首にかけた鎖は愛か憎悪か──。

FRAGILE

fragile

FRAGILE
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神92
  • 萌×225
  • 萌22
  • 中立14
  • しゅみじゃない23

67

レビュー数
58
得点
640
評価数
176
平均
3.8 / 5
神率
52.3%
著者
 
イラスト
 
媒体
BL小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
価格
¥690(税抜)  ¥745(税込)
ISBN
9784048670029

あらすじ

大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で―。才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!大反響の雑誌掲載作に大量書き下ろしを収録。二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は―。

表題作FRAGILE

青池達郎、大河内の才能あふれる元部下、27
大河内友巳、性悪なサラリーマン、31

その他の収録作品

  • ADDICT
  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数58

え?健気?

攻めの属性に『健気』とあって「物は言いようだな!」と思いました

これ、健気ですかねwww?

木原さんは面白い作家さんで痛いのもコメディも読んでて楽しいです
ほんと、ハズレがない

今回のこの作品も夢中で読みました
受けが安定の卑劣な男で『いつものきたわー』と思いながらwww

まぁ、こう言う上司っているよね
自分の出来ることが人脈作りと根回しや接待って分かっててそこ頑張ってるなら別に仕事してると言えるんじゃね?と思ったのでそこはあんまり気になりませんでした

気に入らない部下に嫌がらせも悲しいかな良くある……
反対に気に入らない上司に刃向かう部下もいるわけだし……それもあり
が、人の企画横流しはダメだろー?と思いました

それで結果受けは散々な仕返しを受けるのですが『なんで俺がこんな目に』ってwww
いや、お前が悪いわとwww

序盤、受けのマンションに同性愛者の仲間を引き込んだ攻め
そこで受けはレイプされそうになりますが攻めがモブを足蹴にして事なきを得ます

この辺りから『あーはん?もしかして?』と思いました

いや、いくら仕事で虐められ、辱められ、退職に追い込まれたとは言えやってる事は常軌を逸してましたからね

好きなんだー、でも受け入れてもらえないどころか徹底的に拒絶されて捻じ曲がったんだーって思いました

そうやって読むと、まぁ攻めのやってる事が稚拙に思えて
やられてる受けも悲壮感はないしね、なんとかやり返そうとするし

一度、受けが衰弱死しそうになりますがその時の攻めの行動やその後の葛藤を読んでて『あー、ザマァねえな』と思いました

好きになって欲しい、受け入れて欲しいってダダ漏れ
受け入れてもらえるわけないじゃん
あんた、ただの犯罪者だよ?と

少しずつ、受けが攻めのことを受け入れるような描写が増えてきて『そろそろくるな』と思ってたら案の定攻めは受けに逃げられます
しかも『死ね』と置き手紙……!

こんなに胸が空いた事はありません!
ざまぁ!

受けに同情もしませんが攻めに嫌悪感も抱いてたんで
今までの木原さん作品ではなかった事です

初めて攻めに『こいつホントどうしようもないな、痛い目みりゃいいのに』と思って読んでたし

最終的に逃げた受けを待ち伏せし見つけ出し付け回しレイプ

いやー、受けも危機感なさすぎ
ドア開けるにしてもドアチェーンは外さないもんですよ?今まで受けた経験を少しは活かせよ!

しかしね、この受けホント強い
精神的に打たれ強い

普通発狂するよ?
何事もなかったかのように日常に戻れるとか凄すぎる

結果、刃傷沙汰で警察沙汰
そしてまた同棲が始まる

『共依存だな』と
『割れ鍋に綴じ蓋だな』と
一生攻めの青池は受けの大河内に妄執し続けるだろうし、それがデフォになってきてる

これも一つのハピエンなんだろな、と思いました

2

木原作品はやはり期待を裏切らない

狂犬ストーカーの青池と、ずる賢くて性悪な大河内。
正直、木原作品によく出てくるタイプのクズキャラだなぁという印象で、青池が大河内を陵辱、監禁するシーンも描写としてはキツいですが木原作品をすでに結構読んでる身としてはキツい描写に慣れてしまってそこまで新鮮味ないな…と思って読んでました。
しかしそう思うのも序盤だけで、どんどん物語にひきこまれまい…
大河内視点のときは青池の思惑がわからず、青池視点のときは大河内の思惑がわからず、ゾクゾクしながら一気に読み進めてしまいました。
終盤は、大河内が案外あっさり陥落したと思いきや、突然落としてくるという…青池が手紙を手にしたシーンは衝撃でした。
最後の最後まで大河内って嫌な奴だったなと…(青池もやばい奴ですが)
でも木原作品の良いところは、嫌な奴がなかなか良い奴にならず、ほぼそのままの人間性のまま両想いにたどり着くところだと思うので、期待を裏切らない落とし所でした。
滅茶苦茶な恋愛関係(といっていいのか…)だと思いますが、こんな憎しみ合いカップルもまた一つの萌えでした。最高でした。

3

まさに激辛料理

初めて読んだときは過激な描写に圧倒されて、あとがきの「ハッピーエンド」が納得できなかったのですが、繰り返し読むうちに、傷つけ合い、相手の嫌なところも体も全て知り尽くした男二人がたどり着いた結末と考えれば、これはありだと思うようになりました。

表題作「FRAGILE」は、優秀な広告プランナー・青池が卑劣な上司・大河内に凄まじい復讐をする話。
大河内が犬のように裸で首輪につながれ、辱められ、プライドをズタズタにされる描写には背筋が凍りました。青池の怒りの凄まじさ。中でもドッグフードの場面は吐き気を感じるほど。
大河内の視点で書かれているので、途中までは青池がただ恐ろしく残酷な男にしか見えなかったのですが、大河内が入院した時には大慌てしたり、お粥を大河内にかいがいしく食べさせたりするあたりから、何かあるような気がしてきました。そして大河内に「愛していますよ」と言う…。青池の中に隠されている感情がほんの少しだけ暗示されて、この話は終わります。
人の自尊心は壊れやすく(=FRAGILE)、理不尽に傷つけると痛い目にあうという教訓は感じても、続く「ADDICT」を読まなければ、なんだか消化不良で。

一転して、青池視点で語られる「ADDICT」では、真面目で繊細な青池の人間性が浮き彫りになり、驚きました。卑劣な男と分かっていても、好きと言う気持ちをどうしても手放せない。大河内の反応にいちいち傷つく青池が哀れです。
憎しみが薄れ大河内を性的にいたぶるようになると、青池は心を手に入れられない虚しさを感じ始めます。この「調教」が後に大河内の中でじわじわと毒のように効いてくる仕掛けが面白い。
たまらず青池が「好き」と口にした時から、大河内は密かにそれを利用して復讐の機会をうかがい、強烈な仕返しをします。しかし、傷ついた青池が自爆するような行動に出て…。渡辺淳一の「失楽園」を思い出しました。若い人はしらないかもしれませんね(笑)。失楽園は合意の上でしたが、こちらは青池の強制。そんなに大河内がよかったのか。青池も「自分は頭がおかしいんだろう」と言っていますが、有能な男が卑劣で臆病な男にここまではまるのは、まさに中毒(=ADDICT)。
一方、大河内の体も、知らないうちに青池の「調教」で青池中毒に。物語の最後、大河内の視点に切り替わり、青池に付きまとわれる自分は最高に運が悪い、不幸、とつぶやくのが、まったく説得力がなくて、笑えます。青池に「もう一個」とブドウを催促する言葉のなんと甘いこと!汁気たっぷりのブドウがまたエロティックで。体の相性が良く、取り繕う必要が全くないないなんて、青池は見栄っ張りな大河内には最高の相手だと思います。本人は認めていませんが。

一番面白かったのが、大河内が女性との普通のセックスが激辛料理の後の豆腐料理のように味気なく感じるというくだり。お豆腐、おいしくてヘルシーですが、辛い料理のおいしさを知ってしまったら、戻るのは難しいですよね。すごい説得力です。
この作品が激辛料理のようだと思いました。辛さに慣れると、酸味、旨味、甘みをじわじわ感じて。その混然一体のおいしさを、読み返して何度でも味わいたくなります。

5

さすが木原ワールド

あっさり好きになったなと思ったら、やっぱりそこはさすが木原作品。
どんでん返しがありました。
まだ木原作品を語るには数は少ないですが、
相変わらずキャラブレしないですね〜!
クズは直らない。ということで、清々しいほどのクズ。しかし憎めない!青池が沼にハマるのも分からなくはないです。

3

想像を超えてくる

萌えやBL的要素は少ないお話です。BL好きな方が読むと神や萌えではない展開だと思うので評価を中立にしました。個人的に執着ものが好きなのでこちらのお話はドストライクで大好きです。ネタバレはしませんが最終的には事件ですし、その事件の内容も怖すぎますし、精神的に追い詰められていく攻めと受けが可哀想・・・この悲劇的展開しか想像できないストーリーを木原音瀬さんが描くとこうなるのか!とまた木原ワールドが好きになる一冊でした。高緒拾さんのイラストも最高です。

1

まさに愛憎!

ちょっと前に読んだのですが、未だにすごい作品だったなという印象があります。

精×かけたドックフードを食わせるBLがある、というのをネットで見かけて何それどういう状況!??やばいでしょ…?と思い買ってみたという経緯があり、事前にレビューなどでかなり人を選ぶこと、結構きついことを知っていて心の準備を完璧にしながら見たのですが……それでも結構苦しいBLでした。

高飛車で、気高くて、偉そうで人としてどうなの?という人物である大河内。彼からひどい仕打ちを受けていた青池。青池が大河内に復讐する、というような内容ですが、いや報復にしてもやりすぎでしょ!と目を瞑りたくなるようなこともしばしばでした。けれどこの2人がどうなるのか、大河内が陥落するのかと先が気になって恐ろしいながらもページをめくる手が止まりませんでした。暴力や強姦の末愛が芽生え…かと思ったら陥落していなかった!というシーンではもうめちゃくちゃグッときました。BLの酷い仕打ちを受けるもの(主に強姦)の受けって、陥落がすごい早い印象があって。陥落しないで!がんばって!逃げて!と謎の応援をするタイプなので(笑)置き手紙の衝撃といったら!!! すごい破壊力でした。その後の展開も恐怖と衝撃の連続でした。本当にすごい作品です。

とはいっても、最終的には収まるところに収まるのですが。ハッピーエンドというか、バッドエンドというか。メリバですね。互いにとって不幸なようでもあり、幸せ!…とは言い難いように思いますが、これもひとつの愛の形かなあと。
第一、青池の不幸は大河内を好きになった時点で始まっていますものね。彼は結局幸せを得られたのでしょうか?

読む人は選びますが、色々と考えさせられる、読めば心に蟠りが残るような作品です。この作品にぴったりな言葉はまさに愛憎でしょう。

※前に読んだ作品ですので思い違いがありましたら申し訳ございません。

4

長文注意 恋愛は惚れたら負け?

木原音瀬作品を初めて読む、またはBL初心者という方にははっきり言ってオススメしない。とても大衆的ではないし、物理的にも大変不快な描写が差し込まれているというのが、前提です。

今作は大きく分けて3部構成で描かれていると感じました。物語は、受け→攻め→受けの順に視点が変わっていきます。
まず受けである大河内の視点で始まるわけですが、攻めである青池に殺されかかるほど憎まれる男とは一体どんな人間か。いかに大河内が狡猾で性根の腐った男であるか、青池の視点で描くよりも遥かに効果的です。
大河内は極度のナルシストであり、己の為ならどんな手段も辞さない。物事は全て利害関係で成り立ち、一度敵と認識すれば容赦のない仕打ちを罪悪感なしに与えます。このナルシシズムは自己陶酔とは違います。彼は客観的に己を省みる事が出来、才能がないゆえに人に媚びへつらう事で処世術を磨き周囲を蹴落として来ました。顔立ちは綺麗でフェミニンな雰囲気を纏ってはいますが、男としての象徴は仮性包茎で小さくお粗末な代物、というのも彼の根本に渦巻くコンプレックスを匂わせます。手数が少ないからこそ、自己愛に必死になるわけです。
一方青池は真面目で才能豊か、身持ちもかたく一見誠実さを兼ね備えた好青年のようなエピソードが、彼の周囲の人間から語られます。そんな男の憎悪は凄まじく、大河内に向けられる数々の凶行に今作をリタイアする方も多いかもしれません。真面目な人間ほどキレると怖いとはよく言います。
序盤から完全に青池がイニシアチブを握っており、支配するものとされるものの図式はとても明確です。大河内は恐怖に、青池は憎しみに囚われたまま、この奇妙な同居生活が始まります。
やがて憔悴していく大河内は青池の気が済めばいつか解放されるのではという望みに縋り、自身が楽になるためなら犬にだって成り下がります。解放の兆しを感じたのも束の間、大河内は青池が抱く執着の根底が、自分への好意という真実を知ります。
そして、それをまざまざと見せつけられた時、憎悪よりももっと恐ろしい、終わりの見えない絶望に落とされるのです。

続いて視点は青池へと変わります。ここから物語は大きく動いていきます。
青池は憎しみによる一方的な執着に、自分で辟易し、止めたいのに止めることが出来ず苦悩している事が彼の視点で明らかになります。不毛だと理解する一方、大河内に対する恋情を捨てられないという、非常に不憫な恋が描かれていきます。
この二部では、情緒不安定に陥った大河内が、次第に従順に変化していく一方で、青池は大河内の要求を満たしていきます。大人しくなった大河内はさながら本当に犬のようで、頭を洗い歯を磨かせ甲斐甲斐しく世話をする青池はまさに飼い主。
読者は大河内の意外な可愛さに魅了され、青池がどんどんとのめり込んでいく様を切ないようななんとも言えない複雑な心持ちで見守ります。やがて理想が現実のものとなり、夢のような時間がやってきます。
けれど、蜜月の日々はそうは続かない。といったとこまでが大体二部。

最後に大河内視点で、短いものの最大の山場となる三部が待っています。

終始物語として面白いのはこれが間違いなく心理戦を描いたサスペンスだという事です。一度読み終えたら、青池視点の箇所からもう一度読み返す事で、この物語の味わい方が大きく広がるのではないでしょうか?大河内の言葉の裏に隠された真意は、後に彼自身が教えてくれるものもあれば、大河内自身も気付いていない片鱗がある気がしてなりません。
この二人の一番の面白味は、良い意味でも悪い意味でも、人を惹きつけるだけの魅力を兼ね備えた人間だということ。幸福を得るためには他者を蹴落とすということは必ずしも悪ではありません。意識せずとも、みなそうして生きています。そんな中で根拠のない自信にまみれた二人には決定的な『行動力』があるのです。これほど物語を劇的に面白くさせる素養はありません。大河内にしても青池にしても、その行動力たるや半端じゃない。恐らくこの二人は似た者同士であり、大河内が磯野ではなく青池を囲い込んでいれば、最強の相棒に成り得たに違いないのです。

もう一つ大事なポイントとして、二部ではいつの間にか大河内がイニシアチブを握り青池が支配されて行くという流れは非常に巧みです。読者さえ騙すほどに。媚びへつらう大河内の流石といった手管に、青池は全く気づけず罠にハマってしまう。これぞ惚れた弱味でしょうか。最も繊細な部分をえぐるからタチが悪い。このように変化していく二人の立ち位置も、今作の大きな魅力と言えます。

病室にて、青池と大河内の筆談する場面が印象的です。最後の最後まで自分にかかる不利益に否を申し立てる大河内に、声の出ない青池が爆笑する。傷つく心すら枯れ果てたと語る青池は、予想通りの大河内の言葉に安堵したのではないでしょうか。期待する必要がないという諦めにも似た安堵感は、青池を少なからず幸せにし得るという予感がありました。

青池を疎ましく思いながら、彼のそばで本を読み身体に触れさせる大河内は、憮然とした態度ながら青池を受け入れ、感じたままの声で喘ぎ、媚びへつらう事をやめました。何も言わずに大河内をセックスへとなだれ込ませる青池はそんな彼を好き勝手に貪り愛します。何も取り繕うことも無くありのままの自然体で描かれた二人は、ようやく対等になりスタート地点に立った気がしました。
二人に行動力があるがゆえに、事象によって目まぐるしく展開していくので、心が置いてけぼりにされてしまいキャラの真意を掴むのに苦労する印象。ですが、この終わり方には救いがあり、どこか前向きです。不幸のドン底まで追いやるのはいつでも出来る。少しの期待と予感を匂わせるのは、今作では充分過ぎるほどのエンディングではないでしょうか。

7

あーこれは無理

今まで読んできた木原さん作品は、痛くても気持ち悪くてもなぜか最後まで徹夜までして読んでしまう作品ばかりだったのですが、この作品は申し訳ありませんが途中飛ばしました。。。読んでいられなかった。。。

ドッグフードにxxxをxxxしたものを食べさせるとか、よく思いつくよね!!木原さん大丈夫?!と、登場人物や話の内容がどうよりも、作者の心の健康が気になる作品でした。

と言いながら懲りずに木原作品に手を出す私。。。中毒性高いです。

1

初読みはオススメしません

この作品は…木原先生作品のエグさに慣れていない方にはオススメしないかもですね(笑)。ちるちるさんの評価見て、神評価と中立・しゅみじゃないがかなり分かれていて納得しました(汗)。これは確かに…木原先生の作品の中でもハードルの高いやつですね。
エロこそ少なめですが、調教シーン(ガチです)がほんとに衝撃でした。愛しさが強ければ、同じく憎さも増していき虐めたくなる。たしかに大河内は人間、上司として最低ですが、青池も頭のおかしいヤツだなぁと思いました。だからこそこんな2人はぴったりお似合いではないかと思っています(笑)。
なぜか逃げるために青池を騙し、愛しているふりをする大河内を見て天使のカイルを思い出してしまう…。最後大河内は青池を好きになったかというと、わたしから見るとまだ恋愛としての好きではないと思います。でも前みたいに嫌いではないような気がするし、青池のこと認めているし、2人のこれからは無限大の可能性があります。
今回も素敵な作品ありがとうございました!

3

衝撃が走りました!傑作!!(●´∀`ノ[゚+。:.゚マヂスゴィッ]

実はもう大分前に購入しておきながら放置状態となっていた本作。皆様のレビューを拝見し、評価が分かれる作品であることが分かり、読もうか読むまいか悩みつつ後回しにしていた作品です。でも一度は読みたいと思っていた著書。ここのところ木原作品を立て続けに拝読し、並々ならぬ奇才ぶりを認識するに至り、是非とも拝ませて頂きたいと手に取りました。

目次には「FRAGILE」と「ADDICT」の2つのタイトルがあり、両方で1つのお話です。「FRAGILE」は大河内(受け)視点、そして「ADDICT」は青池(攻め)視点で描かれ、最後の方で再び大河内(受け)視点で幕を閉じます。

あらすじ
上の人間には媚びへつらい、ライバルは蹴落とし、無能の部下は大切にするものの、有能な部下はないがしろにする、そんな陰険な上司が大河内(受け)。そしてないがしろにされる側の有能で実直な部下が青池(攻め)。長いこと職場で陰湿ないじめをうけていた青池(攻め)ですが、ある日職場で大河内(受け)にプライベートを暴かれます。青池(攻め)は我慢も限界とばかりに大河内(受け)に襲い掛かり、退社をよぎなくされました。本当は大河内(受け)にずっと恋心を抱いていた青池(攻め)。ノンケの大河内(受け)に振り向いてもらうのは無理と諦め、せめて仕事で能力を認めてもらい、片腕として傍にいられたらと願っておりました。ところが大河内(受け)に、そんな気持ちは微塵も通じず…。青池(攻め)が退社してから1週間後、大河内(受け)は自宅マンションで待ち伏せしていた青池(攻め)に首輪をつけられ、犬のように扱われ…。

読み終えた直後は何やらホーっと放心状態になりました。激しい、激しすぎる。でも読んで正解。面白かったです。青池(攻め)から大河内(受け)への報われない愛の気持ちや、愛から憎悪へと変貌する「可愛さ余って憎さ百倍」の気持ち、また暴力シーンなど、どれも皆すさまじ過ぎて圧倒されました。けれども小説として最高にドラマティックで素晴らしい作品でした。ページを捲る手が止まらず、夢中になって読みました。

私はハッピーエンドが大好きで、それさえ守られていれば、途中どんなに痛くても酷くても大丈夫なのです。ところが最後の方で青池(攻め)が自刃を試みた時には焦りました。バッドエンドだと思い込み、その凄絶な愛と苦悩に涙が溢れ、読書の途中で小休止。わんわん泣いてしまいました。泣くだけ泣いて続きを読み始めてみると、新たなる展開が繰り広げられており、ホッと安堵で心が満たされました。

このハッピーエンドに関してですが、捉え方によってはバッドエンドと思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、青池(攻め)は大河内(受け)を好きで、好きで、文中その愛をいたるところで感じますが、大河内(受け)が青池(攻め)を好きだと想ったり語ったりするシーンが一つも見受けられないからです。それに何と言っても最後の最後にこのセリフなのですから。

「……愛してもいない男と、こんな生活を送る自分はどうしようもなく不幸だ」

これは紛れもなく大河内(受け)のセリフです。でも本人気づいていないだけで、本当は滅茶苦茶幸せな人。だってこんな人でなしのナルシストを、ここまで深く愛してくれる人など世界中どこを探したっておりません。青池(攻め)くらいのものです。それに口では不幸だと言いながら、大河内(受け)の身体は実に正直で、青池(攻め)を求めてやまないのです。すっかり青池(攻め)によって開拓されてしまったのですね。

そして体だけでなく心の方も。たぶん潜在意識下では既に惹かれ始めています。それはもう後半の甘ったるく満足げな生活態度で分かります。愛されて、甘やかされて、美味しいものを食べさせてくれて。これ程の至福はないのではないでしょうか。それゆえ私はこれをハッピーエンドと捉えました。そうそう、青池(攻め)の大河内(受け)への愛の強さはこの言葉に凝縮されていると言っても過言ではないでしょう。

「これから先、誰と愛し合ったとしても、俺以上にあなたを憎んで、好きになる人間はいない」

私もそう思います。良かったね、青池(攻め)。ようやっと想いが通じ合ったね(^-^)v

最後に申し伝えておきます。いわゆる監禁ものです。過激な暴力や気持ちの悪い表現、読んでいてゾッとする描写もあります。甘々ほのぼの系がお好きな方、また感情移入が激しい方には向かないかもしれません。とはいえ流石の筆才で評価が高いのも頷けます。読書中は、再読なんて有り得ないかもと思っていたのに、これがなんと不思議なことに、2度3度読むうちにもっともっとその良さが分かってくるという…木原センセ、凄いゎ**(/▽/)**

昨今のストーカー殺人事件を連想させ、不愉快にお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。けれどもフィクションとして、またファンタジーとして、私はとても楽しい読み物だと思いました。もしも木原先生のファンであるならばご一読を!私は電子書籍の為あとがきが掲載されておらず、それだけが残念でした。

6

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