• 紙書籍【PR】

表題作ONE MORE

高田敏志,高校1年生→リーマン
松井克也,高校1年生→リーマン

その他の収録作品

  • ONE MORE AGAIN
  • ONE MORE AFTER
  • NEVER MORE
  • あとがき

あらすじ

「久しぶりだな」―松井克也は6年前に別れを告げた筈の男、高田敏志から1本の電話を受ける。「会わないか」という申し出を受け入れてしまった克也だが…。高校、そして大学時代を織り込んで鮮やかに描く本編の他、高田の視点で描かれた番外編を含む珠玉の3編を収録。過去に封印した想いが月日を経て本物の想いになる。アダルト&センシティブラブ。

作品情報

作品名
ONE MORE
著者
ふゆの仁子 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
ISBN
9784861340468
3

(4)

(0)

萌々

(0)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
12
評価数
4
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

胸が痛い

攻・高田敏志(28)
受・松井克也(28)

同級生で再会モノ。
過去と現在が交錯して物語は進みます。

大学卒時に分かれて音信不通だった高田から突然連絡が入る。
6年間の空白など無かったかのように「久しぶりに会わないか」と。
動揺して答えられないでいるうちに高田が予定を告げ電話が切れた。

高校時代の高田は成績優秀でスポーツも万能の有名人。
一方の松井は、人見知りの激しい目立たない生徒で、高田の図書カードをチェックするのが楽しみな図書委員。
松井が必死に勉強して入学した大学に、高田も入学したことを知る。

オリエンテーションで高田から声をかけられ、連絡先を尋ねられ、友達づきあいが始まるのですが…夏休みも終わりの頃「抵抗しても抱くぞ」と高田に強姦された松井。
松井は高田を好きだったけれど、気持ちも言葉もない行為は松井の心を蝕みます。

それからも2人は何度も抱き合うのですが、松井には、まるで夢の中のようなあやふやな感覚が付きまとっていました。

高田は松井に見せ付けるように女とセックスをする。
「邪魔だ」と追い返された松井は、夢が覚めた、と諦めようとします。
しかし女を抱いた直後に訪ねてきた高田は、松井の拒絶を封じて抱く。

それ以後、堂々と二股をかけつづけた高田。
身勝手に抱かれるたびに、松井の中の恋心が削り落とされ、小さくなってゆくんです。
大学卒業までには、すでに松井の中には高田を思う心は見えなくなってしまい、彼の言葉も行為も、これ以上傷つけようが無いくらい傷つけ、凍りつかせてしまってました。

引越しの荷物を見て、初めて松井の就職先を問う高田に東京から去る事を告げ。
「全部終わりだ」と高田を切り捨てます。

高田は挫折を知らないんです。
自分が傷ついた経験が無いから、松井が傷つき壊れるなんて考えもしなかったんです。

松井が自分に恋愛感情を抱いてることを知っていて力尽くで抱き、逃げないと分かると傲慢な態度で接するようになる。
すがるような目で見られて優越感を感じ、自分から離れてゆくはずないと信じて満足していた。


分かれていた6年間の間に、松井は自分の心をゆっくりと癒してきましたが、高田もまた6年をかけて成長できた。
高田は大きな代償を払わされていますが…松井の傷に比べたら軽い代償だと思うのは私だけかしら?
この別れがなければ、2人は今も学生時代と同じ関係を続け、歪んだままだったんだろうなぁ。

松井は及び腰ですが、再会を果たしてからの高田は必死です。
過去に酷いことしてるんだから、尽くして尽くして尽くしなさいよね!

2

別れてから再会

受・松井に大学時代に別れて以来疎遠になっていた攻・高田から出張でそっちに行くからと会う約束をさせられる。
現在と高校時代~大学卒業までを交互に回想する話。
大学時代のこの2人、付き合っていたと言えるのだろうか…
お互いの事が好きなのに、好きって伝えた事がないし、正直身体の関係がある友人って感じだったんだよなー
夏休み明けに高田の家で飲む事になって、いい雰囲気になった時に松井の彼女の話題に機嫌悪くなった高田に強姦される。この話題出したの高田なんだけどね。
その後、彼女と別れた松井が高田の家に行くと元カノが高田に抱かれていて、追い出される松井。
寮に戻って嘔吐するくらいショックを受けた松井に、何食わぬ顔で会いに来る高田。
それからも堂々と2股され、彼女と旅行に行った事も隠さず話してくるのに身体の関係は続く2人。
高田と離れるために地元の会社の内定を貰い、引越し準備で家に物が無くなってやっと松井が引越しする事に気づく高田。
就職先を教えると急に慌てだして呆然とする高田に準備があるから、と追い出す。
ここは高田の自業自得なシーンですよね…
それまでの松井が気の毒すぎたので捨てられてもしょうがない。
松井が自分から離れるわけないと思っていたから就職先の事も詳しく聞かなかったんだろうし。
それから松井を忘れようとして結婚するも結局離婚。
会社も辞めて建築事務所に努め、出張を機会に松井に会いに来た。
再会してからの高田は昔より優しくなってて、まだ元に戻る2人。
高田は自分も苦しんだって言ってたけど、松井の苦しみに比べたらそんな…と思ってしまいますね。
捨てられたのは自分が撒いた種だし、離婚もそうだし。
これまで苦しまされた分、大事にされて欲しい受けでした。

2

かなり酷い男だと思いますが…

そういう男が長い年月をかけて一人の相手の事を真剣に考える様に変化していくのがこの作品の魅力なのかもしれません。
切なさ度も高めかと思います。
物語自体は、受け様の松井視点中心に進んでいきます。
主人公2人は同じ高校出身なのですが、進学校である高校の中でも1年生の時から文武両道の高田は目立つ存在で、人とのコミュニケーションが苦手で引っ込み思案な松井とは正反対とも言える存在。
そんな2人が偶然にも東京で同じ大学に進むことになるのですが、高校時代にはほぼ全く接点がなかった松井に高田の方から声をかけてきて、2人の付き合いが始まります。
高田は高校の時から優秀で周囲からの期待も高く友人も多いのですが、その分プライドも高く、上手く隠してはいますが自分が良く見えるように友人も利用するという結構性格に問題ありな所も。
それが現れるのは特に松井に対してなのですが、松井に執着しているようなのに傲慢で無神経に扱っていたり、読んでいて高田の本心が見えず、松井は一途に想っているのですが、こんな男のどこがいいのだろう、と不思議に思いました。
社会人になってようやく自分に正直に生きていくことを決めた高田がやっと普通の人の感覚になったという印象でした(笑)。
片想いとすれ違いの時期が長いので、結構切ない時期が続きます。
その間、ずっと松井視点なのですが、痛いほどでした(そしてヘタレだな~と思う所も一杯ありました)。
個人的には切ないお話が好きなので私は大丈夫でしたが、人によっては地雷になる要素もあるかなと思います。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP