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表題作飼い猫は彪

橋間彰広、亮一に拾われたナンバーワンホスト、21
瀬野亮一、ホストクラブオーナー、36

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

公園で拾った彰広を居候させ、己が経営するホストクラブで働かせる亮一。ナンバーワンとなった彰広に執着されているのを知り、内心「猫」と呼びながら彼を振り回しては、その心身が蝕まれていくのを眺めて快感を覚えていた。だが他店でナンバーワンだったカズキが現れ、二人の関係に変化が訪れる。侮っていた彰広が突如牙を剥き、歪んだ高揚にまみれた日常が崩れだす―。

作品情報

作品名
飼い猫は彪
著者
黒井ひよこ 
イラスト
立石涼 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626610
2.3

(13)

(1)

萌々

(1)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
2
得点
23
評価数
13
平均
2.3 / 5
神率
7.7%

レビュー投稿数2

攻めを傷つける為だけに、ここまでする受けって・・・。最高じゃないかよ!

自身に好意を抱く相手の気持ちを弄び、その事に強い悦びを感じるー。
いわゆる性悪な受けが主役になります。

バリバリの共依存な上に、主人公はかなり歪んでいてと、読者を選ぶ作品だと思うんですけど。
ただ、個人的には面白かったですね。
二人の行く末が気になって気になって、一気に読んでしまいました。

内容ですが、公園で拾った男・彰広×ホストクラブオーナー・亮一による、共依存もので超執着ものになります。
ダーク寄りで病み系です。

自身に心酔する相手の気持ちを弄ぶ事に、強い悦びと興奮を覚える亮一。
ある日、公園で美形の男・彰広を拾います。
彰広の中に自分への執着を見た亮一は、彼を居候させ自身が経営するホストクラブで働かせる事に。
ナンバーワンになった彰広と同居しつつ、自分の言動に振り回され、彼の心身が蝕まれて行く様をほくそ笑んで見つめ続ける亮一。
しかし、他店でナンバーワンだったカズキが現れた事で、二人の関係に変化が起こりー・・・と言うものです。

と、こちら、このあらすじだけで受けの性悪っぷりが十分ご理解いただける事と思いますが。

私は元々、執着攻めが大変好きだったりするんですね。
で、彰広ですが、もうかなりの執着系。
実は、亮一が自分を傷付けて悦んでいる事に気付いていながら、それでも彼から離れられない・・・。

これ、面白いのが、執着してるのが彰広だけでは無いと言う所なのです。
彰広と同等かそれ以上に、亮一の方も彼に執着してたりする。
実の所、離れる事が出来ないのは亮一も同じなんですよね。
だからこそ、この二人の関係に萌えて仕方ないと言うか。
もうこの二人、本当に救いが無いんだから~!と、ニヤニヤしてしまう。

そんな日々の中、第三の男・カズキが現れます。
彼が亮一の嗜虐心を刺激する人間だと気付いた彰広は、自分ととって代わられるのではと危機感を募らせて行く・・・。
そして、とうとう亮一に牙をむき・・・と言った流れです。

実は亮一の子供時代ですが、両親からの愛情に恵まれずと、孤独なものだったりします。
彼の歪んだ性癖ですが、本当は孤独の裏返しなんじゃないかと感じさせられるんですよね。
何だろう・・・。
どこまで自分を許すか、試す事でしか相手の愛情を信じられないみたいな。
亮一のバックボーンがしっかり語られる為、彼がただ単に性格の悪い嫌なヤツで終わらないんですよね。
いや、性格が悪いのは確かだけど。

あと、単純に、自分の意のままになると思っていた相手から反撃され、性悪な主人公が痛い目を見ると言う展開も面白かったりして。
飼い猫だと思ってた相手から強姦され、プライドがズタズタ状態の亮一に、意地の悪い喜びを覚えると言うか。
なんか、一番性格が悪いのは私の気がしてきた・・・。

ところで、全体的には好みの作品なのですが、ちょっと引っ掛かる部分もあったりします。
彰広の亮一に対する執着ぶりですが、ここまで執着するには理由が弱い気がする。
亮一の弱さが分かる中盤以降はともかく、最初のうちなんて「なんでそこまで好きなの?」みたいな。
あと、なんか文章がですね、携帯小説っぽいと言うか。
好みが分かれそうな気がするんですよね。
そして、ラストが引っ張ったわりにアッサリと言うか、若干拍子抜けと言うか。
ここはもう一味欲しかったなぁ、と言った印象で。

と、引っ掛かる部分もあるんですけど、題材としてはとても好みで面白かったです。
攻めを傷付ける為なら他の男に抱かれと、もうドロドロの愛憎劇が苦手な方もご注意下さい。

15

ヤンデレ(デレ成分はかなり少なめ)

うーん、おかしい……
こういうお話、好きなはずなんだけれどなぁ。
なんか萌えない。
むしろ冴えちゃった様な気がするんです。
ただ「嫌いか?」と聞かれれば、そういう訳でもないのよね。
そんな感じなので、とても困惑しちゃっているんですけれども。

主人公は『伝説のホスト』を経由して、今はホストクラブのオーナーの亮一。
不仲で、互いに愛人を抱える両親の下で虐待されて育ちました。
彼は自分に好感を持つ相手の気持ちを弄ぶことでしか愛情を確認できない人なんです。で、たまたま『宿無し』になっていた『黒猫の様な』彰広を拾って、自分の店で働かせる。
亮一は彰広=ペットの猫をいたぶって遊ぼうとするんですね。
自分の魅力を最大限に振りまき虜にして(この辺はお手のもの。なんたって『伝説のホスト』なんですもの)その後、冷たくしたり、他の女性や、挙げ句の果てには男性まで利用して彰広を振り回す。
最初から最後までそんな感じです。

お話の中で亮一は「壊すことに快感を得る」という様なことを何度も言います。
両親から『いない者』として扱われてきた亮一にとって『壊す』ことは、自分の存在を証明することなんですね。
うん。これ、究極の『試し行動』だよね。

多分、私がこのお話にいまいち乗りきれなかったのは、お話の中で起きる様々な出来事が亮一に何の変化ももたらさないからなんじゃないかと思います。揺らがないのですよ、この人。自分が蓋をして来た、自分の中の『見たくないもの』に気づき、何度も確認させられるのに、結局そこから一歩も出ない。
『出られない』のなら、そこに萌えが発生したかもしれないと思います。
でも『出ない』んだもん。
だから、なんか『被虐待児の行動について書かれたお勉強の本』を読んでいるような気になってしまったんですよ。そういう点が素晴らしくよく書けていると思うんですよね、このお話。
あ、だから冴えちゃったのかぁ……

2

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