単行本未収録ショート付
桂生青依さん、最近よく読んでます。(といっても、まだ5冊くらいですが…) 結構たくさん本を出している作家さまで、いろんなタイプのお話があるようです。今作はファンタジー色の強いお話でした。
妹に縁談が持ち上がり、その相手というのが、今までの正妃がいずれも謎の死を遂げている「闇公爵」と恐れられているヴィストル公爵。その婚姻を阻止するため、リーンはヴィストルの花嫁になります。
その日のうちに陵辱され、嫌なのに淫らに感じさせられます。
城に監禁状態の中でも、自分を鼓舞して、前を向こうとするリーン。
孤独で愛を知らないヴィストル。
登場人物が魅力的に描かれており、物語に入り込みました。
リーンはヴィストルの不器用な優しさに触れ、ヴィストルはリーンの強さ、美しさに触れ、惹かれ合い、愛し合うようになる、というストーリー。
王道な展開のなかで、良いアクセントになっているのがコムと呼ばれる存在。コムは強い精神感応力を持ち、人間とコミュニケーションを取れる聖獣で、子どもの頃から一緒に育ち、信頼関係で結ばれています。また、主人同士、コム同士の関係がそれぞれに影響しあうという設定も面白かったです。
表紙の栗鼠はリーンのコムのムー。黒の獅子はヴィストルのコムのアーベント。そして、ムーがとても可愛い。リーンを励まそうと歌を歌ったり、とにかく一生懸命で癒されます。最初はアーベントが怖くて、「くろいのこわい」とぶるぶる震えていたのに、アーベントが怖くないと判ると、「らいおんさん!」とうきうきで一緒におでかけします。(SSのムーとアーベントのお話がとても可愛いです)
また、前半が辛いお話だった分、ふたりの想いが通じ合った後のあまあまがとっても良かったです。何しろ、冷酷と言われたヴィストルが同じ屋根の下にいるにも関わらず、ラブレターを日に何通も届けさせるラブラブっぷりなのですから!
今作は電子書籍版を購入しました。単行本未収録SSの「おくりもの」「ずっといっしょに」が収録されていて、イラストもあり、期間限定価格でお安く購入できたので、とても満足しました!