奴隷に堕ちても、あなたを愛していたい。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作王子の恋と騎士の誓約

ルスキーフ・オルランド,近衛騎士,25歳
リエト,ゾラン帝国の王太子→奴隷,18歳

その他の収録作品

  • あとがき
  • 後日談
  • カバーイラスト・エスキート集

あらすじ

『私がおまえを買い取ってやろう』
ゾラン帝国の王太子リエトには、密かに恋慕う男がいた。
その男は、近衛騎士ルスキーフ。叶わぬ想いに胸を焦がしていたある日、リエトは父王から妻を娶るよう命じられる。
皮肉にも同様に、ルスキーフにも縁談が持ち上がっていた。
父王の命令は絶対だが、彼が結婚してしまうことに絶望したリエトは、運命を変えてくれるという水鏡に願いを託すことに。
しかし目覚めた時、ルスキーフはおらず、リエトは奴隷になっていて……!?

作品情報

作品名
王子の恋と騎士の誓約
著者
秋山みち花 
イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773088175
3.1

(15)

(1)

萌々

(5)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
43
評価数
15
平均
3.1 / 5
神率
6.7%

レビュー投稿数5

恋する王子様の冒険と愛の奇跡

王子さま命の騎士 と 純粋培養の美貌の王子さまの恋が実るまで。

主と仕える騎士のカップリングはそれだけで萌えます。

北澤さんの描く騎士と王子さまはとーってもかっこよくて麗しいです。
特にカバー絵の黒い画面に光り輝くような王子様が蕩けるように幸せそうでうっとりしました。
秋山さんの作品は大抵購入するのですが、この絵につられて発売を待って即買いました。

リエトは、父王の方針に疑問を持ちながらも意見を言えず従う王子様。
利発で幼い頃から努力家のリエトだけれど、その優しさや穏やかな性格が傲慢で力強い男を望む王にとっては頼りなく快く思っていなかった。
母親が早くに亡くなり、あたたかな愛情を知らずに育ったリエトが11歳の時に出会ったのが7歳年上の騎士ルスキーフでした。
強くてかっこよくて優しくていつでもリエトのことを第一に思って行動してくれる騎士の存在が、寂しさを慰め与えられなかった愛情で包まれてまっすぐに育ったのだと思います。
そんな身近な存在を愛さずに居られるはずもなくいつしかそれが恋情に変わって行くのも必然だったでしょう。

きっとお互い深く想いあっているんだとすぐわかりましたが、二人とも初恋をこじらせちゃったんですね。
伝えられない想いに押しつぶされた王子様は、運命の女神の奇跡を借りて王子という立場を捨て想う人に気持ちを告げたいという希望を叶えることと引き換えに奴隷に身を落とすことになります。
なんと考えなしで短絡的、とは思っても恋する王子様には精一杯の決断だったんですね。一途です。

前半が結ばれぬ恋の切ない想い。
中盤は奴隷と左遷された騎士の刹那の恋物語。
終盤は愛の奇跡と一回り成長した王子様の新たな旅立ち。

リエトは将来きっと良い治世を行い国民に愛される王様になるんだろうなと思わせる余韻のある終わり方でした。
その頃の彼らの姿を見てみたいです。

6

水鏡の向こうのもうひとつの物語

購入した当時の帯に、「水鏡の向こうのもうひとつの物語」として、六青みつみ「偽りの王子と黒鋼の騎士」イラスト:Cielが紹介されていて新鮮でした。

そういえば、護衛騎士と王子という組み合わせも、序盤の水鏡が願いのために運命を変えるという展開も同じでした。でも、その後の展開は、当たり前ですがだいぶ違います。

護衛騎士ルスキーフが王子リエトに命かけても良いと尽くしていたことにより、両片想いなんだなとうっすらと感じさせるところからスタート。ルスキーフがリエトを引き留めるシーン、とっても良かった。

運命が変わって奴隷となったリエトですが、ルスキーフに王子と気づいて愛されて…願い事が叶ったと幸せな気持ちになったのは束の間。実は…という展開がミステリっぽくて良かったです。こういう展開大好きだぁ!
ただ主人公がモブに犯されたという話があるので苦手な方はご注意ください。

北沢きょうのイラストも美麗でした。首に剣をつきつけるルスキーフと、最後の笑むルスキーフとの違いが素敵。カバーイラスト案集が3つ収録されてるのも嬉しいです。

なお「偽りの王子と黒鋼の騎士」は2020年にイラスト:稲荷家房之介で発売を発見しました。

(読みやすさを考慮して全文敬称略。失礼しました)

0

ハラハラドキドキの寓話

騎士×王子で、王道の主従物かと思いきや…?
ちょっとサスペンス要素もあるストーリー展開で、終盤までかなりハラハラしながら読み進めることとなりました。

帝国の王太子・リエト(受け)は、近衛騎士のルスキーフ(攻め)のことが好き。
しかし王の命令で他国の王女と結婚することになり、ルスキーフにも縁談が。
失意のリエトは、森の奥に棲む水鏡の番人に、自身の運命を変えたいと望み…

ここまでは普通の切ない片想い物といった雰囲気ですが、この後がちょっとした急展開。
水鏡の力で奴隷に生まれ変わったリエトは、ルスキーフが統括する区域で、新宮殿の建設作業に携わることに。
新しい世界では王子は病気で寝たきりということになっているらしく、ルスキーフは王子に瓜二つのリエトを見初め、屋敷に迎え入れます。
最初こそ奴隷のリエトに冷淡に接していたルスキーフですが、やがて彼を「リエト様」と呼び愛するように。
ルスキーフとの蜜月に浸るリエトですが、やがて王子としての使命を放棄した自身の選択を後悔し始め…。

この世界の王子は本当に生きているのか?
奴隷のリエトをいつの間にか「リエト様」と呼び敬い始めたルスキーフは果たしてまともな精神状態にあるのか?
等、謎をはらんだストーリー展開は(良い意味で)不気味。
リエトに傾倒するあまり騎士としての使命を忘れたルスキーフと、彼に囲われるリエトの行く末から目が離せません。

【結末について(ネタバレ)】
ラストは思いの外あっさり。
人間臭いルスキーフとの日々が物語の大半を占めるだけに、最後の方でいきなり綺麗なルスキーフが現れてもどうも同一人物とは思えず、少々モヤッとしてしまいました。
リエトの成長を描いた寓話としては楽しめますが、BLとしてはルスキーフの気持ちの変化が分かりづらく、ちょっと物足りないかな?という印象です。

終盤まではかなり惹きつけられる展開だっただけに、ラストにもうひと工夫あればなぁと口惜しい想いが残りました。
萌×2寄りです。

※あとがきにネタバレ要素があるため、本編未読の方はご注意下さい。

16

ネタバレありますご注意ください

ゾラン帝国の王太子であるリエト(受け)は、幼い頃に自分の騎士になった近衛隊長のルスキーフ(攻め)に秘めた想いを抱いていた。しかし18歳になった時、父王から隣国の姫を娶るよう命じられ、ルスキーフにもまた縁談が持ち上がる。絶望したリエトは、願いを叶えてくれるという噂のある水鏡に、ルスキーフに想いを伝えることのできる身分になりたいと望む。次に目覚めたとき、リエトは奴隷になっていて…。


美しいけれど、華奢な身体つきのせいで父王から軽んじられている受け。昔自分に忠誠を誓ってくれたルスキーフに許されぬ想いを抱いているのですが、想いがバレないようにと意識しすぎて、いつからかまともに口もきけなくなっています。
そんなある日、父王から結婚を命じられます。それだけでもショックなのに、同時に攻めにまで縁談が。
ただ1人の王子である自分には結婚の義務があり、攻めに想いを伝えることはできない。なので「攻めに想いを伝えることのできる身分になりたい」と水鏡に祈ってみたら奴隷になっちゃった、という展開です。

奴隷として働かされるし、扱いはひどいし、近衛隊長である攻めと顔も合わせられない身分で、思ってたのと違う! と悔やむ受け。自分でもわかっているのですが、愚かで考えの足りない人です。
しかも偶然攻めと鉢合わせたとき、この世界の攻めは受けのことを知らず、身分さえ変わればハッピーになれると思っていた望みも絶たれます。

どうなるか展開が読めなくて、面白かったです。受けがかわいそうな目に遭ったり、その後ようやく知り合えた攻めはヤンデレ(受けにはひたすらデレデレ)だったり、幸せに見えて密かに忍び寄る破滅への足音にもドキドキします。
最終的にどうなったかは書きませんが、満足のいくオチだったと同時に、あ、…あー…、そうなんだ、とつんのめってしまうようなオチでもあった、ということだけ書き加えておきます。



ここまでは大したネタバレなく書きましたが、この先はこの本を読み終えた方のみお読みください。
未読の方が読んでも訳がわからないくらいだと思いますが、この本を読んでる途中、という方だけは読まないでくださいね。


ラストのあと、前のルスキーフがどうなったかが気になって仕方ありません。
あの存在はなかったことになったのかな? そうならいいんですが、受けに置いていかれてそのままだとしたらかわいそうすぎて…。

2

人に勧めようとは思わない作品

この作家さんの作品はこちらが初めてです。
本屋に行ってよく見かける作家さんですし、絵に惹かれたのと何よりあらすじがとっても面白そうだったので購入。
その後すぐにドキドキしながら読んだのですが…。

正直に言うと期待外れです。
あらすじが面白いし興味をそそられる展開だけに、次第にそれどういうこと??という設定の粗さが目立って、序盤から物語が本格的に動き出す前半まではかなり楽しめたのですが、中盤から終わりにかけては正直早く終われと思いながら読み進めました。

ファンタジーは本当に大好きで目がない派なんですけど、この作品は結局最後まで突っ込みどころ満載です。
多分作家さんも訳分かってないしオチの付け所がなかったんだろうな、っていう未回収のものが散見されます。
この作家さんはあまりファンタジーお得意の方ではない…??
でも巻末紹介では今までに恐らくファンタジーモノも書かれておられる所からすると、単純にこの作品が「う~ん」だったのか、私がこの作家さんの作品に合わないかですね。

ただひとつ言えるのは、今まで本格的にファンタジーものに慣れ親しんで愛読した人にはキツイ内容だと思います。

設定広げるだけ広げてとッ散らかして、最後はまるでそんなもの無かったかのように隠すようにして触れずに万々歳でハッピーエンド♪…だなんてものが一番SFモノでやっちゃいけないやつだと思うし、一番読者はイラッとくるし、そんな中途半端な人にはファンタジー書く資格はナシと私は思っています。
勿論中には設定上手く回収出来てないけどその他でカバーしてるか、回収しようという気概が見える作品は好きです。この作品に私はそれを感じませんでした。

それでも読み終わったあと「キィーッ!!!!」とムシャクシャするような作品ではないので、気になる方はチェックして良いんじゃないでしょうか。
琴線に触れるとか好き嫌いって結局人それぞれですしね。

なんか他にも細かい所で色々言いたいことはあったんですが、言ったら負けな気がするので以上です。

ただ私はそれまで楽しく読んでいた中盤始めで
「あ、そっちね…ああ…マジか…そっちか…」
となった事だけ記しておきます。


4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP