特典ペーパー付
作者さんのインタビューを拝見し、とても気になるストーリーだったので発売を楽しみにしていました。表紙は作中よく出てくるカラオケの一室で紫のネオンカラーがとても綺麗です。
女装癖の弟(明彦)・そんな弟に恋する兄(哲郎)・兄の同級生で弟の恋人の石井くん。キャラ設定の時点で既にぶっ飛んでいるのに明彦は哲郎がいる部屋(大きな本棚で仕切っているだけで2cmの隙間有り)で平気で石井くんとヤリまくるし、それを哲郎はオカズにするし(明彦のセーラー服もオカズにしていました)、石井くんは2人と平気で肉体関係持つし…超ドロドロで終始鬱屈した状態で物語は進んでいきます……
石井くんが明彦より哲郎を好きになってしまった理由が明確に描かれていなかった気がします。可哀想で危なっかしくて庇護欲を掻き立てられたのか、体の相性が良かったのか、それとも言葉では説明できない理屈抜きで好きになってしまったのか…なんにせよ哲郎には幸せになってほしかったので石井くんが「お前が死ぬんやったら俺も一緒に死ぬからな」と言うほど哲郎の事を好きになってくれて良かったです。しかも本当に心中(未遂)してくれた………
明彦は最後こそ身を引いて哲郎と和解していましたが、私は正直好きじゃないです。恋人を寝取られようと何があろうと、兄に「早く死んで目の前から消えて」だとか「まだ死んでないの?」なんて言えますか?ありえない。実際に哲郎は追い込まれて自殺未遂しちゃいましたし…これからは出来るだけお兄ちゃんに優しくして、石井くんとお兄ちゃんを温かい目で見守ってあげて下さい。明彦にも哲郎と石井くんのように、強く想い合える人が現れる事を願っています。
最近、高校生同士のきゅんきゅんBLばかり読んで、青春っていいよな~なんて思っていた自分に、リアルな青春を見せつけてくれた作品でした。
悩んだり、辛かったり、思い出したくないこともたくさんあって、今は時が経ったから、大人になったから、上手く美化出来るようになっただけ。
そっか。青春は痛いし、恥ずかしいし、不安定なものだった。そんなことをしばし振り返ってしまいました。
弟が女装していて、その女装した弟を性的な目で見てしまう富士哲郎。
女装と気づかず富士哲郎の弟富士明彦と関係を持ってしまうヤリチンの石井武雄。
その石井武雄といつしか関係を持ち始める富士哲郎。
いびつすぎる三角関係と、合法ハーブ。そしてメロンソーダ。
設定、小物だけでものすごい作品だとわかる。
正直私にはまだ少し難しくいろいろな答えは出ていません。
富士哲郎は弟を一体どういう目で見ていたのか。
恋じゃなく、ただ性の対象として見ていたのか。
なぜ石井武雄は富士哲郎を好きになったのか。
一体いつ?なにが原因で?
あと10回ぐらい読み直せば答えが見えてくるかもしれないし、
何度読み返しても、私には理解出来ない作品なのかもしれない。
ただ、青春のしんどい部分を真っ向から見せられて、そうか。青春はキレイなだけじゃなかったな…とかなり胸にぐっと来ました。
何も繕わず、誤魔化さず、ウソをつかないこの作品は、正直読んでいてキツイ作品だと思います。でも、次の展開が全く読めず、ちょっとだけ読むはずが、最後まで読者の心を掴んで離さない。醜さもあるけれどそのぶん強烈に魅力的な何かがある不思議な物語だと思いました。
これは本当にいろんな解釈が出来る深い作品だと思います。
まだまだ答えが見つかるまで、読み返してみたいと思います。
女装する弟、明彦。
女装する弟に恋する兄、富士哲郎。
弟が恋したのは、兄の同級生の男子、石井。
石井と明彦が付き合い始めてから、兄の富士哲郎の恋が動き始める。
かなり衝撃的な作品。
あくまでも、登場人物たちの感情に重きを置いた作品で
欠けている部分は多々あります。
そしてそこもまた、深いと思わせるほど、読み手に委ねられてる気がして
漫画なのに、本の要素が強い気がします。
感情がいつも、言葉にできるほど単純なものでなくて
辛い苦しい悲しい、で言い表されるものではなくて
それを付加するように、描かれるメロンソーダと
♪いつか願いが叶うとしたら、という歌、そして脱法ソーダ。
「恋」ではなく「願い」とした歌の歌詞は、
「僕」と称する兄の純粋過ぎる感情にマッチして、本当に切ない。
歌ってるシーンは、本当に何度も読み返してしまうほど
こんなにも純粋な想いがあるのだと、切なくなります。
人が恋に落ちるのは案外簡単なもので、
ただただ切ない心に引っ張られていくように、ただれた石井からしたら
接することのない兄の純朴なところに惹かれていったんだろう。
元々、作者さんは、バッドエンドをイメージしていたようで
そんな終わりもみてみたかったなとも思います。
と、言うのも、ハッピーエンドで終わるこの作品の裏は
バッドエンドじゃないかって気がしてならないから。
自殺未遂という行為は、果たして、親に、世間にどう受け止められるのだろう。
彼らが退院した後の教室は、果たして彼らに何を与えるだろう。
脱法ハーブの過剰摂取は、依存が強いというニュースをわざわざ、
作中でしれっと流してるけれど
彼らが過剰摂取で自殺未遂したことは、依存症状には繋がらないか?
退院してすぐの、あのシーンが、彼らのハッピーの絶頂なのでは。と。
ちょっと深く考えすぎでしょうか。
それぐらい衝撃的な作品でした。
わざと欠けさせた部分で、こうも想像を膨らませられる作品は
なかなかないのではないでしょうか。
私にとって、萌えなんて言葉では片付けられない、神としか言えない作品でした。
あぁ間違いない、やっぱりこの方の描かれるものは好きだ〜って確信のセカンドコミックでした。
ましてや今回は私の大好きな三角関係モノ!
グッサグサにイッタイけど、遠慮がないからこそ描ける生々しさに引き込まれました。
主人公が自殺を図り、それを助けにきたもう1人が後を追う、という只ならない展開から始まる本作ですが、前作同様、決してバッドエンド作品ではないってことを今回も先にお伝えしておきます。
サブタイトルはシェイクスピア「真夏の夜の夢」より、
─The course of true love never did run smooth.(真の愛の道は決して平坦ではない)
このお話は絶対読み違えちゃいけない注意点があります。
富士(兄)がアキ(弟)に対して抱いているものが恋愛感情だったのか。
答えは「ノー」。
もし「イエス」と感じたなら読み返し必須です。
あえて王道モノっぽく言うなら、「まだ恋に恋してる状態の10代が本当の恋愛感情を知るまでのお話」って感じでしょうか。
ものすっっっごいヘビーなアオハルですけどね。これもまた10代の刹那のなせる技。
タイトルの“メロンソーダ”ってのが秀逸な表現だなって思いました。
『同級生』じゃないけど、レモンサイダーのようなあの無色透明のスカッとしたイメージに対しての、“メロンソーダ”な10代のラブストーリー。
三角関係ですが、主役は〔富士〕と〔石井〕です。
弟の〔アキ〕はちょっとかわいそうな役回り。
でもきっと多くの人が、この2人の様な過程を経て「あぁ、あの時のあれは恋愛感情ではなかったんだなぁ」と知ってきたはず。
彼等の場合はそれが極端に歪な環境下で起こってしまっただけ。
富士も石井もある意味吊り橋効果ってやつでしょう。
女装して自慰をしてる弟を覗き見てしまった富士のドキドキも、自分に言い寄ってきた可愛い子と密室でイケナイ事をする石井のドキドキも、10代の若き心を勘違いさせるには十分。
富士への特別な感情が芽生えた時に「ソーダ(薬)飲んでないのにドキドキしてる」という石井のモノローグが分かりやすかったです。(ドラッグ描写を肯定する気は微塵もありませんが)
アキが恋人を寝取った兄に対して「死ね」と迫るのは、今の私なら言い過ぎだと思うけど、10代の私だったら同じ様に思うかもしれないな。
それで富士が本当に死のうとするのもまた然り。
そして石井がなんの躊躇いもなく富士の後を追おうとするのも。
感情がまだコントロール出来なくて、思考が極端に振り切れやすい10代特有のあの感覚をオブラートに包むことなく描写されるのは、なんとも言えない痛さとイタさがあるんだけどリアルで、頭のどこかでは仰々しいなぁと思いながら読んでいる自分もいるんだけどやっぱりリアルで、どうしたって引き込まれてしまいました。
富士と石井が死なずに幸せになれてよかったけど、まぁアキは1回くらいならあの気遣いのない兄達を刺してもいいんちゃうかな(過激な意見)
本作の発売で、前作のデビューコミック(真夜中のクライングモア)のポイント数がジリジリ伸びているのを何気に嬉しく思って眺めています。
あちらもまたデビュー作とは到底思えないクオリティの作品なので、この機会に多くの方に読まれるといいなと思います!
【電子】シーモア版:修正白抜き、カバー下○、裏表紙○、特典ペーパー(1p)付き
インタビューを拝見して購入、初読み作家さんです。
バッドエンドは受け入れられないタイプで、暗めのを描かれている先生のようなので少し悩みましたが、読後の感想は
クスッ
でしたよ(笑)
あくどい感じの歪んだものではなくてですね、穏やかな時に生まれるタイプのクスッです。
カテゴリー的には、三角関係になると思います。
攻め君は受け兄弟二人とも抱きます。
初めはセーラー服に身を包んだ弟君からで、本棚で区切っただけの隣の部屋で攻め君と弟君がセックスしているのを隙間から覗いてしまうお兄さん、という関係から始まります。
私だけかもしれませんが、何度か出るその覗き見シーンはそこまで重くは感じませんでした。
覗いているお兄さんが、弟君の事も攻め君の事も好意的に思っていたせいかもしれません。
合法のお薬にハマっている(弟君とセックスする時とか二人で飲んでた)攻め君でしたが、とある事をきっかけに同級生のお兄さんと交流するようになって、お兄さんの事を知るにつれて惹かれていき、お薬飲んでないのにドキドキする!
恋という沼にズブズブハマっていくような攻め君とお兄さんでしたが…みたいな感じです。
惰性でくっ付いて所々に隙間が空いている恋と
ぴったりとまるで一つのように重なり合う運命的な恋が描かれていました。
弟君にしたら彼氏を寝取られた事になりますが、そこは血の繋がりの不思議なパワーと言いますか、なんだかんだ言ってもお互いを許せてしまう良い兄弟でした。
最終的にみんなある意味幸せになれたのかなとおもいます。
彼らには3Pをすすめたいですね、絶対楽しめるよ!!
作画は非常に上質で、光の描写が素敵でした。
後半の病院での再会シーンは、まるでドラマを見ているようで、美しく描かれていました。
三角関係好きだなー、でもある程度みんな幸せになってほしいなーという方にはおすすめできそうです!