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存在に土下座したい

原作全巻既読、cdは2巻から集めています。
遅ればせながらテンカウント5のcdを手に入れることができました。
立花さんと前野さんの安定感あるやりとり。
冒頭からなんの心配もいらない感じが、プロの仕事だな…と感じさせてくれます。
時たま、BLCDを聴いていることに対して罪悪感を抱いたり、声優さんに対して申し訳なく思ってしまうことがあります。
ですが、このお2人に関しては、ただひたすらにありがたいと感じます。
思いっきり自分たちのお仕事をされていて、今回も最高の仕上がりでした。

今回の目玉である、城谷さんと黒瀬くんの初めてのシーン。
落ち着きなく動き回りながら堪能しました。
立花さんありがとうございます。ありがとうございます。

立花さんの泣きのシーンは、特徴があって、そこに喘ぎ声が被さっていくのが良かったです。BLCDを嗜む方の中で、立花さんの喘ぎ声がお好きな方がほとんどだと思いますが、今回もすごかったです。
城谷さんに忠実で、時々城谷さんよりも城谷さんで、2次元と3次元に境界線を感じさせません。
ありがたや…
前野さんの、致している時は意図的に艶っぽい声にされるところが、たまらないです。
場面の中で、ところどころ敬語が抜けるのですが、そこがまたエロい…なにこの攻め…2人に土下座したい、床に頭を擦り付けたいレベルの再現度。BL好きで良かった…!!

cdの中盤、黒瀬くんの幼少期に入ります。
主なお声を斎賀さんと新垣さん。個人的にとても好きなお声のお2人だったので心配はいりませんでした。というかこのお2人が大好きなテンカウントに参加してくれる喜び。斎賀さんかっこいいいい。女性らしさをかけらも残さず、完全な黒瀬くんで感動しました。改めてBLCDに女性声優さんが出られて、かなりの尺を取るというのがすごい。しかも違和感なし。すごく良かったです。

また個人的に、城谷さんがコーヒーを吹くシーンの声と音がツボにはまってしまい…ゲロクラ、というほどではありませんがなんかちょっと目覚めそうです。
6巻目も早く欲しいです…

頭の中を苛められる感覚

木原音瀬先生の作品はいくつか読んでいますが、ちょっとでもM気質がないと楽しめない書き方をされるな、と感じます。
読んでいてやっぱり衝撃を受けたので、備忘的に、めちゃくちゃではありますが感想を書きたいと想います。

物語の前半部分、主に『箱の中』での展開は非常に生々しい。
知られざる世界についての描写が、丁寧かつ立体的で本当に面白いです。参考文献の欄にあった本全て気になってしまいます。
絶対に触れたくない禁域的な刑務所の空気、冤罪で逮捕された堂野の目を通し、嫌悪感を伴いながら感じることができます。

また、"変わっている男"として登場する受刑者の喜多川(後々の展開を思うと、なんとも皮肉なネーミングであると思わざるを得ません)が、箱の中で徐々に堂野に対する姿勢を変えていくのがこそばゆく、小さな男の子の面倒を見ているときのような感覚に陥ります。こちらとしては理解できない、けれど当人は一生懸命にやっていて、それに気付いた時に初めて愛らしいなと感じる、あの感覚です。
自販機に金を入れているんだからというセリフがとても印象的で、こういう考えの人なら本当にこんな言葉が出てきそうだと感心しました。
全編を通して、喜多川を軸に投げかけられる、普通とは、愛とは、感情とはという問いに苦しみます。

前半は駆け足で、衝撃的に終了してしまいます。
そして拷問のような中盤のスタート(褒め言葉に当たる)
探偵の男が語り手となり、堂野を探す喜多川と関わりを持つのですが、すごい。
小金が欲しい探偵と、堂野を探す手段を持たない喜多川。喜多川が搾取されていく様子、凡人が悪人に堕ちていく様はいっそ痛快でした。その末路も…

喜多川の人生に、明かりが見えない。かわいそう。そう感じることさえ間違っているような気がする。
読んでいるだけで責められているように感じる。
芝さんも喜多川も何も正しくはないんでしょう、でもあの探偵は間違っていたと私は信じています。心に大きく揺さぶりをかける章でした。

物語の後半は、個人的には失速したように感じました。
堂野の妻も子どもも登場するという点で、読む側としては傷つく覚悟を決めなければなりません。
刑務所の中での関係性は、他作品にはない面白さがあったのに対し、2人の再会からのえげつない展開は三文芝居の脚本みたいで嫌でした。
妻と子どもが、存在を最初から崩すつもりで作られたキャラクターに感じられ、もう少し意外性があっても良いような気がしました。
最後にかけてはグダグダと話が進み、そこで抱き合うんかいという萌のかけらもないセックスシーンや、堂野を陥れた女性は伏線か?と思いきや全然なんでもなかったり、当たり前のように妻がぶち壊れて喜多川を殺しかけるし、別に面白くない。
いっそ2人で死んでしまったほうが、物語としては好きになれたような。

しかし、喜多川が子どもを想い涙を流す場面は、純粋に美しいと感じました。喜多川というキャラクターが、いかに異質で、まっさらで気持ち悪くて、尊いか。
私にとってこの作品の全ては喜多川です。
喜多川圭が、人と違って気持ち悪い。
喜多川圭は、ただの普通の人。
彼の生い立ちから形成される人格を思うと、喜多川圭が実は普通の人なのが悲しくなります。

2人とも生きて一緒になったので、ハッピーエンドとして捉えますが、とりあえず喜多川のただひとつの欲が、今後も満たされていくことを願います。

前半の刑務所の描写、猛烈に動き出す喜多川と堂野の関係性の描写に神評価です。
読んでいて感じる痛みが読後愛おしくさえ感じられるのが、この作品の魅力かもしれません。