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無償の愛情で救われる人間を描き、「ダ・ヴィンチ」誌上でBL界の芥川賞と評された傑作!
しんどい話が好きです。箱の中凄かったです。求めていたのはこれ!BLが好きと気づいてからBLを色々読んでましたがあまりヒットしない私はこの作品を読んで、これだー!!!となりました。本当に素晴らしい作品です。
ただ、檻の外が…箱の中は最高でした。脆弱な詐欺師もすごく面白かった。檻の外…(作中で)子ども死なせてまで二人は結ばれないとダメなのですか???完全一方通行の話が大好きなのでBLを読む時に必ずしも二人が結ばれる必要はないと思ってる、なんなら失恋エンドも大好きな私としてはくっつかずに終わればいいじゃん!!なんで!!!ってなりました。ここだけどうしても受け入れられません……
それでも箱の中だけでもすごく好きなので好きです!!!!!
BL小説の中でベスト3に入る神作品です!
お恥ずかしいのですが、BLは、
漫画ばかり読んでおりましたが、この本に出会い、
BL小説の奥深さと、面白さを知り
BL小説にはまるきっかけになりました。
実在するのでは?と思うような
リアルな人物描写と、心の描写の数々に
圧倒されました。
不器用な攻めによる
受けへの並々ならない愛情とその表現の仕方が
胸を打ちます。
この不器用さに心打たれるのは、
人との距離の取り方に戸惑う
暗くも甘酸っぱい思春期を
思い出すからかもしれません。
何度読んでも、
余韻の残る素敵な作品でした。
木原音瀬先生、初読みの作品です。
全体的に物語としての完成度が高く、豚箱から始まるストーリーは惹かれるものがあり、読んでいる手が止まらない程面白かったです。
全体的に暗い作品でしたが、そのダークさに垣間見える喜多川の愛や執着心は純粋ながらも怖いものがありました。
自分的、箱の中と詐欺師編の話がしっかりしていて好きです。
檻の外は少し早足だった印象があり、穂花殺害事件は少しこじつけ感があったのでそこだけ苦しかったです。
でも、それらを抜きにしても神作品でした。
特に 人間の人間らしさは群を抜いて素晴らしいです。
この作品に出会えてよかったです。
追記。
不妊治療を10年続けている浮気相手の嫁に自分の子供を殺害されたり、
麻理子の「友達にも、みんなにも『麻理子の旦那さんは優しい人ね』って言われて、嬉しくて」発言には興奮しました。
『優しい夫』に縋っていたり、浮気した事にごめんなさいを言わなかったり、自分ばかりが不幸を被って堂野をずるいと言う所、彼女からは言葉の節々に人間の意地汚さを感じられて個人的に凄く好きです。
講談社文庫版を先に読み、どうしても[雨の日][なつやすみ]を読みたくて図書館で借りて読みました。
本編は、箱の中はひたすら読んでてしんどくて何も悪くないのに疑わないやつがバカを見る感じで、信じては騙されてってのがあってしんどい。堂野の場合、自分のせいで家族がお金騙し取られるって相当キツイな。喜多川は、藁にもすがる思いで探偵に堂野探しを依頼してるから騙されてるなんて思いもしない。盲目で闇雲。そんな姿を見て、探偵にお灸を据えてくれた刑務所で一緒だった男のおかげで堂野と再会できた喜多川。
家庭を持ち子どもまでいる堂野と再会して、家族団欒を見ながらどんな気持ちだったんだろう。でも、会うのをやめられない。切ないなー。
あの不幸な事件から一気に喜多川×堂野ルートのストーリーが加速する。母親の不倫の怨恨で犠牲になった穂花ちゃんは、本当にかわいそう。
幸せな家庭を築いていた筈が妻の不倫、娘を殺されてなんてこんな目に遭うんだ、堂野。
穂花ちゃんが懐いて16になってもまだ好きなら嫁に貰ってやるまで言ってた喜多川。
事件の真相がわかってから、どんどん太々しくやな女になっていく妻。
だからこそ喜多川と堂野の結びつきが深くなったんだけど。
本編の終わりよりも[雨の日][なつやすみ]を読んでキチンと2人の話を読み終えた感がありました。
[雨の日]は、喜多川視点のお話
感情が感じられなくて朴訥で一途でちょっと怖いくらいの執着があるので、やべえ奴感があった喜多川。喜多川に押されて流されてるのかな?って思ってたけど、ちゃんと2人が思い合ってるのがわかって、愛情を感じるお話でした。
[なつやすみ]は、元妻の息子「尚」と「堂野」と「喜多川」の尚視点のお話。
めちゃくちゃ泣いてしまった。
喜多川が案外子ども好きで、面倒見が良く子どもに懐かれるのは穂花ちゃんの時もだったけど、尚くんも喜多川の事が大好きで短い交流の中でもとてもいい時間を過ごせててとてもいいエピソードでした。
読者として喜多川の最後まで見届けられたのも良かったです。死に別れがメリバではなく幸せな人生を全うできた1人の男の最後として捉えることが出来ました。
今後、何処かで多くの人がこの[雨の日][なつやすみ]が読めるようになればいいのにと思います。
私自身も所持していつも読める状態になりたい。
この作品は大きなBLの枠の端っこにある作品だと思います。
一口にボーイズラブと言ってもコメディタッチや甘々、エロ、禁断もの、青春もの、など色んなアプローチがありますが、この作品は軽く読んで妄想の世界に・・・とはなりません。
木原音瀬さんは大抵が痛い、辛い、と評されますが、箱の中は本当にしんどい作品でした。
詐欺師に騙される母親、その要因には甘さ、普通さ、一般社会での常識が招いた、刑務所の常識を知らない、冤罪で収監されている本人。
でもこのエピソードが全体のアクセントになって喜多川との関係が際立っています。また、後で出てくる大江と喜多川の物語にも繋がっていると思います。
檻の外で、やっと二人に少し平和な時間がやってきます。文庫版では目次を見たところその後の「雨の日」と「なつやすみ」が入ってないようです。(私はホリーノベルズを図書館で借りました)
この後日譚で救われました。
木原音瀬さんのお話は「美しいこと(の後日譚、愛すること)」もそうですが、最後まで読まないと底から光が見えなくて辛さだけが残るように思います。
文学的にそれもアリだと思いますが、BLとするならやはり喜多川の一生と次の世代への光を読むことで落ち着くんじゃないかなと思います。
箱の中を読まれるなら是非、文庫版ではなくホリーノベルズのものを檻の外と一緒に読まれた方が良いです。
そしてBLの枠から出て評価されても良い作品だと思いました。