との高校時代、そんな過去の場面を盛り込みながらなので瑞季にかなり同調してしまうのです。
離婚する両親から疎まれ、仕方なく引き取ってくれた祖父母は金に汚い人で、瑞季は生きて行くために自立が必要になったという苦労の人。
そんな中でも夢を諦めたくなくて、高卒だけど努力して入れた広告代理店。
そんな素地があるので、ただの健気でなくただの意地っ張りでなく、頑張り屋という点がとても好ましいのかもしれません。
辛くなって涙を流すシーンもありますが、彼の葛藤や辛さを思うと、泣き虫とレッテルを張るより、気持ちの緊張の糸が切れた状態だと思いますので、この涙も悪くない。
そのくらい彼には辛いことであり、私情と仕事を混同するなといっても、かなり無理な状況が彼に訪れるのですから。

須藤は、瑞季との再会ではとても冷たい人に思われました。
仕事をやることになっても何となく。
でも、瑞季の仕事は買っていて彼を励ましたり陰で支える形になっていて、それは過去の想いとの葛藤もあったでしょうが、瑞季の仕事ぶりありけりだったと思われます。

二人共、高校時代の想いをずっと持ち続けていたという恋心の再燃というわけでもなく、むしろそれはすれ違いと思いこみによる誤解を残したままの再会であり、仕事を通した上での、相手をもう一度見るという新たな始まりだったやり直し、というのがきっと自分的に恋愛の流れとして好みなのかな?と思った部分。

作中に、瑞季と一緒に仕事をして彼を気に入るカメラマンとその恋人の代理店社員というのが登場しますが、過去作品に登場しているカプ?と調べたのですが思い当たらなかった。ひょっとしてスピンあり?

少し甘めの評価ですが、このレーベル基準での萌×2です。

6

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP